【今からできる相続対策#4】遺言がないとトラブルを招く「6つのタイプ」とは?
ご両親に遺言を残してもらう必要はあるでしょうか。今回は遺言がないと、トラブルが起きやすい6つのケースを司法書士・清澤さんに解説してもらいます。
遺言(できれば公正証書遺言)は、もっとも効果的な相続対策のひとつです。
「しっかりした遺言書があれば、相続争いを防げたのに」というケースは珍しくありません。では、どんな方こそ遺言が必要なのでしょう。裏を返すと、遺言がないと後々トラブルを招くのは、どんな方なのでしょう?
以下の6つのタイプは、絶対に遺言が必要で、遺言がないとトラブルヘと発展する可能性があります。
1.会社や事業を特定の人に継がせたい
後継者に遺言で財産を残さないと、会社や事業の資産が相続により分割されてしまい、会社や事業の存続そのものが不可能になってしまいます。特に農家の場合は、農業後継者に遺言で農地等の資産を相続させることが不可欠です。
2.法定相続人に遺産をあげたくない
例えば、長男は一生懸命両親の面倒を見ているが、次男は浪費癖があり、散々親不孝を重ねているとします。その場合に、長男に遺産を全部相続させようと思っていても、遺言がなければ次男も相続することになります(ただし、長男に遺産を全部相続させても、次男には遺留分があります)。
3.法定相続人以外の人に遺産をあげたい
例えば、すでに死亡した長男に嫁がいて、これまで家のために献身的に尽くしてくれたので、そのお礼を遺産で示したいといっても、嫁には相続権がありません。遺言で遺産をあげることを明確に記す必要があるのです。また、相続人が誰もいない場合、遺産は国のものになってしまいます。親しい人やお世話になった人にあげたい場合も、遺言が必要になってきます。
■遺言を明確にすることで思いが伝わる
4.社会のために遺産を活かしたい
社会福祉法人や学校法人、日本赤十字社、ユニセフ等の公益法人に財産を奇付したい場合や、お寺や神社等で遺産を有効に利用してほしいと望んでいる場合も、遺言で明確にしておく必要があります。
5.相続人の間に不和がある
相続人同士(親子、兄弟姉妹等)の間で不和がある場合、遺言できちんと相続の仕方を示しておかないと、死後大変な争いとなってしまいます。「骨肉相食む」争いをさせないためにも、遺言が欠かせません。
6.生活能力に不安がある相続人がいる
例えば、老妻や心身にハンディを抱えた子どもがいる場合など、ひとりで生活を維持するのが困難な人が相続人にいる場合、その人の生活を支える必要があります。その人にできるだけ遺産がいくように、遺言で記しておく必要があります。