38歳の私は、ますますかわいい。年齢を重ねることが呪いにならない世界に
アイドルとして年齢を隠しながら活動し、昨年38歳であることをカミングアウトしたMiRichanさん。36歳から始めた整形の様子も積極的に発信して、かわいさに磨きをかける姿は、年齢に思い悩む多くの人に勇気を与えています。今回はそんな彼女に「年齢にとらわれること」や「ポジティブな整形」について語っていただきました。
■デビューは28歳。年齢を隠してでも、アイドルになりたかった
私には小さいころから、アイドルになるという夢がありました。
オーディションをいっぱい受けて、養成所にも入ったんですが、22歳で諦めてアパレルに就職しています。「アイドルを目指すには歳を取りすぎた」と思ったんですよね。当時流行っていたモー娘。は、小学生がメンバー入りしていたくらいです。女が人前に立つには、イコール若くなければいけないんだと当たり前のように思っていました。
でも、28歳のときにAKBさんの活躍ぶりを見ていたら、また夢を思い出してしまったんですよ(笑)。「地元でもいい、やっぱりアイドルになりたい!」と、名古屋でアイドルができるチャンスを探してオーディションを受けて。年齢非公開で、念願のアイドル活動を始めました。
そんなこともあって、私はずっと自分の年齢に強いコンプレックスを感じていたんです。
でも去年、本当は38歳だとカミングアウトをしたら、応援の声はさらに強く届くようになりました。それでやっと、私は私の年齢をやっと好きになれたんです。あのとき打ち明けて本当に良かったと思います。
■「30歳になったら生きていたくない」なんて思ってた
今の私はカミングアウトの体験もあって「30代は素敵だよ」「30代から楽しいよ」と伝えることができますが、他人から「楽しいよ」なんて言われても、自分が体験してないことって想像しにくいし、そんなこと信じられないという人 たちも多いと思います。
私自身も 10代のころは「30歳になったら生きていたくない」と思っていました。アイドルを始めたときも「30まではやっていないだろうな」と思っていましたし、とうとう30歳になったときは「この先楽しいことなんてあるの?」と思ったくらい。
でも実際は、32歳で生活はガラッと変わりました。名古屋でアイドルをさせてもらっている中 で、雑誌の撮影で東京に呼ばれることが多くなって「どうせ通うんだったら住んじゃったほうがいいんじゃない?」と、思い切って上京したんです。人生で初めて一人暮らしをして、友だちも増えて、昔の自分には想像もつかない生活を送っています。
今、30代になるのが怖い人も100パーセントの悲観はしないで、ちょっとだけでも希望を持っていてほしいと思います。30歳を過ぎても、気持ち次第で自分の人生を広げていくことはできるんです。
■私にとっての整形は、風邪薬をもらうこと
初めて整形をしたのは36歳のときで、いたってポジティブな気持ちから。友だちがかわいくなっている姿を見て「じゃあ私も行こっかな」と先生を紹介してもらい、純粋にわくわくしてその場で決めちゃいました。
よく誤解されますが、整形したからといって自分の顔が嫌いだったわけではありません。小さいころから「かわいい」と言われてきて、外見のコンプレックスはゼロ。今でも十分かわいい私がもっとかわいくなれる、その手段のひとつが整形でした。
私はよく、整形するときの心境を「風邪薬を貰いに行くような感じ」と表現しています。咳や熱と同じ感覚で「顔のここが気になる」「ここがイヤ」と、先生に話を聞いてもらっています。
ただ整形を人生の一大イベントのように捉える人はとても多いですよね。でももし、自信のなさを埋めるために整形を考えている人がいるなら、私は整形を勧めることができません。それだと「ここもダメ、こっちもダメだ……」なんてキリがなくなっちゃうんです。自分で自分を認めてあげた上で、良さを最大限に引き出すためのポジティブな整形であってほしいと思います。
でもこれはあくまで私の話。考え方は、人の数だけあると思うんです。私にとって整形は正義でしたが、自分にとって何が正義なのかは、自分でよく考えてみてほしいです。
自分に自信を持つことが難しい人もいるかもしれませんが、自分を好きになってくれる人って、絶対にゼロじゃないんです。絶対。
私はたぶん、端から見たらあまり推しどころのないアイドルでしたが、ステージに立って踊る自分が好きだから活動を続けてきました。その中で、私を好きになってくれるファンができたらいいなと夢見てきましたし、その人たちに向けて全力でやってきました。
自分の殻を固めるように、自分を褒めてくれる人や認めてくれる人と付き合う中で、自分の良さを見つけてほしいです。そういう体験を積み重ねていけばきっと、少しずつ年齢につきまとう呪いがとかれていくのだと思います。
■私が40代って、面白くない?
さっきも触れたように、私は小さいころから周りに「かわいい」と言われていましたし、両親も「その服がかわいいんじゃなくて、あなたが着るからかわいいんだよ」と、常に私を持ち上げながら育ててくれました。周りの人が私に自信を付けてくれたことを、すごく感謝しています。
でもどんなに自分に自信があっても、年齢をカミングアウトするのはとても怖かった。「嫌われるだろうな」「ファンが離れちゃうだろうな」と、どんどんマイナス思考になって……。アイドルになるときのこともあって「女は年がいけばいくほど価値が下がる」というイメージにとらわれていたんです。今だって、その人自身を見つめずに、年齢や性別などの属性でその人がどんな人なのかを決めつけてかかる人は一定数います。「年齢ってそこまでマイナスに考えることなかったのかな」と、ちょっとずつ思えるようになったのは、カミングアウトがプラスに受け入れられたおかげです。
最近では若い子から「私も30歳になるのが怖くて死のうと思っていたんですけど、MiRichanのような人がいると知って楽しみになりました」というメッセージが届くようになりました。
また、私と同年代の人から「勇気をもらいました」「MiRichanのように頑張っていこうと思います」という声が届くようになったのも、すごくうれしいんです。究極、自分がハッピーでいることが一番なんですよ。私がかわいいにこだわり続けているのも、100パーセント自分のため。私が、私の顔がかわいかったらハッピーになれると思ったからです。歳を取って自分に自信をなくしてしまっている人たち向けて「私たちは何歳になっても自分のために努力できるんだ」と伝えていけたらいいなと思っています。
昔は自分の衰えを絶対に見られたくありませんでしたが、今は「それも自分だ」と、どんどん発信しています。この間は「白髪生えてきちゃったな。じゃあこれをどうかわいく見せよう?」と、ピンクに染めてみました。派手髪のほうが目立たないし、何よりかわいいじゃないですか。今のほうが、ずっと楽しくていい感じです。
あと1年と少しで40代。もちろん不安もありますが、8割はポジティブに受け止めていて……というか「え〜!私が40代って面白くない?」って思ってます(笑)。この際、年齢と見合わない外見というジャンルで一番になりたいです。目立っていきますよ!
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