革靴が濡れたときのお手入れ方法
革靴が濡れてしまったときのお手入れ方法をご紹介します。元麻布で靴磨きやクリーニング、靴の修理などを手がける「スピカ」で代表を務める手嶋慎太郎さんが、自宅でできる靴のメンテナンス法を全10回でご紹介する連載です。
目次
革は水に濡れると、シミができたり、硬くなったりします。雨で靴が濡れると、革に染み込んでいた汗の塩分が靴の表面に白く浮き出てきたり、ソールの色がアッパーに移ってしまったりすることもあります。カビもすぐに生えてきます。
むかし会社の寮に住んでいたころ、濡れた靴を下駄箱に長い間放置していたら、小さいキノコが生えてきていて、腰を抜かした友達がいました(笑)。
さすがにそこまでひどい状態になることは稀ですが、革は水に濡れると、その後のメンテナンスが非常に厄介ですので、正しいお手入れ方法を学んで、面倒なトラブルをできるかぎり回避するようにしましょう。
革靴が濡れたときのお手入れで用意するもの
・乾いたタオル orキッチンペーパー
・新聞紙
・クリーナー
・やわらかい布の切れ端(いらなくなったTシャツなど)
・豚毛ブラシ(小)
・靴クリーム(靴の色に合ったもの)
・ストッキングを丸めたもの
・馬毛ブラシ(大)
・防水スプレー
・シューキーパー
STEP1 水分を拭き取る
乾いたタオルorキッチンペーパーを使って、靴についた水分をしっかりと拭き取ります。外側だけでなく、内側もしっかりと水気を取りましょう。
STEP2 形を整えて、しっかりと乾燥させる
(1)シューキーパーを入れて靴を整形します。革は水に濡れると形が崩れてしまうので、シューキーパーを入れて靴の形をきれいに整えます。
(2)新聞紙を靴の下に敷き、ヒールの下に靴クリームの瓶などを置いて靴底が地面と接さないようにします。このひと手間でソール部分もしっかりと乾燥させることができ、靴底にカビが生えるのを防げます。
この状態で2日ほど通気性の良いところで陰干しし、完全に乾燥させます。早く乾かしたいからとドライヤーを使うのはNGです。熱で革が硬くなってしまいますので、必ず自然乾燥させてください。
STEP3 革のメンテナンスをする
(1)靴の汚れを落とします。馬毛ブラシ(大)で表面のホコリなどを落としたら、クリーナーで革に染み込んだ汚れを落とします。雨ジミなどができていたら、布にクリーナーをたっぷりつけてシミができた部分を叩いてぼかします。
(2)靴クリームで革に栄養を与え、補色をします。豚毛ブラシ(小)に少量の靴クリームをつけて、靴全体に伸ばします。
(3)馬毛ブラシ(大)を使って、クリームが靴全体に馴染むようにブラッシングします。最後にストッキングの靴の表面を磨き、ツヤを出して完成です。
カビが発生したときの対処方法
カビが発生した場合、表面についた白カビであれば対処は可能です。カビを発見したらすぐに以下の手順でメンテナンスをしましょう(革の中まで浸透する黒カビだと、専門店でも落とすのが難しいです)。
(1)タオルorキッチンペーパーを水に濡らし固く絞って、靴の中と外についたカビをきれいに拭き取ります。アッパーと靴底の間にもカビ菌が残っている可能性がありますので、使い古しの歯ブラシを使ってきれいに除去しましょう。
(2)消臭・除菌スプレーを靴の中と靴底にかけます(消臭・除菌スプレーにはアルコール成分が入っていて、色あせする危険があるため、アッパーにスプレーするのは避けた方がいいです)。
(3)数日間、風通しの良いところで陰干しし、完全に乾燥させます。
(4)最後にもう一度、消臭・除菌スプレーを靴の中と靴底にかけて完成です。
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靴はお手入れすると美しく、長持ちします。せっかく買ったお気に入りの一足、おしゃれのお供として、長く一緒にいたいですよね。元麻布で靴磨きやクリーニング、靴の修理などを手がける「スピカ」で代表を務める手嶋慎太郎さんが、自宅でできる靴のメンテナンス法を全10回でご紹介します。
麻布十番にある「靴とバッグの本格メンテナンス スピカ」代表。靴好きが高じて開業。仕上がりの美しさに定評のある東京の人気修理店。