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自分の頭で考える「いい女」にはいい男が近づくものよ

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ツイッター界に素敵な女性がいます。今年84歳になるミゾイキクコさんは、約20年前、60代になってからインターネットを始め、今や9万3000人超のフォロワーを持つ人気者。数々の金言が支持を集めるキクコさんから、生きるヒントを教えていただきたく、その生き様に迫りました。

自分の頭で考える「いい女」にはいい男が近づくものよ

一つひとつの言葉が格言のようで、深みと重みをたたえている。読んでいるうちに、うんうん、そうだよなぁと頷く。今夏84歳を迎えるミゾイキクコさんのツイートです。

ときはインターネット黎明期、1990年代のおわり。

パソコンを買って、すぐにネット回線をつなぎ、2001年にはホームページ、2006年にはブログを開設。2010年にはツイッターを始めました。起床後や食事の前後、就寝前など、1日約5時間、ツイッターを通じて発信したり、国内外のフォロワーと交流したりしています。

ちょっとした生活の知恵や日々の食事など、気楽に読める“茶飲み話”を中心に、政治や女性の生き方、働き方に関する内容を中心にニュース記事をリツイートするミゾイさんのツイッターは注目を集め、今や9万3000フォロワーを超える人気アカウントに。

ツイッターをきっかけにさまざまな媒体でインタビューを受けたり、書籍を出版したりと、ここ5年ほどの間に活躍の場を広げているミゾイさん。

「新しいことはどんどん試してみたいの。だって面白いじゃない」と、目をキラキラさせながら語る、とてもキュートな人生の先輩に、楽しく生きるヒントをいただいてきました。

■「平凡に生きてきた、と思う」

――今回、ツイッターのDMで取材依頼をさせていただいたとき、「私は平凡に生きてきましたので、皆さんにとって有益なことを語れるかわかりませんが」と仰っていました。でも、“平凡”でしょうか……。戦争も経験されていますし、そうは思えないんですよね。

自分では平凡だし、普通の人生を送ってきたと思ってるのね(笑)。

終戦後の昭和22年、新制中学に入学した最初の学年でした。物資が不足して校舎を建てられる社会状況ではないから、お寺で勉強してたんですよね。

「戦争経験といえば、戦地にいった兵隊さんだけではないのです。戦争末期は日本本土が戦場になったのです。空襲で爆弾や焼夷弾落とされたり、機銃掃射にあったり。我々はなんら武器はないじょうたいで。子供でもけいけんしているんです。日本の各都市がやられたのです」

――文字通り、寺子屋……!

そう。昭和25年には新制高校に入学しました。その時点で、大学へ進学しようと決めたの。

――お茶の水女子大学の理学部に進まれていますね。

中学生のとき、湯川秀樹先生がノーベル物理学賞を受賞されたんです。それもあって、当時憧れていた女性はキュリー夫人(※)。研究者になりたかったから、迷わず理系を選びました。結局は教師になったんですけどね。

※キュリー夫人(マリー・キュリー):ポーランド出身の学者。女性として初めてノーベル賞を受賞。

■キャリアウーマンから専業主婦に

――2〜3年勤めた後、専業主婦になられましたが、キャリアを中断ないしは捨てることへ葛藤はなかったんですか?

なかったですね。というのも、教師を続けられる環境じゃなかったから。主人が転勤のある職業だったのと、私自身、体が丈夫なほうじゃないんです。子どもを育てながら独身時代と同じように働くとなると、体が持たないだろうなとも感じていました。

それに私が仕事を辞めても金銭的には困らないのと、一度教師を辞めたら復職するのも難しい時代だったんです。もし今の時代に私が働き世代だったら、結婚して子どもを持ってもなんらかの形で仕事は続けていると思う。

高度経済成長期とは違って、今はなかなか給料が上がらない時代だから、共働きでないと厳しい。本当に今の若い人たちは大変だと感じます。

■亡くなった夫は、本当にいい男

――ちなみに、旦那さんとはどうやって出会ったんですか? 時代背景的にお見合いかなぁと思ったんですが。

舅(しゅうと)が主人(長男)の相手を探していました。主人は3人兄弟で、嫁はすべて舅が選んでいたんです。

――今で言う「親婚活」に近いような気がします。

そうかもしれないわね。そういう出会い方だったけど、ありがたいことに、主人は本当にいい人だったのよ。真面目で誠実でおとなしくて、私のやりたいことを何でも自由にさせてくれた。

――たとえば?

30代のときに、税理士の資格をとる勉強をしてたんです。税理士になるにはいくつかの科目に合格する必要があり、うち2科目だけはとりました。専業主婦だし、万一夫に何かあったら困るから、資格をとっておきたいと思って子育ての合間に勉強してたんです。

――妻の目標や夢を応援しない男性も中にはいますよね。

そういう男の人と一緒になるとつらいわよね。主人は60代のとき一度病気になってね。そのとき息子に「お母さん(キクコさん)を幸せにできて良かったと思う」って伝えたそうなんです。

その話は主人が2015年に亡くなってから、息子から聞いたんですけどね。主人は「男は妻と子どもを幸せにするものだ」という考えを持っている人でした。改めて、なんていい男と結婚したんだろう、と思えました。

■古典から「人間」を学ぶ

――以前、「いい男、いい女」についてツイートされていました。いい女にはいい男が近づき、逆も然りみたいな内容でした。

本人に魅力があれば、いい男がやってくるわよね。
自分と格段に差がある相手を望んでも無理があるでしょう。

――婚活メソッドやハウツー本などでは、「男性に好かれるファッション」「男性に気に入られるふるまい」なんかを紹介していますが、本人に魅力があればそんなのどうでもいいということですよね。

くだらない相手から気に入られてもしょうがないのにね。そんな相手と一緒に過ごすくらいなら、ロマン・ロランとかレフ・トルストイとか、昔の小説を読むほうが人間を学ぶのに何倍も役立ちます。

世の人間はどれだけ多様なのか、自分はどういう人間を目指していきたいのかとか、考えるきっかけが生まれるからね。時間は有限なんだから、薄っぺらい男に時間を費やしてる場合じゃない(笑)。

■自分の頭で考える人、考えない人の差

――おっしゃる通りです。

それに、まともな男の人はそんな婚活ハウツーやテクニックを読んで、そのまま実践している、自分の頭で何かを考えない女の人は好きじゃないでしょう。

男性に気に入られるためにと、着たくもない服で装うのは、自分を貶めているようなもの。自分を磨いた上で、自分が好きなものを着る人のほうが輝いて見えますよ。

結局は、自分と同じような相手が自分を選んでくれるわけです。もちろん自分が選んでもいいけど。努力して自分自身を磨かないとどうしようもないんです。

――内面も外見も。

基本は「頭」よね。こんなことを言ったら怒られちゃうかもしれないけど、頭が悪い人はダメ(笑)。

頭が良いっていうのは学歴とか生まれつき天才だとか、そういうことじゃないの。物事に疑問や興味を持って、学んで知識を手に入れて、教養を広げていって、自分の頭で考える力を持つ、ってこと。

思い込みにとらわれたり、思考停止になったりすると、その人自身、発展はしないわよね。それにね、知に貪欲になって、新しいことをどんどん吸収しながら、日々考える習慣を持っている人は、くだらないことに悩まなくもなるのよ。

料理ひとつとっても、自分の頭で考える。たとえば、味付けしないで炒めた玉ねぎやひき肉はビニール袋に平らにして冷凍。パキッと折れば使いたい分だけ使える。

■引き出しがたくさんあれば、悩まずに生きられる

――何か問題が起きたときも、ただただ落ち込むんじゃなくて、自分のなかに蓄積したものを活かして対処できますよね。

クヨクヨしないためには、ものを学ぶことが大事なのね。

興味があることなら、何を学んでもいいの。

私は35年くらいお茶のお稽古をしています。お茶は書やお花、お菓子、建築とか、お茶だけじゃなくてその周辺領域までも学べる、幅も奥行きもある総合芸術なのね。
 
引き出しが多ければ「こんなの大したことないな」と思えるし、悩みにすらならないからね。傍から見ると「失敗」なのかもしれないけど、それを失敗と思わず、「やり方が違ったから別のやり方をしてみよう」と経験に変えられる。

――いくつになっても学び続け、新しいことに挑戦し続けているキクコさんは、悩むことがなさそうに見えます。

ええ、悩みはなかったわね。周りからすると「大変そうだな」と見えることも、私にとっては悩むほどの問題じゃなかった、というのかな。何かを引きずることもないし、するっと乗り越えてきたと思います。

■新しいものを使いたい、ふれたい

――60代になってインターネットを始められたのも、当時新たな挑戦でしたよね。そのなかで2010年とツイッターを始めたのも早い時期でした。

長男が遠くに住んでいることもあって、安否確認の目的もかなり大きいの(笑)。

ごはんを1日3食、写真付きでアップしているのも、長男や長男の家族も見てるわけね。そうやってネットを利用していれば、世代が全然違ってもつながりを持てて便利なのよ。

普段より写真をアップする時間が遅れると、フォロワーの方たちから「今朝はまだ朝ごはん出てないようですけど」「どうかしましたか」とか、心配の声をいただくこともあります(笑)。

――全世界から安否確認されていますね(笑)。

「いつ寝てるんですか?」「ちゃんと睡眠とってますか?」みたいな質問も来るわね。疲れて夜8時とか9時くらいに寝ると、夜中の1時くらいに目が覚めるのよね。そこでツイートしていたら、私が1日中起きている人に見えるみたい(笑)。

――「そんなの難しい」「やらなくてもいい」と敬遠する人もいるなか、新しいツールやシステムを積極的に使う姿勢は、いつ、誰にとっても、人としてのしなやかさを保つのに大事だなと感じます。

「私には(インターネットは)必要ない」とか言う同世代には、「あなたは必要ないかもしれないけど、連絡するときに私が困るんだけど」と思っちゃいます(笑)。使えないより、使えるほうがだいぶ生活が便利になりますからね。

(編集後記)

ときおりキレッキレな言葉が飛んで、「ちょっと救いがないですね。原稿で言い回し変えますね(笑)」なんてやりとりをするのだけれど、朗らかで、やわらかく、温かく、何より面白い。キクコさんはまさに「一緒にいて楽しい人」だった。

昭和の時代を生きてきた女性は、戦争や社会情勢に大きな影響を受けた。現代女性よりも「自分の人生」を生きるのが難しかったかもしれない。それでもキクコさんは家族と共に自分の人生を生きてきたし、今もひとり暮らしながら、家族や友人に囲まれて楽しく過ごしている。

「人生100年時代」と言われて久しい。ただ、長く生きるのではなく、長く楽しく生きるには、他者と関わることが欠かせない。人は孤立していては生きていけない。キクコさんの人とつながる力、人を引き寄せる魅力の高め方から、私たち後輩は学ぶところがたくさんあると思う。

Text/池田園子
Photo/小林航平

ミゾイキクコさん
1934年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。教職を経て、26歳で専業主婦に。著書に『何がいいかなんて終わってみないとわかりません。』(KADOKAWA)、『キクコさんのつぶやき 83歳の私がツイッターで伝えたいこと』(ユサブル)などがある。ツイッター(@kikutomatu)

6月特集「聞かせて、先輩」

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6月特集は「聞かせて、先輩」。自分らしくありたい。自分らしく生きたい。でも、周りの目が気になることもある。そんな方に届けたいのが、自分なりのモノサシを持って、わが道を切り拓いてきた人生の先輩たちのお話。自分が目指す生き方を貫くヒントを探ります。

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DRESS編集部

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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