1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. 華やかなイメージの裏にある闇。駐妻生活の実態と自分を守る方法

華やかなイメージの裏にある闇。駐妻生活の実態と自分を守る方法

タイで暮らしていた日本人女性が、ふたりの幼い子どもを残して転落死したと報じられました。企業が莫大なコストをかけて海外赴任、駐在帯同させる意義とは何でしょうか。他にやり方はないのでしょうか。現地でストレスに飲み込まれない、自衛の方法はないのでしょうか。

華やかなイメージの裏にある闇。駐妻生活の実態と自分を守る方法

きらびやかに見える海外駐在とその帯同生活。実際にキラキラした毎日を過ごす方もいますが、表に出てこない悩みや苦労を抱えている方がいるのはご存知でしょうか。

先日、タイで暮らしていた日本人女性が、ふたりの幼い子どもを残して転落死したと報じられました。恐らく駐妻ではないかと見られています。もしそれが事実であるならば、「海外赴任、駐在帯同」に関わる根深い問題が浮き彫りになったともいえます。

5年に渡る海外生活の中で、会社員として、妻として、母として、いろいろな立場の方と仕事したり、お付き合いしたりしてきました。そのなかで悲しいことに、海外駐在員の自殺やその家族の自殺、駐在員本人が心を病んで帰任するケース、または帯同家族が心を病んでしまい、子どもと帰国するケースがあると知りました。

駐在員と帯同家族の場合、会社都合で仕方なく海外に出た人や、希望と違う国に配属されてしまった人が少なくありません。特に東南アジア新興国は、華やかに見える北米やヨーロッパと比べると、ネガティブなイメージを持たれるのも事実です。

そんな環境で働く駐在員やその家族の悩みについて、会社側が積極的にサポートまたは解決しようとするでもなく、「自己責任」扱い、つまり放置しているとしか思えないケースもありました。

あまり表に出てこない駐在員本人と帯同家族の悩みを「ある家族の話」としてご紹介します。あえて、思いつく限りを箇条書きします。莫大な費用をかけて社員とその家族を海外に送る価値が本当にあるのか、違うやり方はないのか、海外拠点を持つ企業側には再考してもらいたいものです。

■「ある家族」と生活環境

・日本企業の海外拠点で、駐在員として東南アジア新興国で働く夫

・仕事を辞めて夫に帯同してきた妻

・7歳の長男と3歳の次男

・帯同して2年目に妻が第3子を妊娠、出産

・家は、都心部にあるプールとフィットネスジム付きの高級コンドミニアム。3LDKで家具は備え付き。家賃は会社負担

・会社から社用車とドライバーの支給あり。子どもの学費の一部補助あり。日本からの引っ越し代、一時帰国用のフライトチケット(年2回分、家族全員分)は会社負担

■駐在夫の悩み

・勤務地が家から遠く、渋滞もするので、毎朝6時に家を出ている。片道2時間

・お客さんとの商談、日本からの出張者の対応で接待が多い。そうじゃない日はもちろん残業。家族を理由に早く帰るのはなんだか気が引ける。帰りは午前様

・週末はゴルフや頭数合わせでソフトボールに誘われることが多い。毎回が接待ではなく、表立って強制ではないけど、同僚の多くが参加する中で自分だけが家族を理由に参加を断ると、今後の評価に響くのではないかと心配で参加せざるを得ない

・日本の本社からはいつも高い目標を設定される。ローカルの社員とは意志の疎通がうまくいかず、1年経った今でも思うように仕事が進まない。2018年上半期の目標はこの調子だともちろん達成できない。このまま未達成が続くと、本帰国後の配属部署が不安。出世コースはとうに諦めた

・平日はこんな感じだし、土曜もなにかと忙しいので、せめて日曜日は何もせずに家でゆっくりしたい

・妻が英語を話せないため、上の子の学校からの連絡が私に入る。仕方ないのはわかるが、仕事中に対応するこっちの身にもなってほしい

・妻が第3子を妊娠した。嬉しいことだが、これまでと違ってつわりがひどく、苦しんでいる妻のために何をしてあげられるかわからない

・妻の出産予定日の1週間前に出張が入りそうだ。上司に相談したところ「予定日前なら大丈夫でしょ。心配なら日本の両親を呼べば」と取り合ってもらえない

・実の母も妻の母も産前産後は来れないから、せめて妻のためにお手伝いさんを雇おうかと同僚にあれこれ聞いてみたら、「わざわざ帯同で来て会社からあれこれサポートしてもらってるのに、奥さんはまだ贅沢するつもりなのか」と言われてしまった

・第三子が無事産まれた。上のふたりよりも手がかかるようで、妻は日に日にやつれている。妻はなかなか出ないのに母乳でなんとかしたがっている。泣いている子どもを見て可哀想に思い、「粉ミルクをあげたら」と言ったらキレられた。じゃぁどうしろというのだ

・妻が食事を作ってくれなくなった。家は散らかる一方。上ふたりの面倒も見なければならない。なんとかししたいが自分も仕事もあるし疲れているし、どうすればいいのかわからない

suni

海外で働いています。1979年生まれ、千葉県出身。自称バリキャリからの33歳で無職→語学留学→34歳でフィリピン就職→35歳でインドネシアで働く日本人と交際開始→36歳で結婚し夫がインドネシアからフィリピンに移住→37歳で夫...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article