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「両顎手術」はとにかく辛いけれど、理想の横顔と自信をくれた

顎の構造を整え、噛み合わせを改善する「両顎手術」。同手術の経験者である高嶋めいみさんが、手術を受けたきっかけからカウンセリングの手順、実際の手術、術後の経過までを詳細に綴ります。文末の医師コメントもあわせてご覧ください。

「両顎手術」はとにかく辛いけれど、理想の横顔と自信をくれた

■「口ゴボ」を治したい一心で手術を決めた

両顎手術とは、上顎と下顎の噛み合わせが悪かったり、しゃくれ顎、顎変形症など日常生活に支障が出るような両顎の噛み合わせの問題を解決する手術だ。上顎と下顎の骨を切って位置を変えるというとても大がかりな手術ゆえに、リスクは決して低くない。

最近では両顎手術をおこなったと公表する人も増え、何かと耳にする機会が多いので「こんなに変われるなら私もやりたい!」と思う人が多くなったように感じる。私が両顎手術のことを調べていた5年ほど前は情報があまりなく、Twitterなどで情報集めに必死になっていた。 

私はなぜそのようなリスクの高い手術を受けようと思ったのか。ひと言で言うと、「ブスのままでいたくない」と思ったからである。当時、二重整形手術だけを先に済ませていた私は、二重にしたのにあまり顔の印象が変わってないことにモヤモヤを感じていた。

そんなとき、友達とコスプレイベントで撮った横からのアングルの写真を見て、頭に雷が落ちたような衝撃を受けた。綺麗な横顔の友達に比べて、私はカワハギか? と見間違うような横顔と口元をしていたのだ。

その日以来、暇さえあれば「口元・ゴリラ・治す」などのワードでネットを探し回り、やがて口元が前方に突き出していることを意味する「口ゴボ」という単語の存在を知り、両顎手術なるものがある、というところまで辿りついた。 

初めて見たのは韓国の病院の症例写真で、衝撃的なビフォーアフターだった。その写真をひと目見て、「これさえやればかわいくなれる」と確信した。しかし両顎手術について調べれば調べるほど、そんな気軽な気持ちで受けられる手術ではないということがわかってくる。

■不安だった費用の高さと、海外での手術

ネックに感じたことは主にふたつあった。まず、費用面。

日本の病院から調べてみたが、費用は大体500〜600万くらい。当時、ただの会社員だった私には到底手が出ない金額だ。対して韓国の病院を調べてみると、平均して200〜300万程度。値段に釣られて韓国での両顎手術について調べていくと、日本よりも圧倒的に情報や症例数が多い。それを知り、症例数の少ない日本で手術を受けるよりも、数をこなしていて入院設備もしっかり整っている韓国の方が安全なのではないか? と思い始めた。

しかし、海外での初めての手術に対する不安がふたつめの大きな障壁だった。私がそれまでにしたことのある整形は、二重の埋没法の手術のみ。いきなり全身麻酔で骨を切る、しかも海外で? あまりにもハードルが高すぎる……と思った。前述したように、その頃は両顎手術に関する情報がほとんどなく、数少ない両顎手術経験者のフォロワーさんのTwitterを毎日のように見ては「やろうかな……やっぱり怖いからやめよ……」と悩む日々が続いていた。 

けれど、そんなとき友達に言われた「そんなに悩んでるならやった方がいいよ、やらない方が後悔すると思うよ」という言葉に背中を押され、とりあえずカウンセリングの予約をしてみたのだった。

■手術までの流れ

手術までの流れは、大まかに書くと 

1.日本でのカウンセリング
2.渡韓して、採血やCTなどの精密検査
3.最終カウンセリング
4.手術


という感じ。私の場合、大阪に第一希望の韓国の病院の先生が来てカウンセリング会をやっていたため、それに申し込んだ。
 
韓国の病院の医師によるカウンセリングはもちろん初めてだったが、日本のカウンセリングとは違い、顔の直すべきところをズバズバ言ってくることに驚いた。私はそれだけハッキリと言ってくれた医師に好感を持ったし、他の病院のカウンセリングをするのもちょっと面倒だな……と感じていた。そこで、勢いで予約金の2万円を払い、手術予定日も決めてしまった。

さらに、二重埋没手術は前述したように日本の病院で一度おこなっていたのだが、3年ほど経って糸が緩みかけていたのが気になっていた。二重埋没と、ついでに目尻切開手術の韓国の病院での料金を見てみると、驚くほど安い。両顎手術と合わせて施術を受けることもできると聞き、同時にそれらの手術も受けてしまうことにした。

両顎手術の費用は200万円弱、二重埋没と目尻切開手術の費用はそれぞれ20万円ほど。手術のためのお金は少し足りなかったが、会社を辞めて他の仕事で稼ぎまくれば間に合うだろうと考えた。そして、その勢いのまま本当に会社を辞めてしまった。

その後は初めてひとりで渡韓し、再度カウンセリングと精密検査を受けた。韓国語はわからないし英語も拙いので不安ではあったが、病院には日本語が堪能なスタッフや日本人の方も沢山いて、言語の壁はまったく気にならなかった。本当はそのまますぐ入院準備をして、さあ手術、となるはずだったのだが、ここで問題が発生。 

なんと、私はRhマイナスのO型という珍しい血液型のため、輸血の用意がないというのだ。加えて、多少貧血気味だったこともあり、すぐに手術することは難しいと言われた。「血液の調達をおこなうので、その間に鉄剤を飲んで血を増やしてください」と伝えられ、手術日は1週間延期となった。 

一度帰国し、1週間後にふたたび渡韓。最後のカウンセリングをおこない、いざ手術となった。

■実際の手術の記憶

全身麻酔をするため、手術の12時間前からは絶食しなければならない。当時大好物だったフルーツグラノーラと、次にいつ食べられるかわからないと思ったグミを爆食いし、絶食に備えた。

手術当日。泊まっていたゲストハウスから病院に移動し、手術着に着替え手術室へ。初めての大手術はとにかく心細く、骨を切られるのも全身麻酔も怖くて、口から心臓が飛び出そうだった。通訳のお姉さんが、大丈夫ですよーとずっと手を握っていてくれたので少し安心した。

手術室に入る前は、テレビで見るようなミストの消毒室を通った。手術台に寝かされ、めちゃくちゃ重いビニールの布団のようなものをかけられてから、しばらく待たされる。手術室は寒く、緊張しすぎて死にそうだったので、どうか早く始まってくれ……と思いながら20分くらいは経っただろうか?

看護師さんが私の腕に点滴を刺し、「だんだん眠くなってきます」と言った。同時に、全身に冷たい液体がスーッと入っていくのがわかって、ウワ怖っ、と思った瞬間に意識がなくなった。

おそらく最初に、二重埋没や目尻切開の手術からおこなっていたのだろう。覚えているのは、ゲームのグルーヴコースターのような映像とともにディズニーの音楽がずっと流れていた……という記憶。最後に目の上の方で糸を結んでいるのが見え、意識が急に戻ったと思ったら、背中をバンバン叩かれた。「起きてください! 起きてくださいー!」と言われながら車椅子に乗せられ、気づけば自分の病室に運ばれていた。

■手術後の経過

手術直後はひと言でいうと、何がなんだかわからない状態。

麻酔のガスが残っているため、たしか8時間は寝ないようにと言われたが、ひたすら眠い。何度も寝落ちしてしまいそうになったが、通訳さんがずっと見張っていてくれて、「起きてください!」と声をかけ続けてくれた。

眠気が落ち着くと、今度は猛烈な喉の渇きがやってくる。ほぼ1日水を飲んでいないので当然だ。そこで、「水をください」と言おうとして違和感があった。声が出ないどころか、口自体がまったく動かないのだ。そこで初めて、目の前にホワイトボードが置いてある理由がわかった。

水をくださいと伝えると、あと6時間しないと飲めないと言われ絶望した。喉が乾いて死にそうと思ったのは生まれて初めてのことだった。餓死するときってこんな感じかも……と思いながら、全然進まない時計を見つつひたすら耐える。6時間後、やっと水の時間! と思ったものの、小さいスプーンですくって2口飲むのが限界だった。その日は口からひたすら垂れてくるよだれや血痰、息苦しさと顎の痛みでまったく眠れず、数分寝ては起きての繰り返しで地獄だった。

翌朝になると、顔は殴られた人のようにパンパンに腫れていた。栄養剤の点滴をされているからかお腹はまったく空かない。入院は3泊4日で、痰を出やすくするためひたすらウォーターサーバーにお湯を飲みにいったり、じっとしていると腫れが引かないので、点滴をつけながら廊下をグルグル歩いたりの繰り返しだった。 

4日目に退院して、病院と提携しているゲストハウスに移った。ようやく口が若干動くようになったので、ゼリー飲料やお粥などが少しずつ食べられるようになる。5〜6日目くらいからはちょっとずつ外を散歩して、圧迫バンドをつけてよだれを垂れ流しながら(もちろんマスクで隠してます)明洞や弘大(ホンデ)あたりまで買い物に行ったり、ゲストハウスの周りを毎日10キロくらい歩いていた。 

食事に関してはゼリー類しか食べられないので、栄養不足のためか舌がずっと痺れていたり乾いたり、頭はフラフラで立ち上がれない状態が続いた。前の住人が部屋に置いていった病院の栄養ドリンクのようなものを飲むと少しよくなったので、手術をする人は病院で購入するのがいいかもしれない。
 
ゲストハウスにいる間は数日置きに通院して消毒をしてもらうと同時に、腫れをとるためのレーザーとエステのような施術が受けられた。腫れケアの施術はとても気持ちよかったので、今でも受けたいくらい。14日後に抜糸をするまで、約1カ月間韓国に滞在した。

日本に戻ってからは、少し滑舌は悪くなるものの普通に喋れるようになり、固形物も食べられるようになってきた。とはいえ、噛むことはまだまだ難しいので、ハンバーグなどをすごく小さく切って、上顎と舌ですり潰すようにして食べていた。

私の場合は、ふつうに物が噛んで食べられるようになるまで2〜3カ月、腫れが引くまでに半年、完璧に仕上がるまで1年……といったところだった。ダウンタイムが非常に長いため心が折れそうになったが、1年前と1年後の写真を見比べると、本当に手術を受けてよかったなと心から思う。

高嶋めいみ

AV女優。整形ビフォーアフターツイートで話題になったコスプレイヤー。特技は工作と音楽

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