東京発の美酒ももっと応援したい!
東京発の美酒ももっと応援したい!
こんにちは。日本酒部サポートメンバーの黒川です。
突然ですが、“東京の地酒”と聞いてピンときますか?
感度が高くてお酒好きのDRESS読者は、銘柄が浮かぶ方もいるかもしれません。
でも、「え、東京でお酒作ってるの?」、「だいたい東京のお酒なんて美味しいの?」……etc.
少なくとも私の周りでは、「知らなかった」と「食わず嫌い」の2つの反応にだいたい分かれます。
かくいう私も、東京の地酒といえば、最近まで2銘柄くらいしかすぐに浮かんできませんでした。
でも、幸いにもこの夏、仕事で東京の5蔵元を取材する機会に恵まれ、「やるじゃん、東京!」
(なぜか上から目線)と、その印象が飛躍的にジャンプアップしたのでした。
田村酒造場の大ケヤキ
石川酒造の大ケヤキ
豊島屋酒造の大ケヤキ
「大木の下には良い水が湧く」という言い伝えの通り、取材した蔵には立派な大木がそびえていた
大木の下には良い水が湧く
本当は、東京の地下には、富士山系や秩父奥多摩の伏流水がコンコンと湧き出ているんですよね。
それで仕込まれる地酒は多様で本当に美味しいものばかり。取材をして初めて知りました。
そして、だからこそ「自分たちが“東京の地酒”の良さを伝えなきゃ」……と蔵人たちの士気は高く、みな気概に満ち溢れていたのが印象的でした。
豊島屋酒造の社長・田中さんと
5蔵(小澤酒造、田村酒造場、石川酒造、小山酒造、豊島屋酒造)どこも並々ならぬこだわりがあり、
美味しいお酒を醸すべく日々精進されているわけですが、夏に帰省した際、飲んべえばかりの実家に
たまたま持って帰って大好評だったのが、豊島屋酒造の銘酒「金婚」でした。
微発泡の「純米無濾過原酒十右衛門 直汲み生」をいただいたのですが、
最近大衆化しつつある単なるスッキリ系のスパークリング酒とは一線を画し、
ふと心地よい苦味(?)も感じられるような深みのある、これまた「いい女」な日本酒なんです!
純米無濾過原酒十右衛門 直汲み生
女優に例えると、「真木よう子」とか「吉田羊」といったところでしょうか。
竹を割ったようにさばさばしつつも、懐の深さも感じる、酸いも甘いも噛み分けた「いい女」……。
いやぁ、すっかり魅了されファンになりました。
豊島屋酒造と言えば、1596年(慶長元年)の創業以来、400年以上も続く老舗中の老舗。
鎌倉河岸(現在の千代田区内神田2丁目)で創業しましたが。今は、東京都東村山市にあります。
なんともおめでたい名の銘酒「金婚」は、明治神宮や神田明神における唯一の御神酒としても有名です。
『江戸名所図会』に描かれた豊島屋酒造。毎年桃の節句前に行われた白酒の大売出しで、江戸中から人が押し寄せる様子は、もはや風物詩だったらしい
そして、豊島屋酒造の社長・田中孝治さんが、これまたアツい方なのですよ。
DRESSのツウな皆さんなら、取り扱い酒販店が限られているプレミアムな銘酒「屋守(おくのかみ)」をご存じの方も多いかもしれません。
田中さんが、日本酒に特化している酒販店で「東京の酒ありますか?」と聞くと、ことごとく珍しい顔をされ愕然としたと言います。
それに、田中さんが蔵を後を継いだ後、時代の流れもあって出荷量は最盛期の2/3になったことも手伝って、「何か波を起こさなきゃ……」という焦燥感と「東京発の旨い酒を全国に発信したい」という責任感が募る一方だったと言います。
「豊島屋だけでなく、微力ながらお世話になっている皆さまの屋号を守りたい」という強い想いから命名された「屋守」。
初年度の2001年には1タンク(1升びんで600本分)仕込まれましたが、このお酒が誕生して世に出回るまでには、田中さんの強い信念と、粘り強い行動力があった訳ですが、そのお話は今回は割愛します。
田中さんの名刺裏に描かれた「ヤモリ」
「屋守」は華やかでキレの良い飲み口で、「ヤモリ」と呼ばれて親しまれていますが、現在取り扱いのある酒販店は日本全国で33店舗。ちなみに、蔵元直販は行っていません。
酒販店はもちろん、居酒屋さんでラッキーにも見かけたら、すかさず頼んでみてくださいね。
「東京の酒」オイシイや~ん! と、きっとゴキゲンになれるはず。
イベントも梯子を上がると仕込みタンクが一望できる「蔵View」。ここで“大人楽しい”イベントが多く開催される
あと、豊島屋酒造では、蔵で映画を鑑賞する「酒蔵シネマ」や「夜の酒蔵見学」など大人が楽しめる企画を色々と実施しています。
「DRESS 日本酒部」からも近くイベントの告知があると思うので、ぜひ楽しみにしていてくださいね♪
日本酒部サポートメンバー