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映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』感想。激動の16世紀英国を生きたふたりの女王の激しくも華麗な物語!

【シネマの時間】第57回は、第91回アカデミー賞ノミネート作品!映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』をご紹介します。メアリー・スチュアート Xエリザベス一世、激動の16世紀英国を生きたふたりの女王の物語。ぜひお楽しみください。3月15日(金)より TOHOシネマズシャンテほかロードショー。

映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』感想。激動の16世紀英国を生きたふたりの女王の激しくも華麗な物語!

こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。

読者の皆さんは、激動の16世紀ヨーロッパを生きたメアリー・スチュアートとエリザベス1世というふたりの女王のことをご存知ですか?

【シネマの時間】第57回は、アカデミー賞ノミネート最旬女優の競演で贈る映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』をご紹介します!

スコットランド女王にしてフランス王妃のメアリーを鮮烈に演じるのは、『レディ・バード』『ブルックリン』『つぐない』ほか3度のアカデミー賞ノミネートのシアーシャ・ローナン。

気高く繊細なイングランド女王エリザベスには、『アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル』でやはりアカデミー賞にノミネートされたマーゴット・ロビー。

16世紀ヨーロッパの宗教問題や大国同士の駆け引き、ジェンダー、男性社会の中で運命に翻弄されながらも、信念ある女王たちの激しくも華麗に生きる姿は、多くの共感を呼んでいます。

メアリーの最初の夫ダーンリー卿には、『ダンケルク』などで脚光を浴びた実力派俳優のジャック・ロウデン、『女王陛下のお気に入り』ほか出演作が立て続けに公開されるジョー・アルウィンが、エリザベスの寵臣ロバート・ダドリーに扮して恋愛模様も描かれ興味深いです。

さらに、本作には『エリザベス』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』のアカデミー賞受賞スタッフが再び集結!

当時のヨーロッパ文化や歴史を楽しめる美しい衣装やヘアメイク、建築などは、映画ならではの素晴らしい映像美で見逃せません!

例えば、エリザベス1世は、威厳ある姿を見せるために豪華に着飾ることを好み、特徴的な大きな襟は、「エリザベスカラー」と言われファッション用語になっているほど。

メガホンをとったのは、イギリス演劇界のトップ女性演出家ジョージー・ルーク。

女性監督ならではの視点で壮大な歴史ドラマを背景に、ふたりの女王たちの内面も丁寧に描き出し、心揺さぶられます。

脚本は、ゴールデングローブ賞ほか数々の賞を獲得したテレビドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のボー・ウィリモン。

ヘアメイクを担当したのは、ケイト・ブランシェット主演『エリザベス』でアカデミー賞を獲得したジェニー・シャーコア。

そして、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』でやはりアカデミー賞を受賞したアレクサンドラ・バーンがコスチュームデザインを手掛け、一つひとつの衣装が本当に素敵で映画を美しく彩っています。

ぜひ、この機会に映画館でお楽しみください!

■映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』あらすじー激動の16世紀英国を生きるふたりの女王の物語

激動の16世紀のヨーロッパ。

当時のヨーロッパは、カトリックとプロテスタントの間で、宗教戦争の真っただ中にありました。

さらにヨーロッパ西部では、ハプスブルク(オーストリアなどドイツ側の王家とスペイン王家)とヴァロワ(フランス王家)とが覇権を争い弱肉強食の世界。

そんななか、スコットランドでカトリックとして生まれたメアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)は、父の急逝により生後わずか6日でスコットランド女王に即位。

幼少期、身の安全のためにアンリ2世の手によってフランスへ渡り、15歳でフランス王太子フランソワ2世と結婚します。

16歳でフランスの王妃に、18歳で未亡人となり、母国スコットランドへ王位に戻ることに。

後ろ盾になったのは、スコットランドの軍事を担ってきたボスウェル伯(マーティン・コムストン)がメアリー・スチュアートでした。

メアリー・スチュアートがフランスにいる間、プロテスタント教徒たちがスコットランドで勢力を拡大。

異母兄マリ伯(ジェームズ・マッカードル)が摂政としてメアリー・スチュアートの代わりに国を統治していました。

長老派の指導者ジョン・ノックス(デヴィッド・テナント)は、スコットランドのプロテスタント教徒たちを率い、女性君主は神の意思に反すると主張。

ジョン・ノックスに加えて、国務大臣メイトランド(イアン・ハート)もカトリックの女王を快く思わず、メアリー・スチュアートの統治はなかなか上手くいきません。

ジョン・ノックス、メイトランド、マリ伯らは、何度も陰謀や内乱を画策しましたが、そのたびにメアリー・スチュアートを助けたのはボスウェル伯でした。

イングランドでは、エリザベス1世(マーゴット・ロビー)が25歳で即位。

ウィリアム・セシル(ガイ・ピアース)やレスター伯ロバート・ダドリー(ジョー・アルウィン)ら枢密院と侍女ベス(ジェンマ・チャン)たちが彼女を支えていました。

メアリー・スチュアートがフランスからスコットランドに戻ったとの知らせに、枢密院内は緊迫した空気が走ります。

早く結婚して世継ぎを産むよう、プレッシャーをかけられるエリザベス1世。

メアリー・スチュアートは生まれた時からエリザベス1世の王位継承権のライバルでした。

従姉妹でありながら恐れ合い、同時に惹かれていたふたり。

女性として世を治めるとはどういうことなのかは、このふたりにしか理解しえなかったのです。

メアリーを恐れるエリザベス1世は、彼女をコントロールするため、寵臣ダドリーを結婚相手として提案します。

実はエリザベス1世は天然痘にかかっていました。

王位継承権をエリザベス1世が認めるならば、ダドリーとの結婚は受け入れる、というメアリー・スチュアートからの手紙を読み、自分の死が近づいているかもしれないこと、愛するダドリーを奪われるかもしれないことに心を乱されるエリザベス1世。

しかし、エリザベス1世は一命をとりとめます。

一方、メアリー・スチュアートは、同じスチュアートの血を引くダーンリー卿ヘンリー・スチュアート(ジャック・ロウデン)と出会い恋に落ちます。

そして、彼と結婚し、子どもを身籠ります。

何よりも正当なイングランドの王位継承権を持った子どもであり、生まれればメアリー・スチュアートの次のスコットランド王位継承権はその子に譲られるのです。

スコットランド宮廷の男たちは自分たちの権利を守ろうと躍起になりました。

そして、メアリーが重用していたデビッド・リッチオ(イスマエル・クルス・コルドバ)とメアリーの関係を疑い始めたダーンリー卿の父レノックス伯(ブレンダン・コイル)はマリ伯と共謀し、息子を巻き込んでメアリーの部屋にいたリッチオを殺害してしまいます。

リッチオ殺害事件の後、メアリーは23歳の時に世継ぎジェームズを産みます。

メアリーは、誕生に際し「代母になってほしい」という手紙をエリザベス1世に送り、エリザベス1世は受諾。

さらに「エリザベス1世に子どもが生まれなければ、ジェームズを後継者に」という提案までも了承しました。

恋愛、結婚、出産を経験し、若く美しく自信にあふれたメアリーに複雑な想いを抱くエリザベス。

しかし、結婚によって王室の混乱が深まるのを目の当たりにし続けてきたエリザベス1世は、愛する人が目の前にいたとしても、その争いを避けたかったのでした。

彼女が結婚した相手は人間ではなく国家「イングランド」。

メアリーとエリザベスの手紙により、イングランドとスコットランドに和平が訪れるかに見えました。

しかし、メアリーの敵はあまりに多く、宮廷におけるおぞましい陰謀や策略は渦巻いていました。

ダーンリー卿がリッチオ殺害に絡んでいたのを知ったメアリーは、ダーンリー卿と別居していましたが、ボスウェル伯らによってダーンリー卿は殺害されます。

メアリーのためを思って、自身が王になることを望み、マリ伯たちにそそのかされたボスウェル伯は半ば無理矢理にメアリー・スチュアートと結婚します。

しかし、ボスウェル伯との結婚は民衆から受け入れられませんでした。

メアリーがボスウェル伯と結婚するためにダーンリー卿を殺した、という噂はジョン・ノックスたちによって国中に広まり、国民はメアリーの退位を望んだのです。

強い軍指導力を持っていたボスウェル伯であっても、兵を集めることは難しく、ふたりは投降することになります。

ジェームズはマリ伯に預けられ、マリ伯は摂政となりました。

何度も窮地を脱してきたメアリー・スチュアートでしたが、なす術もなくエリザベス1世に助けを求めます。

そして、ふたりは秘密の会談を行うのですが……!

■映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』作品紹介

映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
2019年3月15日よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
公式サイト:http://2queens.jp/

原題:Mary, Queen of Scots
監督:ジョージー・ルーク
脚本:ボー・ウィリモン
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード
原作:「Queen of Scots: THE TRUE LIFE OF MARY STUART」(ジョン・ガイ著)
製作総指揮:アメリア・グレンジャー、ライザ・チェイシン、ケイト・パッケナム
共同製作:ジェーン・ロバートソン
撮影:ジョン・マシソン(BSC)
美術:ジェームズ・メリフィールド
編集:クリス・ディケンズ
衣装:アレクサンドラ・バーン
ヘア&メイク:ジェニー・シャーコア
音楽:マックス・リヒター
キャスティング・ディレクター:アラステア・クーマー(CDG)
協力:パーフェクト・ワールド 
製作:ワーキング・タイトル
監修:君塚直隆(関東学院大学教授)
字幕翻訳:牧野琴子
製作年:2018
製作国:イギリス
上映時間:124分
配給:ビターズ・エンド
映倫:G
©2018 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2queens.jp

■映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』キャスト

メアリー・スチュアート=シアーシャ・ローナン
エリザベス1世=マーゴット・ロビー
ダーンリー卿=ジャック・ロウデン
ロバート・ダドリー=ジョー・アルウィン
ジョン・ノックス=デヴィッド・テナント
ウィリアム・セシル=ガイ・ピアース
ベス・オブ・ハードウィック=ジェンマ・チャン
ボスウェル伯=マーティン・コムストン
リッチオ=イスマエル・クルス・コルドバ
レノックス伯=ブレンダン・コイル
メイトランド卿=イアン・ハート
ランドルフ卿=エイドリアン・レスター
マリ伯=ジェームズ・マッカードル

【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO

諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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