イタリア最大のワイン見本市Vinitaly〜ミラノ通信#26
イタリアのみならず世界最大規模のワイン見本市、ヴァニタリー。毎年4月に4日間行われるこのイベントは、日本を含めた世界各国から4000以上のワイナリーが出展しています。ミラノ在住の河見恵子さんにレポートしていただきました。
イタリア最大のワイン見本市「ヴィニタリーVinitaly」は、毎年4月に4日間、ヴェローナの見本市会場で開催されます。
『ロミオとジュリエット』の舞台、そして古代ローマ時代から現存する野外劇場アレーナでの野外オペラで有名なこの街は、ミラノから普通列車で2時間弱、イタリアの新幹線「フレッチャロッサ(Frecciarossa)」で1時間15分、ヴェネト州の入口に位置しています。
ヴェローナの見本市会場は旧市街である城壁内ではなく外に、84000平方メートル以上の規模を誇る大きなもの。
「ヴィニタリーVinitaly」はこの会場すべてを使って開催される、イタリア最大、さらには世界最大のワイン見本市であり、15のパヴィリオンに4000社以上のワイナリーが出展しています。
■日本からは5社の日本酒メーカーが参加
今年は4389社の出展、15593種に及ぶワインが紹介されました。
ほとんどはイタリアのワイナリーであり、その数4067社、他は一番多くてフランスの78社、アルゼンチンの51社と続き、36カ国から合計322社。日本からは山形県、剣菱など5社の日本酒メーカーが参加したようです。
15のパヴィリオンはイタリアの州ごとに分かれていて、外観も壁一面が大胆に絵や写真で覆われていたり、オブジェが設立されていたり、それぞれの個性が光っていて楽しませてくれます。
中に足を踏み入れると、そこはワイン好きにはたまらないトレジャーワールド、大手のワイナリーから小さなワイナリー、有名なところからまだ無名なところまで、ひしめき合っています。
各国向けの営業担当や広報も揃っている大手も、小さなブースにひとりでスタンバイしているワイナリーも。共通するのはワイン作りに情熱を傾ける人々、ということ。
新たな市場にもっと広く自分のところのワインを知ってもらおう、という生産者側と、素晴らしいワインを作る生産者を探したい、という来場者側の、ワインにかけるパッションが交差する、ある種の熱気を感じる空間なのです。
各ワイナリーでは試飲用のワインが振る舞われ、感想を述べるのも待たずにそのワインについて熱く語り始める生産者も。質問すれば、その3倍以上の答えが返ってくることもしばしば。
■試飲用だけでなく、秘蔵のワインを出してくれることも
レストラン経営、ソムリエ、インポーター、各国のメディアやプレスの他、一般消費者も数多く訪れていますが、すぐに商談や宣伝につながらない一消費者にも優しく、ワイン談義などに花が咲く様子がそこここに見られます。
中には、試飲用に揃えているワイン以外に、奥から秘蔵のワインを持ってきてくれることも。
■毎日開催のセミナーは、日に50ほど
各ブースの展示、試飲、商談の他に、毎日さまざまなセミナーも開催されています。
その数は1日に50ほど、プロ向けの試飲や講演など多岐に渡ります(登録すればプロ以外も参加可能)。
地域や品種ごとの試飲、ぶどう品種の土地による違い、醸造家による講演、など45分〜1時間半ほどのセミナーです。
地域や品種ごとの試飲が圧倒的に多いのですが、例をあげればこんな感じ。
「スーパータスカンワインの銘醸地ボルゲリと、フランスのペサックレオニャンのつながり」「アマローネ飲み比べ」「ワインの香りについて」「ワイン醸造の進歩」「トレンティーノ・アルトアディジェ・フリウリヴェネツィア地方の山のワイン」など。
ブラジルの発泡酒スプマンテ、スロヴェニア、南アのワインなどまだマイナーな地域のセミナーもちらほらと。酒Sakeの入門、というセミナーも登場していました。
また、少数ですがオリーブオイルの生産者も参加しています。
ワイナリーに併設してホテルやアグリツーリズモを経営しているところも多いので、旅行がてら遊びに行ってみるのもいいですね。
直に生産者と話し、葡萄畑を眺めながらいただくワインは格別です。
■ワインとの素敵な出会いを探してみては
来年度2019年は4月7日〜10日の開催です。
入場料は1日80ユーロ、4日間有効なチケットは145ユーロです。
すべての州でワインを生産しているイタリア、日本に紹介されていない素晴らしいワインが、まだまだたくさんあります。
ご興味のある方は、素敵な出会いを探しに、ぜひ足を運んでみてください。