避妊と妊娠の境界線。自分の身体を守る知識
産婦人科医・山中智哉先生に、避妊と妊娠にまつわる知識を伺いました。生理の周期だけでは判断できない「安全日」や「危険日」の考え方や、妊娠のサインについて解説していきます。
中に出してしまった......。
ゴムが緩んでいた......。
この記事を訪れてくれた方の中には、セックスを楽しんだ後に、こうしたモヤモヤを感じたことがある人。もしくは、今現在なにか気になっていることがある人が多いと思います。
自分が心配していても「彼氏が大丈夫って言ってるし大丈夫なのかな」とうやむやにして、しばらく経ってから妊娠していた――というケースは少なくないそうです。
今回は「避妊」と「妊娠」に精通している産婦人科医の山中智哉氏にお話を伺い、性行為と生理や排卵との密接な関係についてご紹介します。
■妊娠のサインは排卵してから数十日ほど経ってから
セックス後に妊娠していないか悩んでも、その場ですぐに判断がつくわけではありません。
大事なのは反応が出る期間を把握すること。
「性行為した日が排卵日だとしてもその日に妊娠が成立、確定するわけではありません。一般的に排卵してから次の生理まで12日〜14日ほど要します。そこで生理がきているか(=避妊)、きていないか(=妊娠)で判断をつけることができます」
ただし、生理予定日だけで妊娠の判断をすることができないケースも。
「ただし、生理予定日に生理がきていないからといっても、妊娠しているか・していないか不明なこともあります。普段、生理が28~30日と順調な女性であっても、時に排卵日が1週間ほど遅れることもあります。その場合には、生理予定日には妊娠反応はでませんので、1週間ほど待ってからもう一度検査ををする必要があります」
また、妊娠しているときは体からサインも出ているそう。
「妊娠が成立しているときは、卵巣から黄体ホルモンの放出が持続するので、いつもより胸が張っている感覚になりやすい。気付きにくいこともありますが、そういう兆候もあることも知っておいた方がいいかもしれませんね」
■生理日数は必ず始まってから計算
生理周期を計算して「安全日」や「危険日」を判別している人もいますが、これには大きな落とし穴が。
「卵子の寿命が約24時間であるのに対して、精子の寿命は射精してから約48~72時間。排卵は生理になってから14日〜16日目くらいにやってくるため、12日目からは妊娠の確率がぐっと上がります。この精子の寿命こそ盲点となっているケースが多く、結果として望まぬ妊娠をしてしまう人が多々。また、生理の4、5日前から安全日と言われていますが、周期がズレることもよくあるので要注意。そういう意味では安全日というのはなかなか判断がつかないため、不用意に避妊をしないことはNGです」
山中氏によると、そもそも生理周期を誤って覚えている人も多いとのこと。
「生理周期は必ず出血が開始した日、つまり生理が始まってから日数を計算してください。ときどき、生理が終わった日から日数を数えている方もいらっしゃいます。生理が終わってから日数を数えると周期を正しく把握できないので気をつけましょう」
基本的に生理の周期だけでは「安全日」か「危険日」かはっきりしないということをよく理解しておくことが大切。
自分の身体を守ることができるよう、日頃のセックスから心がけるようにしてください。
医師・山中智哉プロフィール
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっています。 不妊治療は「ご夫婦の妊娠をサポートする」ことがその課題となりますが、同時に、女性あるいは男性の健康面にも配慮する必要があります。 食生活、ホルモンバランス、精神面、加齢など妊娠にとって重要な要素はいくつかあります。それらを最適に保ち、妊娠、出産後のことも考えながら、妊活に取り組むことが大切だと考えています。
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