産後のセックスはどうすればいいの? 婦人科医に聞いてみた
産後のセックスについて、いけしたクリニックの院長・池下育子先生がお答えします。DRESS読者のセックスにまつわるお悩みに答える連載です。今回は女性のココロもカラダも変化する産後のセックスに関すること。いくつになっても性欲を持ち、きれいでいるためのポイントも教えていただきました。
目次
【産後のセックスのお悩み1】出産後に膣で感じることが鈍くなりました
よく耳にするのが「出産後は膣がゆるむため挿入も含めて感じることが鈍くなる」こと。
池下先生にズバリ聞いてみると、産後のケアにポイントがありました。
「産直ケア(産後の体操)を1週間・1カ月・3カ月に心がけましょう。骨盤低筋を鍛えて膣を引き締めるピラティスなどを行えば、かえって妊娠前よりも弾力性が良くなり引き締まって、感じやすくなる可能性があります」
その一方で、高齢出産の方や難産だった場合、心の余裕がなくて、この産直ケアを続けて行うことができないそう。
そのため回復が遅くなり、膣がゆるくなったと感じてしまうものだとか。
最近では、インナーマッスルを鍛える膣トレ用ボールが普及しているので、使ってみては。
【産後のセックスのお悩み2】尿モレや母乳が気になりセックスがしづらかった
「(このような質問の背景には)女性の方がセックスにおいて遠慮があるのでしょう。セックス中に母乳が出てもおかしいなことではないので気にしないで。また尿モレは、30代後半〜40代前半の出産では、きちんと産直ケアをしていれば治るので、そこまで心配になる必要もないです」
産後の肥立ちが悪く、安静期間が長い場合は、尿モレの傾向があるかもしれないそう。しかし、きちんと産直ケアでトレーニングをしていれば、20代と同じようにリカバーできるもの。
「ペニスでGスポットを刺激されると尿道口が近いため、モレやすいかもしれません。尿モレがある人は、セックス前に排尿すると良いでしょう。また感染症を防ぐためにも清潔にすることは心がけて」
【産後のセックスのお悩み3】母親としての自分か強くセックスができません
「出産してから最初の2〜3カ月は、妊娠のホルモンが下がるため性欲も低下することも多いでしょう。また、授乳中はプロラクチンというホルモンのため、本能的に女であることより母でありたいと思ってしまうでしょう」
出産直後から授乳中の期間は、ホルモンバランスの変化で「母親」であることを選んでしまうため、性欲が減退してしまうことがあるそう。
この期間が過ぎて、女性ホルモンが上昇し、生理が始まれば出産前の体に戻りやすいそうです。
また、出産後のセックスレスは、ホルモンの影響で左右されているわけではありません。
「産後のセックスはとても大切なもの。日本の文化的な特徴のひとつと言えるかもしれませんが、女であることより母であることを選びがちな傾向があります。もしかしたら家事・育児に忙しく、なかなかセックスをする気持ちになれないのかもしれません。しかし、産後のセックスレスは(欧米と比べても)日本人が圧倒的に多いのです」
「母・妻・女であることを意識していきましょう」と池下先生は語ります。
子どもが大きくなってからの10〜20年後の自分自身が辛くなっていくもの。子ども中心の生活だけでは、夫婦間のコミュニケーションは長く続きません。お互いがひとりの男と女であることを忘れないでください。
院長・池下育子先生のプロフィール
年齢問わず女性に寄り添った婦人科を目指して、いけしたクリニック銀座を開業。婦人科検診から性のお悩みまで幅広く行う。
公式HP:http://ikeshitaikuko.com
2018年6月20日公開
2019年7月26日更新
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