【今からできる相続対策#18】手続き中に新たな相続が起きても慌てない! 「数次相続」をシミュレーションしておこう
相続はいつ発生するか誰にもわかりません。ときには、夫の相続が発生し、遺産分割協議や相続手続きが終わらないうちに、妻や子が亡くなってしまうというケースがあるかもしれません。
このように、被相続人が死亡して相続が開始したものの、遺産分割協議が完了する前に、相続人が死亡して二次相続が始まることを「数次相続」といいます。今回は数次相続についてシミュレーションしておきましょう。
■数次相続で新たな相続人が増えることも
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人がひとりでも欠けた状態で協議を進めると、遺産分割協議そのものが無効になります。
それゆえ、相続手続きにおいては、誰が相続人なのかを確定させることが非常に重要です。
数次相続が起きると、新たな相続人が増える可能性があります。
たとえば図のように、父Aが亡くなり、相続が発生したとしましょう。
Aの相続人は、母Bと長男C、次男Dの3人になります。ところが、Aの相続の遺産分割協議が終わる前にCが亡くなると二次相続が開始します。
Cの死亡により、Cが相続するはずであった遺産は、Cの相続人にあたる妻E、孫F、Gが相続することになります。
そうなると、Aの相続の遺産分割協議をB、D、E、F、Gの5人で行う必要があります。
そして、別途にCの相続の遺産分割協議をE、F、Gの3人で行うことになります。
■数次相続が発生している場合、遺産分割協議書をどのように作成すればいいのか
Aの相続の遺産分割協議書を作成する場合、すでに亡くなっている相続人Cの欄には「相続人兼被相続人C」といった形式で記載されます。これで数次相続が発生していることがわかります。
Cは亡くなっているため、Aの相続の遺産分割協議書に署名・捺印ができません。代わりにCの相続人E、F、Gの3人が署名・捺印を行うことになります。協議書にも「相続人兼被相続人Cの相続人E」というように記載します。
■相続手続きを放置すると数次相続で問題が複雑化する
数次相続は、親族が短期間に相次いで亡くなると発生しますが、相続手続きを放置していて起こる場合もあります。
相続手続きが放置される原因の大半は、遺産分割協議が難航している点にあります。
相続のつど遺産分割をしておかないと、相続人が増加し、権利関係がますます複雑になります。専門家の力を借りて、間題解決にあたりましょう。