避妊方法の基礎。「コンドーム」「ピル」「IUS」どれを選択すれば良いの?
大人でもわかっているつもりで意外と知らないことが多いのが避妊についての知識。セックスライフを充実させるためには正しい理解はもちろん、シーンや体質に合わせて最適なものを選ぶことが必要なんです。今回は、産婦人科医の山中智哉氏に最低限知っておきたい避妊の方法を教えていただきました。
■5つの避妊方法を知る
避妊には大きく分けて以下の5つに分類できます。
・コンドーム
・IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
・IUD(子宮内避妊用具)
・ピル
・アフターピル
避妊効果、安全性、買いやすさ、使いやすさ、コスパなど、これらのアイテムにはどのような特徴があるのでしょうか?
■コンドームは正しく使用すれば90%以上の避妊率
「もっともメジャーな避妊方法であるコンドームは、いまや男性用だけではなく女性用もあるほど。一般的に避妊率は80%くらいと言われていますが、この中には『穴が空いているものを使っていた』などの理由も含まれているため、新品のものを正しく使用すれば90%以上避妊できるでしょう。性感染症の予防となることもメリットです」
コスパも良く、コンビニや薬局など手軽に手に入るために一番使用されていますが、山中氏は「自分にあったものを見つけることが大事」と解説します。
「『ゴム製だからどれをつけても一緒でしょ』と思っている人も多いですが、大きすぎて緩い――なんてこともあるので、フィットするものをパートナーと探した方が良いでしょう。また、避妊率を少しでも上げたいならコンドームの内側に、精子の動きが悪くなる殺精子剤が入ったものがおすすめ」
コンドームは基本的に男性がつけるものなので、上記を留意しパートナーと相談することが大切です。
■「IUS」「IUD」は注射よりも痛くない
女性の子宮の中に注入し、妊娠を避けることができるIUSとIUD。
病院でないと治療はできませんが、避妊率はなんと99%。
「避妊率が高いだけではなく、一回注入すれば薬剤効果が5年ほど持続するため、長期間の避妊を望む人には合っています。また、途中で抜くこともできるので、急に子どもが欲しくなっても対応することが可能です。痛そうと思っている人も多いみたいですが、もともと穴がある子宮口の中に入れるので、少しチクっとする程度。注射よりも痛くないんですよ」
「IUS」と「IUD」の違いも理解しておく必要があります。
・IUSには生理の出血量や生理痛を緩和してくれる効果があります。
・ただその分割高で、IUSの費用は5万くらい、IUDは2万前後が相場です。
■ピルは継続して飲むことが必須
生理痛や生理の出血量を減らすことができ、内服しているかぎり避妊率99%を維持できるのがピルの特徴。
「IUSやIUDと同じ効果がピルにもありますが、毎日飲まなければ効果はないので、飲み忘れだけは注意してください。また、飲むタイミングをズラして生理の時期をコントロールすることもできるので、旅行のときなどに生理がこないよう調整することもできます」
また、セックス後の避妊対策としてアフターピルもあることを覚えておきましょう。
「最終手段として使用するアフターピルはセックス後72時間以内に飲めば80%くらいの確率で避妊できます。市販されていないので、病院で処方するのがマスト。副作用が強いと言われますが、問題ない方がほとんどなので過度に恐れる必要はありません」
■精子は水に弱い!? それだけで避妊したつもりにならないで
「もし中出ししてしまったら、膣内を水で洗うという方法もあります。精子は水に弱いので。ですが基本的に避妊率を上げたいなら女性がピルを飲みつつ、セックス時にどちらかがコンドームをつけることがベストです」
「望まない妊娠」は誰しも起きうる可能性があります。それが必ずしも悪い事態に発展するわけではありません。
ですが、自分の身体を守るという意味で、セックスに快楽を求める前にまずは正しい避妊方法をパートナーとともに理解するようにしましょう。
医師・山中智哉プロフィール
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっています。 不妊治療は「ご夫婦の妊娠をサポートする」ことがその課題となりますが、同時に、女性あるいは男性の健康面にも配慮する必要があります。 食生活、ホルモンバランス、精神面、加齢など妊娠にとって重要な要素はいくつかあります。それらを最適に保ち、妊娠、出産後のことも考えながら、妊活に取り組むことが大切だと考えています。
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。