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やめる・捨てる勇気を持って、譲れないものと向き合う。不器用な私の生き方

始めることも大事だけれど、やらないことを選んでやめる、捨てることも、限りある人生を生きるには大事なこと。Drまあやさんに「以前はしていたけれど、やめて心が楽になったこと」について綴っていただきました。

やめる・捨てる勇気を持って、譲れないものと向き合う。不器用な私の生き方

私は基本的に、何もしなくてよいなら、ぼーっとしていたい人間です。

ナマケモノが羨ましいなあ。シロナガスクジラになって、大海原を優雅に泳いでいたら気持ち良いだろうなぁ。なんて考えてしまいます。

しかし、世の中大金持ちのお嬢様以外、働かないと生きていけません。容姿に恵まれていないためオトコに頼る……という選択肢はないのとわかっているため、手に職を持って生きていく決意をしました。

そんなわけで、本来テキパキ考え、動く、働く、というタイプではないのに、生きていくために仕事人間になってしまったんです。しかも、「ナマケモノ女」が「脳外科医」という超過酷な道を自ら選択したのです。

しかし、人間の性分は、そんなに簡単には変わりません。さて、どうしたものか? 自分のやりたい仕事のために、何を削ぎ落としていったか?

テキパキ働き、公私ともに充実しているリア充女性には憧れますが、私にはちょっと厳しすぎる道……。

以前からこのコラムの中でお話しさせていただいていますが、真っ先に捨てたもの。それは「女として生きていくこと」。

初めて「女子として生きていくのをやめよう」と認識したのは小学1年の冬でした。クラスのポジションとして、「カワイイ女子」を目指すのではなく、三枚目、「おもしろ女子」を目指すことにしたのです。

それは、今に続きます。大学に入り、それでも少し「女」としての可能性を期待し、大学入学時に百貨店の化粧品売り場でお化粧を教えてもらい、一式購入しました。

しかし、化粧をした顔がどうにもピンとこない。学校に行くとき、毎日化粧をしてみるのですが、授業中ついつい眠くなり、寝てしまったりすると、ノートがファンデーションで汚れてしまう。

綺麗になるために化粧をしているはずなのに、対して綺麗になれず、モテモテ女子大生生活になったわけでもなく、ノートだけが汚れていく……。これはもう意味がない! と20歳のときに毎日化粧をするのをやめました。

正直、これはかなり楽な生き方です。女を意識することがなくなると、気持ちが楽になります。そして、今に至り、おかげで脳外科医になって、朝だろうと昼だろうと夜だろうと、終日呼ばれる日々に、化粧をせずに緊急対応がしやすいってなもんです。

しかし、女として生きることをやめた代償として、「孤独」を背負うことになるわけです。

一生懸命生きること、生真面目に生きること、要領よく生きること、だらだら生きること。

「あたし、一生懸命生きるの、やめた! もっと、自由に考えて、楽しく生きるのっ!」と言っていい人は、そもそも子どもの頃から、一生懸命物事に取り組んできた人、もしくはとにかく生真面目に生きることを親に強制させられていて、気がついたら、ただひたすら一生懸命生きる生き方しかできなくなった人ですよね。

私の場合、そもそもナマケモノ。木にぶら下がっていたところ、「どうも一生懸命生きないと、エサはないらしい」と気づかされ、ナマケモノのままでいてはいけない、と突如として「働きアリ」になる。

ナマケモノの割にはよくがんばってはいると思うのですが、世の中を器用に生きてがんばっている人、輝いている人にに比べたら、遠く及ばない。

ただでさえ、遠い昔に「女性らしく生きる」ことを捨てているのに、仕事までがんばらないで、一体どうするんだ! という話です。

本来、女性としても、小さい頃から何かがんばってきたか、というと、家の手伝いもせず、のらりくらり生きていたように思います。女性として、何か見た目を整えてきたわけでもない。

なのに、わずか1年足らずで、化粧することもやめる……。「もう少し、がんばってからやめろよっ! みんな綺麗になりたいとたくさん努力してるんだよっ!」と20歳の自分自身にツッコみたくなる、43歳の私。

従って、私は、これ以上何かを「や〜めたっ!」と言っていい人ではないのでしょう。

まとめると、
今まで、何もかもがんばってきた人
→がんばりすぎると、倒れちゃうから、少し息抜きしながら生きたらどうか?

今まで、仕事ややらなければならないことに対して、なんやかんや言い訳をして自分の目標を達成できていない、もしくはなりたい自分になれていない
→目の前の少しでもできることを探してがんばれ!

女性としても結婚して生活を持って子育てもして、仕事もバリバリこなす。いろいろなことを同時にこなしていける器用さ、体力が備わった能力の方は、たくさんいらっしゃると思います。

しかし、私は、そんなに器用な人間ではないため、生きるために「脳外科医」としてさらには「デザイナー」としてがんばるために、「女性としての生活」を捨てざるを得なかったわけです。

みんながみんな、器用に生きることができるわけではないし、そもそも他人と比較してどうこう、と考えてすぎるのもいいことではない。止むを得ず、何かを諦めて、自分の目標を達成させることで、自分の人生をより満足できるようにさせていくわけです。

何度かここでお話しさせていただいていますが、とにかく器用に生きられない人は、自分が人生において譲れないことを確認し、優先順位をつけて、目標に向かって行動するしかないですね。

私も、もう少し「人間」としてがんばります!

Drまあや

脳外科医兼デザイナー/1975年東京生まれ・岩手県北上市育ち 岩手医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学脳神経外科医局入局。2010年ロンドンのCentral Saint Martins に留学し、デザインの勉強する。帰国後、...

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