未来を思い描いて進もう。「唇」という漢字が表す決意
何か決意を持って取り組むことがあるとき、「唇」という文字を書いた真言宗の開祖、空海の考え方を参考にしてみてください。
■何かが始まる前
鏡の前でリップを塗り直す。
夕方のパウダールームでは、化粧直しをする女性が多くいます。
彼氏に合う前なのか、食事会なのか、接待なのか、目的はそれぞれ。ほとんどの方が、化粧をする際、リップを最後に塗って完成させると思います。
時間がないときは、とりあえずリップだけ塗り直して、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。唇にリップを塗るときは、何かが始まる前の事前準備のように感じます。
例えば、1日の始まりであったり、プレゼン前の身なりを正すとき、数いる女性たちの中から頭ひとつ出るため、気になっている彼を振り向かせるため。
さまざまな色の中から選んだリップで仕上げた自分。そして、唇から紡ぎだされる言葉、そこに決意を込めて。
■「唇」という文字を書いた、空海の決意
空海とはどんな人物かについては、前回少し触れました。
「嫉妬」は誰もが持つ一般的な感情です。もし、嫉妬という感情との向き合い方がわからないときは、真言宗の開祖、空海の考え方を参考にしてみてください。
そんな空海が書いた「聾瞽指帰(ロウコシイキ)」。
これは、24歳のときに書いた、仏門に入るための決意書です。
出家に反対する親族に対する、出家宣言の書とされています。
それは、世の中の社会貢献であり・発信したいということの現れです。若く、活発で、はつらつとした当時の空海が見てとれます。
また、この時期すでに王儀之(オオギシ:書の芸術性を確固たらしめた普遍的存在として書聖と称される)の書を理解していたとされ、天才の片鱗をのぞかせていたのです。
その後、空海は唐に渡るのですが、そのときすでに中国語を学んでマスターしていたと言われています。
そんなことができたのは、日本にいるときに、唐からの日本に渡ってきた僧に中国語を学んでいたのではないかと考えられています。その礎があったことから、空海はさまざまなことを吸収して学び、密教を習得してきました。
■唇に決意を込めて、チャレンジを
さすがに私たちは空海ではないので、決意書を書いて何かをすることは少ないと思います。
ただ、大きい小さいに関わらず、何か決意を持って取り組むということはありますよね。
暖かくなってきたこの時期、新たな決意を持って物事にチャレンジして見てはいかがでしょうか。
その唇に、決意を込めて。
TEXT / 冨田 英理子