1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 恋愛/結婚/離婚
  3. 不倫を踏みとどまった既婚男性の、本当の孤独

不倫を踏みとどまった既婚男性の、本当の孤独

Share

相手さえいればできるのが不倫。既婚男性にとって、気楽に遊べる独身女性は不倫相手として魅力的な存在です。ですが、ある既婚男性は女性から誘われたにも関わらず、肉体関係を持つのを踏みとどまりました。理由は妻ではありません。この男性が抱える大きな孤独とは何なのか、お話します。

不倫を踏みとどまった既婚男性の、本当の孤独

■自立心が旺盛な独身女性の登場

39歳の男性がいます。勤続年数は10年を超える会社員で、妻と子どもがふたりいる、「平凡な家庭」の主。

外見は決して悪いほうではなく、落ち着いた物腰が特徴で「派手じゃないところが信用できる」と女性社員たちからも人気を得ています。

係長の肩書を持つ彼は、これまでも多くの女性社員と接してきました。部下の指導や新入社員の世話をする機会も多く、いわゆる「面倒見のよい人」として会社からの信頼をしっかり築いてきました。

そんな彼が、ある独身の女性社員から言い寄られるようになったのは、半年前です。

中途採用で技術職の枠に入社してきた彼女は30歳。仕事へのやる気が高く、彼の部署へ配属されてからは、スキルの高さからすぐに注目されるようになりました。

勝ち気で男性社員とも対等に渡り合う気概のある彼女は、係長の彼にもよく意見を求めてきました。業務をより効率的に回すやり方など、彼女なりの意見に彼はいつもきちんと耳を傾け、アドバイスを送ることもありました。

部署の中には、目立つ彼女に嫉妬の目を向ける女性社員もいましたが、彼女自身はそんなことは気にせず自分の仕事に集中していたそうです。

「割り切っているというか、『友達を探す場所ではないので』ってはっきり言うのが印象的だった」というのが彼の印象です。

彼女が今まで接してきた女性社員と違うのは、「男性社員に媚を売らない」ところだったといいます。

特定の人と仲良くすることもなく、力があると言われている上層部の人間にすり寄っていくこともなく、ひたすら自分の仕事に集中する姿は、ときにお茶くみも平気で断ることから「女らしさが足りない」と男性社員に揶揄されることもありました。

でも、彼にとってはそんな彼女の姿は、自立心が旺盛で自分の意思をしっかり持っている「芯の強い女性」と映っていました。

同じ部署なので話す機会も多く、自然と彼女の姿を目で追う時間が増えているのを意識したとき、彼は「初めて会社の女性に恋をしている」自分に気づきます。

■妻との比較

彼女に対し、部下以上の感情を持っていることに気がついた彼でしたが、もちろんそんな素振りは見せずに過ごしていました。

ただ、どうしても彼女と自分の妻を比べてしまう自分がいて、そこに自己嫌悪があったといいます。

妻とは友人の紹介で知り合いましたが、結婚の話が出たときから「できれば専業主婦がしたい」と希望していて、入籍後はすっぱりと仕事を辞めて家庭に入りました。

ふたりの子どもに恵まれ、家事に加え育児も忙しくなった妻は、「俺がなかなか手伝えなくても文句も言わずに」家庭を守ってくれているそうです。

会社では「いい奥さんがいて幸せだね」と言われることも多く、彼も妻には感謝の気持ちを忘れずに伝えていました。

そんな「良い妻であり、良い母親」に見える妻ですが、唯一の不満はセックスを拒否されること。

子どもができるまでは積極的にセックスを楽しんでいた妻でしたが、ふたり目を産んでからはゆっくり過ごす時間も少なかったことから抱き合う機会が減り、彼から誘っても「眠たくて」「明日も幼稚園の準備で早いから」と断られるばかり。

気がつけば、世間でいうところのセックスレス状態になっていました。

同僚に簡単に打ち明けられる話でもなく、性欲を持て余したときは、自分で処理することに虚しさを覚える時間が増えていきます。

そんな中で出会った彼女は、彼にとって活き活きとした魅力のある女性でした。

「体つきがエロいだけとか、そんなことなら良かったのに、そうじゃないんだよ。仕事に真面目で、俺のことも頼れる上司として見てくれる。それがダメだった」

家庭では、「夫」としての自分は認めてもらえるけど、「男」の部分は拒否される。それが彼から自信を奪い、妻を女性として見ることも止めてしまう。悪循環に陥った中で、彼女の存在は「自分を男として認めてくれる光」のようなものでした。

仕事中と割り切っているはずなのに、彼女から声をかけられたら思わず笑顔になってしまう。業務のことだから彼女が真っ先に相談に来てくれるのに、どこかで個人的な関心があるのかと期待してしまう。

家に帰れば一見上手くいっている家族だけど、妻とは寝室に向かう時間も合わなくなり、背中を向けて眠る妻の隣に体を横たえるだけの生活。

虚しさの反動が、彼女への関心に拍車をかけていました。

■「係長ならいいです」

「時間の問題だよね」

彼女とセックスするのは、と私が彼に言ったとき、彼は

「それは……彼女に失礼だから」

とまず口にしました。既婚の上司に好意を持たれているなんて、バレたらきっと嫌われてしまう。そんな不安が彼にはありました。

でも、その頃すでに退社後ふたりで飲みに行くようになった話を聞いていた私は、

「本当に会社の上司としか見ていないなら、プライベートな時間は持たないよ。だって言い訳にならないじゃない。仕事の話なら会社でできるでしょ?」

と返しました。

独身の女性が、既婚の男性とふたりきりで夜を過ごすことをよしとするのは、よほど信頼関係があるか、下心があるかのどちらかです。

彼も彼女も、「上司と部下」という立場を利用して飲みに行く口実を作っていますが、プライベートな空間で一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、その建前が崩れる好意は互いに募っていきます。

彼女にとって、彼が本当に「頼れる上司」でしかないなら、退社後のプライベートを彼との時間に捧げるなんてことはしません。自立心が旺盛な女性ならなおさら、そんな危険な状況は避けるはずです。

「……」

彼は黙ったまま下を向いていましたが、結局「そのとき」は1カ月後に訪れました。

「『係長ならいいです』って言われたよ」

ぽつりとつぶやいて、彼は目をそらしました。

あぁ、やっぱり、と思いましたが、彼の次の言葉は予想を裏切るものでした。

「でも、無理だった。俺も好きだって言いたかったけど、ダメだった」

あまりにも無責任だろ、と肩を落とす彼の声は、聞いたことがないくらい沈んでいました。

■「自分の状況は彼女と関係ない」

「え、寝なかったの?」

驚いて尋ねると、

「うん。ふたりともだいぶ酔っ払っていて、そんな気はしたんだけど、いざ彼女から『係長ならいいです』って言われたら冷静になっちゃって」

「目が覚めた?」

「目が覚めたっていうか、ここでしちゃったら、俺ただの無責任じゃん」

「でも、彼女もあんたが結婚してるってわかってて」

「だからさ。だから、ダメ。確かにしたかったけど、俺の状況と彼女は関係ない

「俺の状況」とは、セックスレスのことです。

口にしなくても、彼が彼女を抱きたがっているのはわかっていました。彼女の中にも自分への好意を確認したら、自然と「そんな状況」は訪れます。

特に、妻にセックスを拒否されてからだいぶ「ご無沙汰」だった彼にとって、それは望む瞬間ではなかったのか。

後で絶対に後悔する。そう思ったから、何も言わなかった」

彼女への気持ちが高まって性欲が強く刺激されたとき、彼が自覚したのは紛れもない愛情でした。

彼女のことは好きだけど、好きだからこそ不倫関係になってはいけない。

セックスはしたいけど、既婚者の自分と結ばれても、彼女を傷つけるだけ。

自分も彼女も、後できっと後悔する。

そんなことは避けたい。


彼の、「後で絶対に後悔する」という言葉を聞いたとき、こんな声にならない気持ちを耳にしたような気がしました。

でも、これが彼の人間性のもっとも深い部分を表しているといえます。

彼女のことは好きだし、妻とはレスで溜まってるし、彼女から誘ってくれてラッキー、とはならないのですね。

その場限りの欲に流されてしまわないのは、彼女への愛情が本物だから。

つまり、遊びにはできないからです。

結婚している立場の自分と恋愛をしても、彼女は幸せにならないだろう。

その事実から彼は逃げずに、彼女を守りました。

■それでも家庭に身を置く覚悟と孤独

「奥さんと離婚は考えない?」

こう尋ねたとき、彼は

「考えない。子どもがいるし、俺に好きな人ができたからって、すぐOKできることじゃないでしょ」

ときっぱりと答えました。

男としては見てもらえない家庭。セックスレスで、愛情も薄れつつある妻であっても、それでも家庭に身を置く覚悟を、彼は持っています。

こんな状態なら、独身女性から誘われたら簡単に頷いてしまう既婚男性も確かにいるでしょう。

彼だって、妻に隠れて彼女に満たしてもらうこともできたのです。

それをはねのけるのは、彼の孤独を深めることでもあります。

誰だって愛されたいのは同じ。でも、好きになった女性が自分を愛してくれているとわかっても、結婚している以上受け取ることはできない。

彼は元の「頼れる上司」に戻りました。彼女とは距離ができましたが、業務に支障が出るような振る舞いを彼女はせず、今でもしっかり仕事をしているそうです。

もう、ふたりで飲みに行くこともありません。

「寂しくてたまらない」

これが、彼の本音です。

それでも孤独を受け入れる責任感、彼女を傷つけたくないという真摯な愛情は、彼の本当の男らしさでもあると思います。

不倫相手が本気になったとき、独身女性がとるべき道とは

https://p-dress.jp/articles/5577

自分は遊びのつもりだったのに、不倫相手のほうが本気になってしまった。勝手に離婚なんかされても困るし、どうしよう……。既婚者がのぼせ上がると暴走しやすく、独身女性のほうは一方的に表舞台に引っ張り出される危険性もあります。そんな事態になったら、何とかして彼から一度距離を取る方法を考えましょう。

不倫相手に本気になった既婚女性が、それでも離婚できなかった理由

https://p-dress.jp/articles/5328

不倫相手を本気で好きになってしまった既婚者の彼女ですが、夫に離婚を切り出すことはできませんでした。それは、自分が夫に与える痛みの大きさに気がついたから。「許されない恋」は確かに興奮するけど、それより夫を不幸にするダメージのほうが大きいと気がついたとき、彼女は現実に戻ります。

Share

ひろた かおり

37歳で出産、夫と子どもの三人暮らし。何歳になっても恋愛ネタ大好物。恋愛相談家としてこれまで多くの男女から話を聞いてきた経験を活かし、復縁についてのアドバイスや不倫などさまざまな「愛のカタチ」について書いていきます。 人生...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article