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大人になっても“夢”は叶う――教えてくれたひとりの男

『DRESS』編集長の池田園子です。今の自分が会いたいと思う人に会いにいき、生きるヒントをもらう――「今会いたい人」#2では、DRESSプロレス部 部長補佐も務める池田が初めて出会った、経営者とプロレスラーふたつの顔を持つカーベル伊藤さんが登場。40代にしてプロレスラーになる夢を叶えた男の素顔とは。

大人になっても“夢”は叶う――教えてくれたひとりの男

こんにちは。『DRESS』編集長の池田園子です。今の自分が会いたいと思う人に会いにいき、生きるヒントをもらう企画「今会いたい人」#2では、株式会社カーベルの社長、伊藤一正さんが登場。

新車販売やレンタカーなど、クルマに関する事業を手がける同社を率いる“本業”に加え、プロレスラー・カーベル伊藤としての顔も持つ人物です(以下、カーベル伊藤と表記)。

■“好き”を仕事にしたら疲れない

2006年、36歳のときにカーベルを創業したカーベル伊藤。以来、全メーカーの新車を安く買える「新車市場」や10分100円からレンタカーを借りられる「100円レンタカー」などの事業拡大に努めてきた。現在、前者は全国に550店舗、後者は350店舗もの規模になっている。

カーベル伊藤の仕事における信念は「“好き”を仕事にしたらうまくいく」ということ。お客さまにはあまり大きな声で言えませんが……と前置きし、「自分繁盛なくして、商売繁盛はないと考えているんです」と話す。

好きな仕事をすることでやる気があふれ、心身ともに満たされると、仕事の成果にも結びつく。それがやり甲斐につながり、さらに良い仕事ができるようになる。カーベル伊藤の場合、昔から大好きなクルマを商売にしているから、ユニークなアイデアが生まれ、それが事業として成功を収めているというわけだ。

業界で革命を起こしたのが、全メーカーの新車から選べて、新車をおトクに買える「新車市場」だ。クルマ業界は縦社会。某メーカーTの新車はT店でしか買えないのが原則だった。

「でも、それって変ですよね。ドラッグストアやコンビニ、家電量販店などで目的のものを買うとき、僕たちは横並びになったいろいろな商品を比較検討して、自分が何を買うかを選ぶことができる。クルマもそうやって買えるようにしたいと思い、“新車のドラッグストア”のような位置づけで作ったのが新車市場です」

支払い方法も選べる。車両代金を2回に分けて現金で払う「現金2回払い」、カーナビやバックカメラなど、本当に必要なオプションだけがすべて付いた「福車」、月々1万800円の支払いで車検代や税金、メンテナンス代などが含まれる「No.1セット」などがあり、女性からは福車とNo.1セットがそのわかりやすさから人気を集める。

■40代後半にしてプロレスラーになる夢を叶えた

本業にエネルギッシュに取り組むなか、2016年1月にはメキシコでプロレスラーとしてデビューを果たした。当時45歳。身体能力が要求されるプロレスラーという職業を考えると、40代後半にしてプロレスラーになる人、なれる人はかなりレアだ。

同年11月には東京・後楽園ホールで、国内デビューを飾り、20試合近くの戦いを重ねている。リング上からリング場外にいる相手に向けて、ロープを飛び越えて体当たりする技「トペ・コンヒーロ」、相手の頭を両脚で挟み込んでバク転し、マットに頭部を叩きつける「フランケンシュタイナー」など、華やかな技で魅せる。そのかろやかな身体の動きには圧倒される。

「プロレスのトレーニングでは受け身の練習しかしないんです。だからトペ・コンヒーロもフランケンシュタイナーも、イメージトレーニングをひたすら積み重ねて、本番で実践する形です。初めてトペ・コンヒーロで場外へ飛んだときは『俺、飛んでる……!』と数秒の滞空時間のなかで感じていましたね」

高校卒業後くらいから、プロレス界のレジェンド、タイガー・マスク選手の活躍を見てプロレスラーに憧れたカーベル伊藤。一般の仕事に就き、自分の会社を持ちながらも、その夢を持ち続け、いよいよ大人になってそれを叶えた。その姿に勇気をもらう観客は多い。主戦場とする全日本プロレス(カーベルがスポンサーを務める)での出場のほか、「集客力のあるレスラー」として他団体からのオファーも受けるまでに。

カーベル伊藤が出場すると、+200人は集客できる。人気の理由は、カーベル伊藤自らお客さんに握手をしたり、いつでも気さくに写真撮影に応じたり、といった細やかなファンサービスを徹底しているからだ。本業の商売で培ったお客さんとの丁寧な接し方が、プロレスでも活かされている。

さらに、鍛えて引き締まっていながらも、決して大柄ではない体格が、観客に「自分と比較的近い体格・年代のプロレスラーががんばっている」と親近感を抱かせるのに一役買っていると思われる。

【DRESSプロレス部 活動報告】全日本プロレス野村直矢選手×カーベル伊藤選手×田中一徳さんトークイベント

https://p-dress.jp/articles/6621

3月26日にDRESSプロレス部で開催した、全日本プロレス所属の野村直矢選手×カーベル伊藤選手×田中一徳さんトークイベント「今の全日本プロレスを楽しみ尽くす!」の模様をレポートします。ここでしか聞けない貴重な話もあり、とても盛り上がった楽しい夜となりました。

■デビュー18戦目にしてチャンピオン戦に

4月22日にはKAIENTAI DOJOの「 16周年記念大会 CLUB-K SUPER evolution16」にも出場。自身初となる、シングルマッチ(1対1)を戦ったのは、3月7日、「佐野直デビュー20周年記念興行」でのこと。デビュー20周年を迎えた佐野直選手とキャリア2年のカーベル伊藤が戦い、見事初勝利を収めた。まさに大金星といえる勝利を手にして、観る者に希望を与えた一戦となった。

「プロデビューして18戦目にして、初めてチャンピオンベルトを懸けた試合に挑戦しました。『あいつはそもそもプロレスラーなのか(笑)?』なんて声も挙がるなか、6人タッグベルトに挑みました。まぁ、僕が呼んでもらえたのも、試合内容がどうこうというより、『カーベル伊藤を呼ぶと、お客さんが200人は増えるから』というのが目当てかもしれませんが(笑)。結果的に、批判ややっかみ……いろんなものが混ざり合って、ニュースとしても取り上げてもらえたのはありがたかったですね」

今年も多忙な本業の合間をぬって、いろいろな試合に出場する予定のカーベル伊藤。セミナーや勉強会開催のために、全国を飛び回る。その空き時間(?)も有効活用。

「腕立て伏せや腹筋のトレーニングはどこでもできるので、毎日欠かさずやっています。社員がプレゼン中、最後列の背後で腕立て伏せをしていますが、参加者の皆さんは誰も気づいてないですよ(笑)。自分のプレゼンの前に、腕立て伏せを90回くらいして胸囲を2センチほどアップさせてから“出陣”しています。人前に立つときは仕事のときも、プロレスのときも、人に見られているという意識をなくしてはいけないと思うんです」

経営者として、プロレスラーとして、輝きを放つカーベル伊藤。本当に実現したい夢は決して諦めてはいけない、と考えるきっかけを与えてくれるカッコいい大人であった。

Text・Photo/池田園子

カーベル伊藤(伊藤一正)さんプロフィール

株式会社カーベル創業者。1970年、愛媛県生まれ。自動車業界初のサービスを次々と展開し、業界の枠を超えて注目される経営者のひとり。2014年、エイベックスよりCDデビュー。2016年1月、メキシコにてプロレスデビュー。2016年11月、後楽園ホールにて国内プロレスデビュー。2018年9月には俳優として裁判官役で出演した映画『鈍色のキヲク』が公開予定。
株式会社カーベル
http://www.carbell.co.jp/
新車市場
http://www.carbell.jp/

池田 園子

DRESS編集長(2016年1月〜2020年1月)。

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