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世界は男と女に分かれすぎている

世界は男と女に分かれすぎている

家庭内多様性の増加と男女が抱える様々な問題

今月頭、娘が産まれ、1男1女の母となりました。

男児2人のママは大変!というイメージがあるからか、男女の子どもを望む人が多いからか、2人目が女の子と言うと「よかったね!」と言われることが多いです。個人的には男の子でも女の子でも良かったのですが、家庭内多様性が増えたことで今の社会で男女が抱える様々な問題について、ますます自分事として取り組むことになるなと、決意を新たにしています。

ところで、私はこれまで長男の服などを買うときに「2人目ができたとき、おさがりでまた使う」ことを前提に、できるだけ中性的なものを選んできたつもりです。でも、それでも子供服のBOYSはどこからどう見ても男の子用、GIRLSはどこからどう見ても女の子用、というものが多いのです。

ユニクロとかGAPのように比較的シンプルなデザインのものを売っているところでも、棚自体がBOYSとGIRLSで分かれていたりします(そして余談ですが多くのお店でGIRLの品ぞろえのほうがBOYSの倍くらいあるように感じます)。新生児ならともかく、おそらく生後半年にもなれば、上の子のおさがりを着せるとどう見ても男の子にしか見えなくなると思います。もう一回買ってもらう、それがビジネス上の戦略なのでしょう。

実は私自身、兄がいて、幼少時はそのおさがりを着ていたのか、髪の毛を短くしていたためか、しょっちゅう男の子に間違えられました。というか、基本的に「お嬢ちゃん」と呼びかけられた記憶はなく、外で知らない人には「ぼうや」「ぼく」と呼びかけられることのほうが多かった気がします。

いちいち間違えられるのを訂正するのは、子供心に気持ちのいいものではありませんでした。なので、あまり娘にフリフリのものを着せたい願望もないですし、髪の毛なんかもきれいに結ってあげられる自信もないのですが、見事に子供服ビジネスに乗せられて「女の子用」のものを調達する母親になっていきそうです。

日本の社会は男・女以外のカテゴリーの多様性が少ない

以前、トランスジェンダーの子供たちの抱えている生きづらさを追ったTV番組を見たことがあります。世の中で売っている服、皆が持っているモノ、見ているアニメ……等がここまで男女でキッパリ分かれていなければ、もうすこしトランスジェンダーの子たちも生きやすいのではないかと感じました。

日本の社会は男・女以外のカテゴリーの多様性が少ないことも、一部の人たちの生きづらさに拍車をかけているかもしれません。就学前は男女が混ざって遊んでいることも多いと思いますが、小学校以降は「男か女か」がまず子供たちを分類する項目になるのではないでしょうか。

海外の絵本に出てくる「教室の風景」は、肌の色、服装が多様でまず一瞬で男女比が判別できません。車いすの子、松葉杖の子など、怪我や障碍を抱えている子が描かれていたりして、「ダイバーシティ=女性活用」ととらえられがちな日本の「多様性」の薄さにハッとさせられます。

LGBTに対する認識もだいぶ広まってきましたが、男・女という二分法ではない多様性、そして性別以外の多様性がもっと許容される社会で子どもたちを育てたいものです。男女それぞれに「らしさ」を押し付けるような社会化の構図や問題が分かっていたとしても、自分の子だけ様々な影響から遠ざけてコントロールすることはおそらく不可能です。だから、社会全体が少しでも何か良い方向に変わっていくように、問題提起をしていきたいです。

男の子も女の子もその狭間にいる子も生きやすい社会を。今後の本人たちの性自認や好きになる異性はまだ分かりませんが、身体的特徴としての「1男1女」の母になった抱負です。

中野 円佳

女性活用ジャーナリスト/研究者。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総...

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