1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. 華やかなイメージの裏にある闇。駐妻生活の実態と自分を守る方法

華やかなイメージの裏にある闇。駐妻生活の実態と自分を守る方法 2/2


■駐在妻の悩み

・夫の海外赴任が決まった。散々悩んだが、夫のサポートなしで子どもふたりを抱えて、仕事と家庭を両立するのは大変だし、子どものためにも仕事を辞めて夫についていくことにした

・引き継ぎをきっちり終えてから退職したかったので、夫には先に引越してもらった。後で気づいたが長男の学校関連の手続き、次男の保育園関係の手続き、引越しの荷造り、長男の引越し先での学校探しなどをすべて自分ひとりでやるしかなかった。長男の新しい学校は、「せっかくの海外なんだから」とオススメされてインターナショナルスクールに通わせることにした。あとで悩むことになるとも知らずに

・家は高級コンドミニアムと聞いていたが、いざ住み始めたらエアコンは調子悪いし、シャワーの出は悪いし、お湯はぬるいし、虫も出るし、どこが高級なんだろう

・夫は朝が早く、帰りは遅い。週末になったら、土曜日はだいたいゴルフかソフトボール。日曜日は家で寝ている。ほとんど会話がない

・こんな調子なので、駐在帯同で来て以来、夫の会社にいいイメージを持てない。なのに夫の会社の駐妻コミュニティにはいちいち顔を出す必要がある。初めて会う人ばかりで、顔と名前を覚えるだけでも大変なのに、わざわざ年功序列を気にする必要もあって面倒くさい

・泣く泣く退職した会社の同僚が楽しそうに働いている様子がSNSを通して見えて、とても羨ましく思う。ついこないだまで私もそこにいたと思うと泣ける。産休と育休、時短勤務もさせてもらえてすごくいい会社だった。本帰国したときにまた働かせてもらえるのだろうか。もうアラフォーだし、たぶん無理だと思う。失ったものの大きさを思い知った

・英語も現地語も得意じゃないから、買い物に行くだけでストレス。野菜のラインナップが日本と違うし、あまり美味しそうじゃないし、何を買えばいいのかよくわからない

・夫の会社から、治安を理由に公共交通手段を使うなと言われていて、どこに行くにも社用車じゃないとダメで面倒くさい

・長男の学校からの連絡がすべて英語。宿題ももちろん英語で助けてあげられない。長男本人も英語で苦労しているみたいで、可哀想になってきた。でもせっかくの海外なんだし、がんばってほしい。他の駐妻から「会社のランクの割に無理してインターに通わせている」と陰口を叩かれて悔しいから見返したい

・「社用車のランクが低い」と他の駐妻に笑われた。車なんてどれも同じでしょ?

・海外生活2年目に入って妊娠した。これまでと違ってつわりがひどいのに、頼れる人がまわりにいなくて辛い。海外で出産するなんて不安で仕方がないし、日本で産みたかったけど、子どもがまた転校するのも気の毒だし、我慢することにした

・夫から、産後大変だろうからお手伝いさんを雇ったらと言われるが、言葉が通じない外国人と四六時中一緒にいなきゃいけないのは余計に疲れるし嫌だ

・出産予定日の1週間前に、夫に出張が入りそうだ。もし陣痛が早く来てしまったら、7歳児と3歳児を抱えてどうすればいいんだろう。とても不安

・第三子を無事出産した。2〜3時間、たまに1〜2時間置きにやってくる授乳。上の2人のときと違って今回は母乳がなかなか出ない。母乳でがんばりたいのに。母乳外来はあるのかな。あったとしても、平日にひとりで子ども3人連れていくのは絶対に無理。夫は「粉ミルクでも」と言うがそういう問題じゃない

・上の子の面倒が見られない。お風呂に入れるだけでも一苦労。せめて夫が夜8時くらいに帰ってきてくれれば助かるのに。最近は下の子の世話をしていたらあっという間に夜になっちゃうから、上のふたりの夜ご飯すらまともに作れなくて、ファストフードやデリバリーで注文できるものばかり。食育の観点でも、もう少しちゃんとしてあげたいのに全然できない

・家の掃除をする余裕がない。家がどんどん汚くなっていく

・平日の夫はもはや空気。3人の子どもを海外でひとりで育てているような気分。孤独

・だけど週末に家で寝ている夫は目障り。何もしないなら消えてほしい

・そもそも夫は、平日に本当に残業しているの? 接待のフリして夜の店で遊んでいたらどうしよう

・日本の友だちに相談したら、「優雅な駐妻ライフなんだからそれくらいどうってことないじゃん。私なんて日本でワンオペだったよ」と言われた

・誰かに相談したくても夫にバレたら面倒だし、夫の会社のコミュニティにバレると夫の評価に関わる気もしてもっと面倒くさい。迂闊に相談できない

■自分ごととして何ができるのか

冒頭、「海外拠点を持つ企業側には再考してもらいたい」と書きましたが、実際に彼らは駐在問題を再考してくれるのでしょうか。

海外に拠点を持つような大企業が、これまで何年、または何十年もやっていたスタイルをすぐに変えられるとは思えません。

自分ごととして考えたら、自衛するしかありません。

今後、海外駐在やその帯同家族として日本を出ることになったら、自己防衛として「無料相談窓口」の存在を知っておいてください。

一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 こころの耳

社会福祉法人 日本保育協会

公益社団法人 日本助産師会

■第三者として何ができるのか

しかしながら、悩んでいる張本人が上でご紹介したような機関にアプローチできるとも限りません。

同僚や部下が元気そうか、眠れているか、食事を取れているか、気にかけてあげてください。ひとりで小さな赤ちゃんを連れているお母さんを見かけたら、面識がなくても声をかけてあげてください。

私は産休中に1カ月だけ「昼間ワンオペ」を経験しました。

たった1カ月でしたが、産まれたばかりの子どもを育てるのが大変で、ノイローゼ気味でした。そんなときに、ツイッターを通じてグイグイ話しかけてくれる女性がいて、ある日手作りのご飯を作って遊びに来てくれたんです。

私は泣きながら彼女に話を聞いてもらい、泣きながらご飯を食べました。心底救われました。

海外生活、助け合って生きていこうと心に誓いました。

画像/Shutterstock

suni

海外で働いています。1979年生まれ、千葉県出身。自称バリキャリからの33歳で無職→語学留学→34歳でフィリピン就職→35歳でインドネシアで働く日本人と交際開始→36歳で結婚し夫がインドネシアからフィリピンに移住→37歳で夫...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article