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枝もので作る雰囲気のいい部屋と、雰囲気美人の共通点

大改造をしなくても、雰囲気のいい部屋と美人オーラが作れる、小さな日々の心がけとは?

枝もので作る雰囲気のいい部屋と、雰囲気美人の共通点

**「私」(40代ワーキングママ由樹子)の目を通した「ちょい足しボタニカル生活」をお届けします**

「由樹子さん!」

話しかけられたとき、とっさに誰だかわからなかった。駅前のスーパーで声をかけてきたのは、ヨガ教室のリカ先生。至近距離で顔を見ると、意外にリカ先生の目尻には細かいシワが目立つ。ヨガスタジオで遠くから見ていると、私よりずっと年下だと思っていたが、意外とそう変わらない年齢なのかもしれない。鮮魚売り場の青白い蛍光灯の下で、コンマ数秒の間にそんな考えが頭をかけ巡った。

「それじゃあ、またね〜」

手をひらひらさせて人混みに消えていくリカ先生は、やっぱりとても目立つ。脚にぴったりした細身のデニム、飾りのない黒い7センチヒール、さらりとトレンチコートを羽織った立ち姿からは、まわりの女性とは明らかに違う美人オーラが出ているのだ。

「雰囲気美人、遠目で見るとマイナス5歳」

大股で歩くリカ先生の後ろ姿を見送ったあと、私はレジ横の大きな鏡をそっとのぞき込んでみた。そこにいたのは、背中が丸まり首と顔が前に出た中年女だった。「ぷ……プラス5歳」。

気分転換したくて、駅前に新しくできたカフェに寄ってみた。木肌と白壁に囲まれたシンプルな空間に、温かなコーヒーの香りが漂っている。丁寧にローストされたコーヒーを飲んで一息つき店内を見回すと、木の枝の明るい黄緑が目に入った。白い壁、白い台、そしてガラス花器にごく簡素に挿してある数本の枝。余計なものが一切ないのに、それだけで十分なゆとりを感じる。

「あの枝、素敵ですね」
「青文字っていうんですよ。しゅっとした立ち姿がいいでしょう?」

草木色のエプロンをした、品のいいマダムの言葉に、私はハッとした。そうそう、それ!「しゅっとした立ち姿」。

雰囲気美人のリカ先生は、とにかく姿勢がいいのだ。顔の造作やシワの数といったディティールより、背筋がしゃんと伸びているかどうかで、女の見た目は±10歳の差が出る。今日はそのことを思い知らされた。

最近会社でふと気づくと、パソコンの画面にしがみつくように前のめりになっていることがある。老眼も進む一方で、夕方になると目はしょぼしょぼ、肩はパンパン。眉間のシワも深くなり、夕方のスーパーで見た鏡の中の私は、まるで悩み事を抱えただんご虫みたいだった。マズいよ、これはかなりマズいよ。

でも考えようによっては、顔面大改造をしなくても姿勢を直すだけで若々しく見えるなら、そのほうがよほど手軽でコスパがいいではないか。サボり気味だったヨガを再開しなくては。フラットシューズの出番を減らして、たまにはヒール靴も履こう。そして部屋には大人っぽくシュッとした枝を数本飾る。雰囲気のいい部屋と雰囲気のいい美人。日頃の小さな心がけからそこに近づけるなら、やってみる価値はある。

カフェの会計をしながら、私はマダムにたずねた。

「あの、こういう枝ものってどこで買えるんですか?」

+++ もなみのちょい足しポイント +++

枝ものは花より背が高いので、1本飾るだけで部屋の雰囲気がガラリと変わります。大人な空間にこそふさわしい枝もの。シンプルで口が狭いガラス花器を選ぶとバランスがとりやすく、数本すっと挿すだけでサマになります。
枝ものは、水に付く部分の葉っぱを取り除きときどき水替えをするだけで、数ヶ月もちます。枯れたら生花と同様に処分できるので、根っこがついている観葉植物より扱いやすいのも嬉しいポイント。
温室栽培をしない枝ものを飾ることは、その季節にしか見られない植物を楽しむことでもあります。花屋さんでも取扱量が増えてきたので、気に入った枝ものがあればぜひ飾ってみてください。

輪湖 もなみ

ワードローブコンサルタント/リメイクデザイナー 大手アパレルで16年間ブランド管理や店頭指導などに携わる。長年培ったノウハウを個人のクローゼットに応用し、毎日着る服がないと悩み断捨離を繰り返す人を救うため、クローゼットコン...

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