「スタイルのある女性」になる簡単な方法
「同じ服を着ることは少しも恥ずかしいことではありません。むしろ、同じ服を着ているように見える人ほど、自分の個性を知っている人」。輪湖もなみさんの「同じ服」をテーマにした短期集中連載、#2では「定番ボトムスの型を絞ってみる」を深掘りします。あえてトップスではなく、ボトムスを定番化する理由とは――。
■「らしくないこと」をしない女性たち
米倉涼子さんに石田ゆり子さん、小泉今日子さん、夏木マリさん……。
「スタイルがある女性」というと、皆さんが思い浮かぶ女性ですね。彼女たちはなぜ、自分のスタイルを持っているように見えるのでしょう。それは「らしくないことをしないから」だと思います。
例えば米倉涼子さんは、多くの人が憧れる美点である、長く美しい脚を出すひざ上スカートを着ています。しかも少しもいやらしいところがなくイメージはクールでクリーン。
米倉涼子さんが頭にリボンをのせたところは見たことがないですよね。同様に夏木マリさんがコンサバスーツ、石田ゆり子さんがロックなスタッズつきライダースを着ているところも、役柄は変わってもおそらく目にすることはないでしょう。
自分の個性にふさわしくないものは身につけない。これがスタイルを持つことにつながることは前回のコラムにも書きました。
そして「ふさわしくないことはしない」のは、言葉使いや振る舞い、生き方そのものにも言えることだと思います。それらがすべて「自分のスタイル」というひとつの方向性を示しているから、彼女たちはいつも輝いて見えるのではないか、と私は思っています。
■型を絞るだけで、スタイルのある人に
自分のスタイルやイメージをファッションで一定に保つ、ごく簡単な方法があります。それは「自分の定番ボトムスの型を絞る」こと。
トップスは顔に近い場所にあるため、手っ取り早く「印象を変える」効果があります。一方で、ボトムスは「印象を整え、コーデに統一感を持たせる」効果があるのです。
例えば自分の定番ボトムスをリーバイス501のデニムにしたとしましょう。トップスを白シャツ、ジャケット、ニット……と変えていっても、その方の全身を見たときのイメージは、なんとなく統一感があるように見えます。
逆にボトムスを、ある日はピンクのフレアスカート、またある日はクールなレザーのタイトスカートとくるくる変えると、「イメチェン? キャラ変?」と人に言われるほど印象がガラリと変わってしまいます。
どちらが良い悪いということではありませんが、あなたのスタイルを一定に保ちたいなら、だんぜん「ボトムスの型を数種類に絞りこんでしまう」のが効果的です。
ボトムスの型を絞ることによる利点はもうひとつあります。それはあなたの体が一番美しく見える状態をいつも保つことができる、ということ。
私の場合は、学生時代にバスケットをやっていたせいでふくらはぎがパンパンに太く、加齢と共に筋肉が足首方向に落ちてきたので、ひざ下がなんともカッコ悪いのです。
そこでボトムスは足首丈を死守。扁平なヒップと寸胴なウエストすべてを包み込んでスッキリ見せる「細身パンツ」がマイ定番ボトムスです。
写真はステラマッカートニーの定番、トラウザー。シンプルで穿きやすく、私の脚の欠点を目立たなくしてくれます。
今は色違いで3枚持っていますが、ボトムスはヒップの下に敷かれて消耗も激しいので、毎年1枚セールなどを利用して買い足すようにしています。
あなたも、それを着ていると「ちょっと痩せた?」と言われるボトムスをお持ちではありませんか? その型はどんなものか、なぜ褒められるのかをぜひ研究してみてはいかがでしょうか。
■「軸女」のススメ
「そうは言っても、インスタやブログで誰かがおすすめしていたり、雑誌に載っていたりすると、つい欲しくなっちゃうの」
わかります。その気持ち。
例えばあなたが回転寿司屋に行ったとします。流れてきた皿のお寿司をはじから全部食べてしまったら、本当に食べたかったものが食べられなくなるかもしれませんよね。
今日はマグロが食べたいとなったら、イカをスルーしてまずはマグロの皿だけに手を伸ばすはずです。
就職にしてもパートナー探しや住まい探しにしても、「これは譲れない」という自分の軸を持たないと、目指すものには永遠にたどり着けないかもしれません。
生き方にもファッションにも「軸」があって、ぶれない。「軸女(ジクジョ)」が清々しくかっこいいのは、不要なものまで欲しがらない潔さがあるからではないでしょうか。