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大人女性のお悩みのひとつ、更年期障害。40歳を過ぎたあたりから現れ、ほとんど気にならない、という方もいるようですが、中には日常生活に支障をきたすほど、症状が重たいと感じる方も。今回は「更年期障害における漢方を使ったケア」を薬剤師で、わたし漢方株式会社代表取締役の水沼未雅さんがご紹介します。
40歳を過ぎたあたりから現れる更年期障害。ほとんど気にならない程度の方もいるようですが、中には日常生活に支障をきたしてしまうほど重い症状に悩まされる方も。
今回は、そんな辛い女性の悩みに向き合う「わたし漢方株式会社」代表取締役・水沼未雅さんに、「更年期障害における漢方を使ったケア」をテーマにお話を伺いました。
忙しく過ごす現代女性の美と健康を、漢方の力でサポートしている水沼さん。
「更年期になると、ホルモンバランスの乱れからさまざまな不調が出てきます。体力の低下、不眠、残尿感、腰痛などの辛い症状を少しでも緩和していくためには、基本のアンチエイジングケアに加え、体質や症状に合わせたケアをしていくことが大切です」
そもそも、「アンチエイジング」とは何でしょうか?
「アンチエイジングとは、弱まっている生命力を補うこと。漢方の世界では、生命力の源が衰えていることを腎が衰えると言いますが、これによりいろいろな更年期障害が発生するのです。弱った腎を補って元気にしてあげるため、まずは食べ物でアプローチしてあげるのが簡単です」
「弱った腎を補ってくれるのは、木の実類や海藻、ネバネバしたもの、黒い食材など。また、腎が弱ると冷えてくる方が多いので、しょうがやニラ、ラム肉などの身体を温めてくれる食材を食卓に取り入れるとよいでしょう」
更年期障害と一口に言っても、さまざまな症状があります。遺伝や季節、生活習慣などからくる個人の体質によって、その症状は大きく異なるのだそう。皆さんも下のシートを参考に、ご自身の体質をチェックしてみてください。
エネルギー不足の気虚タイプ。痩せ型の方や出産前後の方に多く見られます。栄養を吸収してエネルギーに変える力が弱いため、これからの季節は特に、胃腸をケアして元気をつける漢方がおすすめです。
自律神経の乱れからくる気滞タイプ。忙しさからストレスが溜まりやすい女性に多く見られ、現代人の半分はこのタイプだと言われています。更年期に入り、強まってくる方も多いです。
血行不良からくる、瘀血(おけつ)タイプ。血の巡りが悪いので、クマが出てきたり、アザが治りにくかったりします。また、生理のときに血が固まって出てくる方も要注意。本来、経血はサラサラなものなので、瘀血のケアをしっかりしてあげることが大切です。
栄養・潤いが不足している血虚タイプ。色白の方に多いです。物忘れや集中力の低下、お肌や髪がカサついてきている方は、血が足りていない証拠。ちなみに、アスリートや運動部の学生に生理が来なくなってしまうのは、激しい運動で多くの血を消耗してしまうためです。
水分代謝が不足している水滞タイプ。むくみが気になったり、雨の日にだるさなどの不調を感じたりする方が多いです。水分代謝を良くすることを心がけていきましょう。
更年期の不調を持つ方に見られる症状として多いのが、Bの気滞とCの瘀血。全体の約半分は気滞、3分の1が瘀血と言われているのだとか。そこで、多くの方が悩まされる気滞と瘀血について、漢方の選び方や普段の食事に取り入れたい食材を伺いました。
イライラしてしまう方は、気を巡らせるための血が足りていない証拠。寝つきが悪かったり、歯ぎしりがあったりする方は、イライラのケアをして落ち着かせることが大切です。
■おすすめの漢方
・内に閉じ込めてイライラしてしまう人 加味逍遙散(かみしょうようさん)
・イライラすると人に当たってしまう人 抑肝散(よくかんさん)
■食膳のポイント
・シソ、ほうれんそう、にら、ハーブ類などの緑色野菜
・酢の物、かんきつ類などの酸っぱいもの
気滞と血虚が合わさったタイプの方に多いです。脳に上手く栄養がいかずに集中できなかったり、心を元気に保つ力が足りずに不安になったりするため、心を安定させるケアをしてあげましょう。
■おすすめの漢方
・ドキドキして眠れない人 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・疲れが溜まりやすい人 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・不安時の頓服にも使える 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
■食膳のポイント
・トマトやキュウリなどの夏野菜
・フキノトウやニガウリなどの苦みのある野菜
・ミネラルの豊富な食事
気分が落ち込んでしまう方、深い眠りにつけない方はこのタイプ。気の巡りが悪く、胃腸の働きも弱くなってしまっていることが考えられます。心と共に胃腸もケアしながらパワーを底上げしていく漢方がおすすめです。
■おすすめ漢方
・加味帰脾湯(かみきひとう)
■食膳のポイント
・かぼちゃやサツマイモなど、黄色くて甘いもの
・穀類、芋類、豆類など、消化によいものをよく噛んで食べる
瘀血の方は、血の巡りが滞っていることにより、熱が身体全体にうまく行き渡りません。そのため、「手足は冷えているのに上半身はのぼせている」なんてことも。のぼせたものを冷ましてあげるほか、血行を良くして熱を分散させるアプローチが有効です。
■おすすめ漢方
・のぼせ・ほてり 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・頭痛・肩こり 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・通導散 (つうどうさん)
■食膳のポイント
・しょうがやニンニク、らっきょうなどの身体を温め血行をよくする食材
・お酢も血の巡りを良くします
「不調の原因を探し、身体の中で滞っているものを上手く流して、歪んだバランスを整えることが大切です。ちょっとした体の変化から辛い症状まで、ひとりで悩まずに、まずは相談してみてください」
今回お話を伺った水沼さんが代表を務める「わたし漢方株式会社」では、自分に合った漢方を教えてくれるLINEサービスを運営しています。
LINE上で自動質問に回答した後、薬剤師が一人ひとりの体質をカウンセリング。一緒に漢方薬を選んで最短翌日に自宅に届けてくれるので、忙しくてなかなか医療機関に足を運べない人でも気軽に漢方を試すことができます。
もちろん、服薬中も薬剤師にLINEで相談ができるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
「わたし漢方ブログ」でも、体を健康に保つための漢方の情報を、日々更新しています。ぜひチェックしてみてください。
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取材協力/水沼未雅さん
わたし漢方株式会社代表取締役。薬剤師・博士(薬学)。京都大学薬学部、東京大学薬学研究科修了。製薬会社、コンサルティング会社を経て起業。
画像/Shutterstock