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女医が教える「医学・健康情報のウソ」を見破る考え方

「紙ナプキンで婦人科の病気になる」「ケーキを食べると乳腺炎になる」など、「明らかに根拠のない」医学・健康情報がネットや雑誌にあふれ、それを鵜呑みにしてしまっている女性がいることに驚きます。今回の記事では専門的な知識がなくても、医学・健康情報のウソを見破る考え方をお伝えします。

女医が教える「医学・健康情報のウソ」を見破る考え方

■サプリメントのホントのところ

こんにちは。内科医で二児の母の岡本彩です。

健康に気を使う人がよく飲むサプリメントのうち、科学的・医学的に「効果がある」と証明されたものは、ほとんどないのが実情です。

髪の毛を生やしたい人が、髪の毛そのものを食べていたらどう思いますか? 「そんなことしても意味ない」とわかりますよね。スイカを食べたら体にスイカができた……そんなこともあり得ません。

ところが、コラーゲンやヒアルロン酸など、体を構成する成分を食べると、それがそのまま体に定着すると思ってしまう人もいるようです。

でも、小学校で習ったことを思い出してください。食べ物はそのままでは吸収できません。肉ならアミノ酸に分解されて、野菜ならビタミンや食物繊維が吸収されます。「コラーゲン/ヒアルロン酸を飲んだらお肌がプルプルになりました!」という人は、もしかするとプラセボ効果でそう感じているのかも?

「酵素」も同じで、酵素入りのドリンクやサプリを飲んだところで、酵素はやはり分解されてから吸収されます。その後、元通りの酵素になるのかはわかりません(可能性はありますが)。飲んだらそのまま体内で酵素として定着して機能するわけではないんです。

また、「ある野菜を食べる人が食べない人より健康だった」からといって、「その野菜に含まれる栄養素をサプリメントで摂る」と同じ効果があるかはわかりません。栄養は食事からとるのが基本。食事ならサプリメントと違い多種の栄養素を同時に摂ることができ、吸収の効率もよいのです。

■「じゃあ逆の場合は?」と仮説を立てよう

「◯◯すると☓☓になる!」と聞いたら、「じゃあ、☓☓の人は全員◯◯したの?」と考えると良いです。

たとえば、「ケーキを食べると乳腺炎になる」という人がいますが(実際は食べ物と乳腺炎に直接の関係はありません)、「乳腺炎になった人はみんなケーキなどを食べていたの?」と考えてみましょう。そんなことはなさそうだ、と冷静になれるかと思います。

「授乳中は辛いものを食べてはいけない」という説も、「インドや韓国の女性はどうなの? カレーやキムチを食べるのでは?」と考えれば、取るに足らないことがわかります。

■本当に効果があるなら、みんな使いたいはず

たとえば、「風を当てると遺伝子が変わって髪にツヤが出る」というドライヤーを見たことがありますが、ドライヤーで遺伝子を変化させられるなら、もっと遺伝子治療薬が世の中に広まっていてもおかしくないですよね。薬がなかなか開発できないのにドライヤーで遺伝子が変わるのか? と考えると、根拠は怪しいと気づけます。

がんが治ると謳った食べ物やミネラルウォーターなども売られていますが、本当に効果があるなら、誰も手術や副作用がある抗がん剤なんて使わずに食べ物やミネラルウォーターで治しますよね。でも、そうなってないのはなぜ?

自分や家族の健康に不安があると忘れがちですが、少し冷静になって考えることが大切です。

■誰が何のために、その情報を発信しているのか

医学・健康情報のサイトがアフィリエイト目的でないかもチェックしましょう。

例えば「◯◯が身体にいい!」というサイトが、その◯◯を成分とするサプリの販売サイトだったという場合です。販売が目的なら、いいことしか書きませんよね。

ネットの医学・健康情報には不正確なものが多いですが、鵜呑みにする前にせめて「誰が書いた記事なのか」くらいは確認しましょう。署名がない、匿名の記事は、信用度を一段階下げて読んでも構わないと思います。

医師ではなく医療ジャーナリストや医療ライターが書いた文章は確かにわかりやすいですが、科学的根拠のないものも多いです。

ただ、残念なことに看護師や助産師でありながら「布ナプキンで経血コントロールができる」などと発信している人もいます。おそらく医師にも誤った情報を発信している人がいるのでしょう。

根拠となるデータや論文が引用されているか、といったところまでチェックすれば、「怪しい情報」の大半を選別できます。

最近は「メディカルノート」や「メドレー」といった、専門家がきちんと監修した医学情報のサイトがあります。情報の取捨選択の参考にしていただけたら幸いです。

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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