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40代の妊活。18回もの人工授精、あきらめたら授かった

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40代で妊活に取り組む方も少なくない昨今。定義上、35歳以上で出産することを高齢出産といいますが、40代で妊娠・出産する人もいます。とはいえ、20〜30代のときと比べると、妊娠しづらい現実もある。それでも子どもを諦めたくない。40代で妊娠・出産した女性の声を届けるシリーズ「40代で母になる」です。

40代の妊活。18回もの人工授精、あきらめたら授かった

「大丈夫。30回以上やって、できた人もいますから」

セックスの回数ではない。人工授精の回数だ。つまり、1カ月に1回しかチャンスはなく、もし本当に30回必要ならば、2年半はかかるということだ。

医師からこの言葉を聞いたとき、私はすでに40歳だった。

■ふたり目がほしいと思ったとき、38歳になっていた私

29歳で結婚。33歳でひとり目の子どもを産んだ。

特に子どもが欲しかったわけではないが、女性の体というものは不思議なもので、妊娠したとたんにとてもかわいく思えるようになった。

そのへんをヨチヨチ歩いている他人の子どもさえも愛おしくて、つい目を細めてしまう。テレビの「はじめてのおつかい」シリーズには興味もなかったのに、がんばる子どもの姿に涙すら出てくるのだから、自分でもその変化に驚いてしまう。

これはどうやらホルモンの影響らしい。
ホルモン、恐るべし。

しかし、出産後4カ月で仕事に復帰。毎日フルタイムで働く日々が始まった。忙しく余裕はなかったし、いつでも私を抱きしめてくれる息子はかわいく、ひとりでじゅうぶんだと思っていた。

転機は子どもが4歳になったころだった。主人の父が突然亡くなり、長男である彼が母親に代わり、葬儀を取り仕切ることになった。父親を失って悲しいはずなのに、やることは多く泣く暇もない。

でも幸い彼には弟がふたりいたので、彼らが本当によく手伝ってくれた。そして、きょうだいで父親の思い出を語り合うことで、互いの心を癒しているようだった。

そんな夫を見て、急に私たち夫婦が死んだらと考えた。わが子はこれらすべてをたったひとりで背負うのか。両親の思い出話をする相手もいないのではないかと。

そう思ったら、もう38歳で高齢にもかかわらず、どうしてもきょうだいを残してやりたくなったのだ。妊活をスタートすることにした。

■40代の妊活。自分を全否定された気がした出来事

年齢的に余裕がないと思ったので、最初から産婦人科の世話になり人工授精をすることにした。

妊活に取り組む上で、もうすぐ40代になる自分の年齢を心配する私に医師は、「30代後半だとうちでは珍しくないですよ。大丈夫」と言った。「人工授精は、健康な女性であればだいたい6回くらいで妊娠します」とも。

しかし、妊活はそう簡単にはいかなかった。毎月反応のない妊娠検査薬を見ては、まるで自分を全否定されたような落ち込みを何度も味わった。気がつけば人工授精も16回目。そのうち一度は妊娠したが、すぐに流産してしまった。

そして、もうこの妊活に息も絶え絶えだと弱音を吐いたとき、医師から言われたのが、冒頭の「大丈夫、30回以上……」だった。

もう40歳になっていた私は、まったく大丈夫じゃないと思った。

■40代に差しかかった妊活3年目、41歳での出産

結局、それを聞いて私は妊活の終わりを決めることにした。41歳になる前の月でもうやめようと。

ところが不思議なもので、あきらめたとたんに18回目の人工授精で子どもを授かった。テレビで不妊治療の特集番組を作っていた知人に聞いたら、医療の現場でも不妊治療をあきらめたとたんに妊娠する例はよく聞かれるそうだ。妊娠には、精神的なものがかなり影響を及ぼすのだろう。

幸いその妊娠は順調に進み、40代での高齢出産のリスクにも負けず、健康で元気な娘が生まれた。息子も妹の誕生を喜んでくれた。

いま、娘はやっと3歳。働きながらのふたりの子育ては大変で、ひとり目を育てていた30代の体力と40代の体力はまるで違うことも実感する。以前は寝かしつけた後に趣味の時間も取れたが、今では疲れてそのまま一緒に寝てしまい、一日が終わってしまうことも多い。

しかし娘が、「ママだいすきよ」と言って柔らかく小さな手で私の頬を挟みキスをしてくれると、どんなことでも許せてがんばれるのだから不思議だ。

これもまたホルモンの影響か。
ホルモン、恐るべし。

40歳をすぎてからの妊娠・出産は、正直思うようにいかないことも多い。子育てだって大変だ。しかし、心配しすぎたり諦めたりする必要はない。

あの頃の私は、どうしたら妊娠するのか、毎日のように検索していた。でも読むのはうまくいった話ばかり。それしか読みたくなかった。

でも、きっとそれでいいのだ。結局、ただ情報を得るだけで結果は変わりはしない。だったら心が軽くなるものを探して、毎日それを眺めていればよいと思う。よいものだけ見ることが、よい結果を招くと信じて。

■【おまけ】40代での妊活。後半にやったこと

・合成黄体ホルモン剤のデュファストンを飲むのをやめた
人によるが、私の場合はこの薬でかなり体がむくみ、太ったように感じた。それを人に指摘され、しかも妊活中の薬のせいだとも言えずにストレスを感じていた。妊娠しやすい体をつくるためのものなので、必要な人はやめないほうがよいと思うが、私はストレスのほうが強かったため医師と相談してやめた。

・アスタキサンチンのサプリメントを飲み続けた
アスタキサンチンは、体の老化の要因になる活性酸素から体を守る。ストレスによる酸化、卵子の老化からも体を守ろうと途中から飲み始めた。

・着物生活をした
おなか周りが冷えず、ハイヒールも履かないので、体にはよかったのではないかと思う。

Text/やまとすみか(仮名)
マーケティングプロデューサー。ベンチャー企業で新規事業の立ち上げや、メディア運営などを行う。毎晩「残業できなくてごめん! 子どもはニートにせず君たちのために税金を納めさせるから!」と、心の中で謝りながら保育園へと向かう生活が10年以上続いている。最近あまり心が痛まなくなってきた。

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2016年5月24日公開
2019年5月27日更新
※記事中の数字や情報は掲載当時のものです。

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DRESS編集部

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