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星野リゾートの本気を見た! 青森屋「青森ねぶたの間」宿泊記

青森と聞き、何を思い浮かべますか? りんご? ねぶた? 大抵の人はそうですよね。「星野リゾート 青森屋」は、旅行者が青森に求める要素に特化した青森の文化が満喫できる宿。さらに、2019年4月には青森ねぶた祭をテーマにした「青森ねぶたの間」が完成。早速、“ねぶたの迫力で寝かせない”と触れ込みの部屋、泊まってみましたよ!

星野リゾートの本気を見た! 青森屋「青森ねぶたの間」宿泊記

■コンセプトは「青森文化を丸ごと体験できる温泉宿」

「星野リゾート 青森屋」(以下「青森屋」)のコンセプトは、「青森文化を丸ごと体験できる温泉宿」。三沢駅から徒歩約10分という好立地に敷地面積22万坪ほど。38施設を運営する(2019年9月時点)、星野リゾートの施設の中でも1、2位を争う 広さです。

温泉や客室がある宿泊棟に、隣接する大きな池があり、その池を囲むように足湯、宿泊者限定のくつろぎスペース「八幡馬ラウンジ」、津軽塗の箸砥ぎや、ほたて貝の絵付け、こぎん刺しのコースターなど、青森の伝統工芸から手軽に体験できる「あおもり工房」などの付帯施設が点在しています。2〜3日滞在しても飽きることはなさそうです。

その「青森屋」が、2019年4月に完成させたのが「青森ねぶたの間」です。青森ねぶた祭を主題にした客室を作りたいというスタッフのアイデアをきっかけに、ねぶた師の協力を得て、工事期間2カ月、ねぶた制作に2カ月半かけて完成させた客室(スイートルーム)。

「青森屋」には200を超える客室がありますが、「青森ねぶたの間」はわずか1室です。というか、部屋に入るとわかりますが、これほど凝った部屋、そう簡単に何個もできないでしょう(笑)。

■東北の3人の英雄がモチーフ

客室の番号は「8287」号。これは、ねぶた祭の開催日(8月2日~7日)にちなんだものだとか。

客室のねぶた全体のテーマは、「古代東北の歴史」。制作協力した、ねぶた師の竹浪比呂央氏は、東北復興の願いや祈りを込め、東北の3人の英雄の伝説を題材にしたそうです。

客室のドアを開けると、出迎えねぶたと名付けられた「田村麿(たむらまろ)と妙見宮の鬼面」とご対面。高さ約2メートル! その迫力にいきなり度肝を抜かれます。

■主室へと続く廊下は跳人ロード!

ねぶた絵から奥の居間に続く廊下は、「跳人(はねと)ロード」になっていました。跳人とは、ねぶた祭の踊り子のこと。「ラッセラー!」の掛け声とともに左右2回ずつ跳ねるステップを踏むのですが、玄関から主室に続く廊下の床には、跳人のステップの足跡がついていて、それに合わせて進むと、自然とステップを踏むことができるという仕掛けになっています。

じゃあ跳ねてみましょうか、と挑戦してみたのですがこれがなかなか難しい。足跡の幅はけっこう大きくて、かなり本気で跳ねないと足跡どおりにはいきません。なお、客室には跳人の衣裳(花笠付き)も用意されているので、かなり真剣に跳人に挑むことができます。

主室には、阿弖流為(アテルイ)の立体ねぶたが控えていました。幅約3.2メートル、高さ約1.4メートルとかなりの大きさです。今にも動き出しそうな、東北の雄・阿弖流為の鋭い視線のなか、一杯やるのも悪くなさそうですよ。

阿弖流為の迫力にしばしやられてしまいましたが、部屋の隅々に目を向けると、立体的なねぶたが突きだしていたり、ティッシュケースもねぶた仕様になっていたりと、細かなこだわりに思わずにんまりしていまします。テレビを隠すためのパネルにもねぶたが(「TV見っかねぶた」)。テレビを見ないときにはねぶた絵の鑑賞ができるというわけです。

■コンセントやティッシュケースもねぶた仕様!

寝室の天井には、天より授かった竜馬(りゅうば)に乗る義経が鎮座していました。荒れ狂う津軽海峡を渡ろうとする場面をあらわしているのだとか。

ちなみに、義経のねぶたは暗闇で光るようになっていて、電気を消してもねぶたの視線から逃れられません(笑)。でもだんだんとその視線にも慣れてきますので、ご安心を。

いや~、「青森ねぶたの間」、想像を超えるねぶた度です。ルームキーはもちろんのこと、お風呂場やトイレの便座カバーにも、ねぶたが描かれていました。妥協なしです(笑)。

「青森ねぶたの間」以外にも、「青森屋」は“ねぶた天国”です。ショーレストラン「みちのく祭りや」では、青森の四大祭り(青森ねぶた祭、弘前ねぷたまつり、五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)、八戸三社大祭)のショーが、1年365日、行われています。

ステージ上に、お祭りのねぶたが並ぶのは壮観のひとこと。実際のお祭りで使われたものもあれば、「青森屋」のために、ねぶた師に作ってもらったものもあるのだそうです。

お囃子に合わせ、山車が動き出し、跳人が跳ねるのは大迫力ですよ。「私も跳ねてみたい!」と思ったあなたもご心配なく。最後にはゲストが跳ねられる時間もあります。

■「じゃわめぐ広場」で青森の熱い夜を過ごす

ショーを終えて会場を出ると、そこは「じゃわめぐ広場」。「じゃわめぐ」とは、津軽弁で 「ワクワクする」の意味で、文字どおり、「じゃわめぐ」気分になれる要素が詰まったエリアです。

自慢の温泉の入口もここにあります。青森ひばの香りも豊かな内湯、池に浮かぶように設えられた露天風呂「浮湯」で、とろとろ肌にやさしい「アルカリ性単純温泉」を満喫してください。

青森の美味しいお酒に"酔ってしまえ"と名付けられた「ヨッテマレ酒場」は、24時まで営業。「青森屋」厳選の青森土産がそろう売店や、カラフルな浴衣がレンタルできる「浴衣処いろは」もあります。

刺激を与えると口を閉ざす、ホタテの習性を活かした「ほたて釣り」も実施中。レバーを回わせば 、カプセルに入った生のりんごが出てくる「りんごガチャガチャ」 も気になるところです。

中央のステージでは、「じゃわめぐショー」を開催。伝統芸能の南部民謡 や津軽三味線の演奏のほか、スコップと栓抜きで行われる「スコップ三味線」も楽しめます。そうそう、「じゃわめぐ広場」では、朝、青森弁 のラジオ体操を実施しているのだとか。私は起きられなかったのですが、次回はぜひ参加してみたいです!

「じゃわめぐ広場」をはじめ、「青森屋」の敷地内では季節ごとのイベントが行われています。私が滞在した夏は、金魚型の灯篭「金魚ねぷた」と青森の方言で氷を意味する「しがっこ」をテーマにした「しがっこ金魚まつり」が開催されていましたが、収穫の最盛期を迎える秋は、「じゃわめぐりんご×ほたて祭り」を実施。

2019年新登場の「りんごの競り体験」や「ほたてがみ」、りんごの灯篭が並ぶ「りんご灯篭回廊」など、秋限定の、じゃわめぐプログラムが満載ですよ。

なお、「じゃわめぐ広場」と宿泊棟をつなぐ回廊は、津軽錦という尾びれの長い金魚をモチーフにした金魚型の灯籠が並ぶ、格好のインスタスポット。きらきら光る、金魚の灯籠に、大人でもテンションが上がります。

■個性豊かなレストランは3カ所

旅に「食」は欠かせませんが、「青森屋」には個性豊かなレストランが3カ所あります。

まずは前述のショーレストラン「みちのく祭りや」。こちらでは青森の郷土料理を集めた「お祭り御膳」が、お祭り気分が盛り上げてくれます。「のれそれ食堂」は、"かっちゃ(お母さん)のぬくもりご飯"をコンセプトにした、バイキングレストラン。

古民家農家の台所をイメージした、ほんわかした空間で、青森の家庭料理を中心にしたメニューを好きなだけいただけます。古民家を移築した、かやぶき屋根の古民家レストラン「南部曲屋(なんぶまがりや)」では、青森の人々に昔から親しまれている、ホヤやフジツボなど15品の海の幸「七子八珍(ななこはっちん)」の食材を取り入れた「七子八珍会席」がいただけます。

朝に提供している「古民家の田舎 ご膳」も好評です。炊き立ての土鍋ご飯や郷土料理「味噌貝焼き」、囲炉裏で焼き上げたばかりの川魚がいただけますよ。

まるごと青森を体感できる「青森屋」は、ファミリーはもちろん、大人も存分に楽しめる、エンターテインメント施設。星野リゾートには、宿の特徴に合わせ、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」、そして2019年に開業した「BEB」と、5つのブランドがありますが、この「青森屋」はどこにも属していません。実際に宿泊してみて、その理由がわかりました。ここ、かなり個性際立ってますからね~! そして、やっぱり楽しい!

今回、行けなかったレストランにも行きたいし、気になるアクティビティももりだくさん。またぜひ違う季節に訪れたいところです。池に浮かぶ露天風呂「浮湯」の周辺の池に、小灯篭と天灯 が浮かぶ雪見露天「ねぶり流し灯篭」も気になります。

温泉旅館|星野リゾート 青森屋 【公式】

https://noresoreaomoriya.jp/

「星野リゾート 青森屋」は祭り文化や湯治文化、郷土芸能など青森が誇る素晴らしい文化を目一杯感じられる宿です。青森4大夏祭りを楽しめるショーレストラン〝みちのく祭りや”、池に浮かぶ露天風呂「浮湯」をお楽しみください。

長谷川 あや

フリーランスライター。出版社勤務後、フリーに。食、旅、エンタメなど、ライフスタイル系を中心に、雑誌、ウェブ媒体などに執筆。共著に、『魅惑のミュージカル鑑賞入門』(世界文化社)、『日経エンタテインメント! 大人のディズニーSp...

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