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安室奈美恵さんに届け、この想い。私たちの人生に寄り添ってくれてありがとう【ファン座談会 前編】

9月16日に引退を控えている、歌手の安室奈美恵さん。人生に寄り添ってくれたその音楽と人間性について、ファンたちが心情を語ります。前編は、安室さんとの思い出など。

安室奈美恵さんに届け、この想い。私たちの人生に寄り添ってくれてありがとう【ファン座談会 前編】

<メンバー>
真由子さん(27歳)デザイナー
祐子さん(33歳)主婦
結花さん(31歳)ライター

■安室ちゃんは、どんなときもぶれない“かっこいい”女性

――まずは、安室さんを好きになったきっかけを教えてください。

真由子:私は出身が沖縄なんですけど、沖縄県民ってみんな安室ちゃんが大好きなんですよ。年配の方でも知ってるし、本当に地元のヒーローで、うちももともと父がよく聴いていました。自分自身が好きになったのは、中学生のとき。『GIRL TALK』でBガールだった安室ちゃんが、めちゃくちゃかっこよくて……。

結花:かわいいのに、かっこいいんですよね。私は『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系)を見ていたのがきっかけだと思うんですけど、当時は“かっこいい女性”ってあんまりいなかったから、その媚びない感じに憧れて。彼女の真似をしてワンレンのロングヘアにしたり、厚底ブーツを履いたりしてました(笑)。

祐子:私はいつのまにか好きになっていた、という感じです。小中学生のときにカラオケに行くと、周りもみんな安室ちゃんばっかり歌ってたんですよね。でも、自分が大人になるにつれて、楽曲だけでなく人間性にも惹かれていった気がする。なんというか、どんなときもぶれないし、姿勢が一貫してるんですよ。

結花:わかります! 安室ちゃんって、本当に“歌って踊るだけ”なんですよね。アーティストとして確固たるポジションを築いてからは、女優やタレントをしたりせず、ずっとパフォーマンスにだけ集中してる。年々クオリティも上がっているから、こないだ2006年のライブDVDを見返したら「あれ、こんなんだったっけ?」って、別人みたいでした(笑)。

真由子:安室ちゃんって「昔のほうがよかったな」とか「劣化してる」とか絶対ならないんですよね。ライブも本人も、いまが一番いい。

■MCがないライブで、心から満たされる

――いまが一番かっこいいって、すごいことですよね。なかでも印象的だったライブはありますか?

真由子:今年のファイナルツアーですね。じつは私、8年間トライし続けていたのに、ライブのチケットを取れたことがなかったんです。でも、ファイナルは札幌・東京2daysの3公演に応募したら、なんと3つとも当たって! しかもそのうちのひとつは、アリーナAブロックの前から3列目。いままで行けてなかったぶん、神様が大サービスしてくれました。

祐子:その距離はすごい……! 私も、ファイナルの5月で花道に近い席だったんですよ。肉眼でも問題ないくらいだったけど、最後に安室ちゃんの汗を見ておきたくて、オペラグラスを使いました(笑)。安室ちゃんって、ライブでMCが全然ないんですよね。それもストイックでかっこいい。

真由子:プロ意識が高すぎて、50公演あったら50回違う話をしないといけないって思ってるんですよね。でも「それだけのネタはないから、思いきってMC自体をしないと決めた」的なことをインタビューで読みました(笑)。その代わり曲数がめっちゃ多いから、ちゃんと満たされて、お腹いっぱいになる。

結花:私たちは見てるだけなのに、エネルギーを使って疲れるもんね(笑)。それで、また明日からもがんばろうって思える。

25周年ライブのとき、結花さんが安室ちゃんの衣裳を真似して手作りしたというスカート。グッズのTシャツやヘアバンドと合わせる。

■苦しいとき、悩んだとき、安室ちゃんの背中を見てきた

――皆さんはこれまで、安室さんにどんなふうに支えられたり、励まされたりしてきたんでしょうか。

真由子:私はデザイナーになりたくて、洋服の専門学校へ行くために19歳で上京したんです。そのとき一緒に持ってきたCDが『SWEET 19 BLUES』。つらいことがあってくじけそうになったり、沖縄に帰りたいなって思ったときに聴くと、すごく励まされました。安室ちゃんも15歳くらいで親元を離れて、ずっと音楽をがんばってるから……私もがんばって続けていこう、って思えたんです。

真由子:専門を卒業して就職してからも、思うようにデザインの仕事ができなくて、何度も辞めようと思ったんですよ。でも、そのたびに安室ちゃんが支えてくれた。やりたいことを諦めずに転職を重ねて、いま3社目なんですが、ようやく思い描いた仕事ができています。

結花:私は、小さいころから歌手になりたいと思っていたんです。でも、小学生のときに病気になって、運動が一切できなくなり……習いはじめたばかりのダンスも辞めなきゃいけなくて。もちろん落ち込んだけど、安室ちゃんも家庭でつらいことがたくさんあったはずなのに、あんなにがんばって輝いてるじゃないですか。

だから、私もふてくされたりしないで、自分にできることを大切にしていこうって思えたんです。その決心があったから、ダンスはだめでも歌はずっと大事にしてきたし、いまも楽曲制作や音楽関係の仕事を続けています。“自分が好きなものを何があっても諦めない”という姿勢は、安室ちゃんに教えてもらったことですね。

祐子:すごくよくわかります。私も、安室ちゃんの生き様に支えてもらったと思う。じつは私、20代に入ってあんまり安室ちゃんを聴いていない時期があったんですね。でも、30歳手前で人間関係にちょっと落ち込んでいたころ、友達がライブに誘ってくれて。そのとき初めて安室ちゃんのステージを見て、ものすごく衝撃を受けたんです。

この人は、このすばらしいパフォーマンスをするために、いろんなものをそぎ落として生きているんだなって……だからあなたも、自分が大切にしたいものだけ守っていればいいんだよ、って言われた気がしました。

そのときの私は、自分の振るまいが周りにどう見えているかとか、どうすれば丸く収まるか、みたいなことばかり気にしていたんです。でも、ライブを境にようやく、自分らしい一歩を踏み出せるような気がした。それからはまた安室ちゃんが大好きになって、翌年のツアーは遠征含めて3公演行きました。

祐子さんがふたたび安室ちゃんにハマるきっかけとなった2013年ツアーと、翌年ツアー3公演のチケット。同じツアーでも、会場によってデザインが違う

歌やダンスだけでなく、その背中に勇気をもらっている、という3人のファン。後編は、引退報道が出たときの気持ちや、安室ちゃんが表舞台を去ったあとどう生きていくか、について話してもらいます。

菅原 さくら

1987年の早生まれ。ライター/編集者/雑誌「走るひと」副編集長。 パーソナルなインタビューや対談が得意です。ライフスタイル誌や女性誌、Webメディアいろいろ、 タイアップ記事、企業PR支援、キャッチコピーなど、さまざま...

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