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“泊まれる森のレストラン”で絶品イタリアンを。「オーベルジュ飛騨高山」

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居心地のいいホテルで、美味しいものを食べて、ゆるゆると滞在したい──。トラベルライター、長谷川あやさんが月1回、こもりたくなる宿を取り上げる連載【大人のおこもり旅】。第1回目の今回は、飛騨高山にある「オーベルジュ飛騨の森」宿泊記をお届けします。

“泊まれる森のレストラン”で絶品イタリアンを。「オーベルジュ飛騨高山」

居心地のいいホテルで、美味しいものを食べて、ゆるゆると滞在したい──。そんなふうに思っていたとき、食いしん坊の友人が、「ぴったりの宿があるよ」と教えてくれたのが、飛騨高山にある「オーベルジュ飛騨の森」でした。

オーベルジュ飛騨の森、一体どんな宿だろう? さっそくウェブで軽くリサーチすると、15年近く海外で勉強した料理人が、奥さまの実家のペンションをリニューアルし、オーベルジュ(※)としてオープンした宿だそう。

※宿泊施設を兼ね備えたレストラン

そこの料理が絶品だというのです。時期にもよりますが、外国人の利用が8割を占め、連泊していく人も珍しくないのだとか。面白そう(&美味しそう)〜。

元ペンションですから、バス・トイレは共同です。ハード的には、決して「ラグジュアリー」ではありません。

でも、ある外国人の利用者が口コミでコメントしていた、「とても美味しく、ラグジュアリーで、ピースフルな時間が過ごせた」という言葉がとても印象に残っていました。そんなわけで、足を運んでみたのです。

「飛騨」という地名はみなさん、聞いたことがあると思いますが、日本地図でどの場所か指せますか?

私ははっきり言って自信がなく、またしてもウェブで調べてみることに。飛騨地方は、岐阜県北部に位置する4つの市町村(高山市、飛騨市、下呂市、白川村)のことをさし、「オーベルジュ飛騨の森」は、住所は高山市に位置。最寄駅は高山駅になります。

JR高山駅でタクシーに乗り、「オーベルジュ飛騨の森」の名前を運転手さんに告げると、「そんなところあったかなあ」と運転手さん。えー! 「たぶん、スキー場の近くのペンションのことかな」。少し不安を感じましたが、失礼しました! 運転手さんの言う通りでした。

お目当てのオーベルジュは、駅から車で約10分のスキー場の横で、木立に囲まれて経っていました。道路から30〜40メートルほど入っただけなのに、ここだけ別世界。クルマから荷物を出していると、オーナー兼シェフの中安俊之さんが宿から顔を出てきてくれました。イケメンです。

中安さんは、オーストラリア、イタリアで15年以上にわたり研鑽を積んだ料理人。帰国後の2016年、「オーベルジュ飛騨の森」を開業しました。

どこか都会的な雰囲気の中安さんは、東京生まれの東京育ち。「渋谷の高校に通っていました。思いきり東京人ですが、もう都会には帰りたくないですね」と、すっかり田舎暮らしが気に入っているようです。

建物の中に入り、まず目を引いたのは吹き抜けのラウンジ。冬には薪ストーブに火が入り、暖が取れます。ここでコーヒーやお酒をいただきながら、本をめくりたいな、なんて楽しい想像が膨らみます。

■全室「森林」ビュー!?

客室は全7室。豪華ではありませんが、シンプルで清潔。インテリアがシックにまとまっています。

窓の外に広がるのは雑木林。オーシャンビューさながら(?)の、全室「森林」ビューです。窓辺から差し込む木漏れ日も心地良く、なるほど、ここでおこもりを決め込むのも悪くありません。

居住性は抜群。仕事もはかどりそうです。いや、仕事をしていたらもったいないかな? 

前述の通り、客室にバス・トイレはありません。2カ所ある浴室を自由に使う形になるのですが、7部屋で2カ所ですから、そう混み合うこともありません。清潔で広々していて、のんびりと寛げます。

■オーセンティックなイタリアンへのこだわり

さて、オーベルジュですもの、否が応でも料理への期待値はマックスですよね。食事は朝夜ともに、1階のダイニングルームでいただくのですが、そのダイニングルーがまた、木々の温もりを感じる素敵な空間。

海外のオーベルジュにいるのかと、一瞬、勘違いしてしまうような、雰囲気をたたえています。大きなガラス窓も開放感があって、朝も気持ち良さそうです。

お待ちかねの夕食は、イタリアンのお任せコース。……正直に言ってしまえば、自家製パンの段階で、私、すでにノックアウトされちゃいました。

地方のイタリア料理というと、地元産の食材を使うことを一番の売りにしたものが多かったりしますが、中安さんが目指すのは「骨太のイタリアン」。飛騨エリアの食材は、積極的に使いますが、あくまでもオーセンティックな料理にこだわります。

タコのカルパッチョに、揚げたなすやカラスミが添えられた前菜は、これまで見たことも食べたこともないメニュー。エビとアンドゥーヤ(イタリアの辛いソーセージ)のリゾットも忘れ難い味。

リピーターの熱い支持を集めている手打ちパスタは、この日は鹿と栗のラグーのニョッキ。赤ワインにぴったりです。

メインの飛騨牛は、この日は煮込みでいただきました。ほろほろととろけるような飛騨牛は、とろっとした脂身も美味しく、思わず顔がにやけます。

■ワインはすべて自然派!

そうそう、こちらで供されるワインは、すべてオーガニックワインなんです。料理とのペアリングでも提供してくれるので、いろいろなワインを少量ずついただくことができます。

一皿ごとに、料理にぴったりのワインを合わせてくれる中安さん、さぞやお酒好きかと思いきや、「僕はお酒が全然飲めないんです。だからこそ、ワインの特徴がわかるのかもしれませんね」とのこと。信頼してお任せして間違いはありません。

これは朝食も期待できる! と、朝もわくわくとダイニングに向かいました。朝食は自家製パンや、野菜の味がしっかりしたサラダなどが供されます。

もちろん美味しいですが、私が個人的に、夢に出てくるくらいに(大げさ?)好みだったのが、自家製グラノーラ。そもそも自家製のグラノーラを食べたこと自体が初めてでしたが、味、食感ともに多彩で、自家製のヨーグルトとも好相性。

パンと卵、ひき肉を炒めたメインも絶品で、これまたワインに合いそう(笑)。添えられた野菜も、しっかり大地の味がしました。大切に育てられた、新鮮な野菜だとすぐにわかります。

レストランの前には、ウッドデッキがありました。アルプスの山々を見ながら、ここでコーヒーをいただくのも良さそうです。聞けば、連泊するゲストの方は、2日目には、上高地や白川郷に足を伸ばす方が多いとか。

気候がよければ、このウッドデッキや、窓からは木々の緑が見渡すことができる客室で、時間を忘れて過ごすのも最高の贅沢かもしれません。

今度はいつ訪れようか、どんな風に過ごそうかな、あ、でもオンシーズンは満室になることも多いそうだから早目に予約しなくちゃと、早くも次に訪れる計画を立てながら宿を後にしました。

気づけば、すっかり美味しい空気と美味しい食事、そして、中安さん夫妻の温かなおもてなしの虜になっていました。

連泊の場合、「もちろん同じ料理はお出ししません」と中安さん。ビーガンやベジタリアンにも対応しているとのことです。

なお、ディナーは宿泊していなくても利用可能。気軽に食事に行ける近所の人がうらやましくて仕方ありません!

■ひと足伸ばして

JR高山駅を、オーベルジュとは反対方向に15分ほど歩けば、重要伝統的建造物群保存地区となっている高山市の「古い町並」に出会えます。

朝市などで、手作りの味噌や漬物を購入してみてはいかがでしょう? 「オーベルジュ飛騨の森」に連泊するなら、里山の風景に、高山市内から車で約1時間の世界遺産・白川郷合掌造り集落まで足を伸ばすのもおすすめです。

日本三大名湯に数えられる「下呂温泉」の最寄り駅下呂駅へは、JR高山本線「特急ワイドビューひだ」で約50分。

下呂温泉には無料で利用できる足湯がいくつもあり、フォトジェニックなお土産もの屋さんもあったりと、泊まらなくても充分に楽しめそう。

たとえば、足湯を併設している「ゆあみ屋」の名物は、「温玉ソフト」(410円)。ソフトクリームに温泉卵、そして玄米フレークの組み合わせたスイーツで、かき混ぜて食べるとプリンの味がするんです。斬新です。

アニメーション映画『君の名は。』で聖地となった、JR飛騨古川駅までは電車で16分ほど。白壁土蔵街を眺めながら、石造りの瀬戸川沿いを歩くだけでも心が躍ります。

かつて池波正太郎も宿泊し、その料理を絶賛した老舗旅館「料理旅館 蕪水亭」では、飛騨の薬草を使った、薬草料理が楽しめます(食事のみの利用もできます)。

オーベルジュ飛騨の森

https://www.hidanomori.jp/

高山市街から車で約10分。周りを緑に囲まれ静かで自然豊かな場所に位置しております。日常の喧騒から離れ、ゆったり落ち着いた時間を過ごしたい方に特におすすめの宿です。1泊朝食付ツイン7,400円〜、1泊朝食+イタリアンディナー付きもございます。

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長谷川 あや

フリーランスライター。出版社勤務後、フリーに。食、旅、エンタメなど、ライフスタイル系を中心に、雑誌、ウェブ媒体などに執筆。共著に、『魅惑のミュージカル鑑賞入門』(世界文化社)、『日経エンタテインメント! 大人のディズニーSp...

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