カラダから始まる恋も確かにあります。どんなタイミングで人を好きになるかは誰にもわかりませんが、セフレとの関係では、忘れたくないのは「これから」のこと。セフレから恋愛関係に発展させるには、まず「先」があるかどうかを考えることが必要です。セフレを好きになったとき、何を見極めれば良いのでしょうか?
「彼氏はいらないけどセフレなら」。アラサー女性がさらに深めた孤独とは
彼氏みたいな重たい存在はいらない。でもセックスだけは楽しみたい。そんな都合のいいセフレを欲しがる30代の女性。相手は見つかったけど、その結末は孤独な自分を実感するだけでした。何も手に入らないのは、自分を大事にしないから。アラサー女性が目をそらしている感情について、お話します。
■「セフレ」ならいいと思っていたけど
「以前、既婚なのに独身と嘘をついていた男性とお付き合いしていました。
私はすっかり彼にのぼせていて、将来は結婚も、なんて考えていたのにある日『妻が妊娠して』と打ち明けられてびっくり。
ショックで外出できなくなり、しばらく会社も休職していました。
そんな経験がトラウマになり、元気になってからは彼氏の存在そのものが煩わしいと思うようになりました。
でも、そのときの男性とは体の相性が良かったのでセックスの快感が忘れられず、『彼氏はいらないけどセフレが欲しい』なんてことばかり考えるようになって。
思い切ってマッチングアプリに登録したら、すぐに何人もの男性から“立候補”の申し出があり、慎重にやりとりを重ねてひとりの男性と会うことになりました。
相手はひとつ年上の33歳で、会ってみると写真通りの普通の人。特にイケメンではないけどガツガツしていないところが良くて、仲良くなれるかなって。
セフレっていっても、本当にそれだけだと寂しいじゃないですか。
できればお茶とかしたいし、いろんな話もできればいいなと思っていました。
その人も同じような考えで、初めて会ったときはランチだけ食べて解散。『ゆっくり仲良くなろうね』と言ってくれて、嬉しかったです。
それから何度か食事して、セックスについてお互いの経験なんかも話して、いざホテルに行ったのが1カ月後です。
正直、その人とのセックスは想像したほど気持ち良くなくて、ちょっとがっかりしたんだけど、相手は私の体を気に入ってくれてそれからもどんどん誘われました。
男性に求められるのって悪い気がしないし、彼氏じゃないから普段は面倒な連絡もしなくていいし、セックスが終わったらふたりでカフェでお茶なんかも楽しんで、いい感じだったと思います。
でも、ある日彼から『実は片思いの人が会社にいて』と打ち明けられて……。
そのとき初めて、『あぁ本当にセフレだったんだ』と実感しました。
彼は、『君はいい人だから、悩みとか相談にのってくれそうで』と思って打ち明けてくれたそうだけど、私のほうは複雑で、それから彼とセックスすることに抵抗を感じるようになりました。
癪にさわるっていうの? 『私は好きなオンナの代わりかよ』なんて勝手に思っちゃって、前みたいに素直に楽しめないんですよね。
でも、セフレとしての関係は続けたい。
この人を逃がすとまた探すのかと思うとそれも億劫で、できれば彼をつなぎ留めておきたいです。
このモヤモヤはどうすれば晴れますか?」(32歳/配送)
「彼氏はいらないけどセフレは欲しい」。
上の彼女は、「誰にも迷惑をかけてないんだし、いいですよね?」と何度も確認してきました。
確かに、不倫や彼女がいる相手でないなら、肉体関係だけのつながりもありだと思います。
ですが、そんな都合のいい関係が成立するのは、あくまでお互いの同意があってこそ。
どんなつながりであれ、居心地のよい関係はふたりが同じ気持ちでないと続けられません。
相手には片思いの女性がいて、でも自分とセックスする。
それが「癪にさわる」のなら、すでにつながりは対等でなくなっています。
彼女が目をそらしているのは、「誰もいない自分」です。
結局、セフレがいても彼氏じゃない以上、つなぎ留めたいと思ってもカラダの関係があってこそ。
抵抗はあるけど抱かれるしかないような不毛な関係に、先があるのでしょうか。
■「いいとこ取り」で済まなくなると、崩れてしまうのがセフレの関係
彼女は最初、「いい男がいた」と思ったそうです。
自分と同じようにセックスするだけの相手を求めていて、しっかり働いているから金銭的な負担も平等にできるし、煩わしい恋愛の真似事もしなくていい。
顔も体も“平均点”で不満はないし、都合の良いときに会えるセフレ。それが彼女にとっての「いい男」です。
セックスそのものはちょっと物足りないけれど、でもダメってほどじゃない。
ホテルを出てからカフェでおしゃべりもできるし、セックス以外の時間も楽しめる。
彼女にとっては「いいとこ取り」できる関係なのですね。
相手の男性にとっても、自分はそうであろうと思っていた。
これが彼女の誤算です。
実は片思いの女性がいる、と打ち明けられたとき、彼女の中で無意識に生まれたのは
「裏切られた」
という黒い感情。
それが「癪にさわる」モヤモヤした気持ちの正体です。
ですが、男性からすれば、
「あなたはあくまでセックスするだけの相手だから、俺に好きな女性がいてもおかしくない」
ことになります。
だから正直に話せるのであって、「相談できそう」という信頼も寄せています。
人としては前向きに受け入れている。でも恋愛の相手ではない。
一方、彼女のほうは「セフレとしては合格。だけど恋愛の相手が別にいるのが気に入らない」相手。
こんなすれ違いが生まれると、ただのセフレではいられません。
「いいとこ取り」で済むうちは気楽に楽しめるのがセフレですが、感情のバランスが崩れたとき、その関係は危うくなります。
■「つなぎ留めたい」のはなぜなのか
筆者が違和感を覚えたのは、
「イケメンじゃないからモテる心配がないと思っていた」
という彼女の言葉でした。
「え、モテる心配がないって、その人がモテたらあなたが困るの?」
「うーん、そうじゃないけど。でも、彼女とか作られたら別れるしかないじゃん?」
と彼女は肩をすくめていましたが、要は
「彼にとって親しい女性は自分だけ」
の事実に安堵したかったのかもしれません。
でも、蓋を開けてみたら、いたのは片思いの女性。彼女の安堵はなくなりました。
気楽な関係のはずだったのに、今は「つなぎ留めたい」と願ってしまう。
彼がその女性との恋を成就させてしまえば、自分は邪魔な存在になります。
彼女が恐れているのはそれです。
またひとりぼっちになってしまう。それもあっけなく。相手の男性は自分に対して罪悪感を持つこともなく。
セフレの関係の難しさは、恋愛感情がない以上は別れもまたどちらかの事情で簡単に訪れるところにあります。
離れていくのを責めることもできないし、いかないでとも言えない。
「いいとこ取り」できる関係が、結局また自分の孤独を思い知らされる結果になってしまう。
彼女がいくら目をそらしていても、この不安と向き合わない限り、心のモヤモヤは晴れないでしょう。
■本当に割り切るか、今やめてしまうか
彼女が取れる選択肢はふたつあります。
彼はセックスをするだけの相手だと本当に割り切るか、もしくは今すぐこの関係をやめてしまうか。
いずれにせよ、男性の恋愛の発展次第で左右されるのが今のふたりのつながり。
それを自覚して、彼の片思いに関心を向けないようにセックスだけに集中するか、それができないなら関係を断ち切るしか、彼女が楽になる方法はありません。
セフレの関係そのものが良いか悪いかは、関係ありません。
つながりに不安を覚えたまま続ける関係は不毛です。素直に抱かれることができないのに、彼と会っても心から楽しめる時間になるでしょうか。
何も手に入らないのは、安堵を掴めないのは、自分を大切にしないから。
自分自身を守るためには、セフレといえども大きな決断が必要になることを、彼女はもう一度考えなければなりません。
大好きな彼氏。大事にしてくれるし良い交際ができているのに、カラダのつながりしかないセフレとのセックスを求めてしまう。それって、本当に彼氏を好きと言えるのでしょうか。セフレを作ることに悩むけど、本当の問題はどこにあるのか、ある独身女性のお話です。