どんな仕事でも無駄になることはない 「WEB編集出身広報」が語る未来への挑戦
学生のころ描いていた仕事に少しでも近づいて、自分らしい日々を過ごしたい――。 理想に向かって歩む秘訣について、株式会社3ミニッツの企業広報・片山しほみさんにお聞きしました。
――さっそくですが、片山さんのお仕事について教えてください。
現在は株式会社3ミニッツで、企業広報を担当しています。
主な業務内容は、プレスリリースやメディア取材の対応、コーポレートサイト・公式SNSの運用、事業部と連携してPR計画立案、イベント選定・運営を行ったりしています。
ほかにも、月初に開催する全社報告会の進行、社内メルマガ、社内報、社員インタビューなど一通りの広報業務を担当しています。その中でも、自分が大切にする「会社やサービスの存在意義を世の中に伝える」という役割を果たすため、いまは社会のトレンドを読みながら、会社に溢れるさまざまな情報をどう編集して社会との接点を築いていくか、ということに注力しています。
――もともと広報の仕事をしたいと思っていたのでしょうか。今の広報の仕事についた経緯を教えてください。
もともとはメディア志望だったんです。
1年目のマーケティング部門にいたころに、自分の得意分野を伸ばしていきたいと思い、ライティングの勉強をしたり、美容の資格をとったりして知識をつけ、仕事以外の時間を使って記事を書く実践を始めました。
それがとても楽しくて……「言葉や文章で伝えることが自分には合ってるかもしれない」ということに気づいて。それから、いろいろな切り口で記事を書くことにもやりがいを感じていました。
その後、念願が叶いメディア部門へ異動。経験を積む中で、コンテンツをもっと多くの人に届けるには「メディアをPRし、想いやビジョンを知ってもらうこと」が必要不可欠だと思ったんです。
広報・PRの道へ進みたいと思ったものの、大手企業の広報は経験も必要とされます。また、20代のうちにスタートアップ企業で新メディアの立ち上げやブランディングを経験したいと思ったこともあり、当時「MINE」(※)を立ち上げたばかりの3ミニッツへ転職しました。
転職した当初は、前職の経験をいかし、メディア編集と並行しながらの広報担当でした。
広報について手取り足取り教えてもらえる環境ではなかったので、関連本を20冊くらい読んだり、広報セミナーへ足を運び基本的なスキルを身に付けました。ベンチャーの広報は経営と密接に関わっていることもあったので、特に当時は創設者(当時の代表)と情報発信のタイミングや見せ方について作戦会議をしましたね。発信した情報が拡散され、ブランディングにもなるよう、いかに鮮度ある状態で、正確かつ3ミニッツらしく届けるかということを常に考えて……。この点は、WEBメディアの編集経験がとても役立ちました。スピード感をもって仕事ができることにもとても刺激がありましたね。
1年間ほどで編集部の体制が整ってきたこともあり広報の専任になりました。MINEの編集コンテンツを企画し、撮影現場でディレクションをした経験により、メディアへの理解が深まり、企業広報をする上での強みになっています。
※:女性向けファッション動画マガジン
■「広報」とは社内の情報を “編集” して社内外に発信する仕事
――広報の仕事をされながらもやはり“編集”がお好きなんですね。
そうですね。現在は「広報」という肩書きではありますが、社内の情報を “編集” して社内外に発信するという点では “編集” の延長でもあると考えています。
実際、現職に就くまでの「メディアを舞台に、さまざまな切り口でトレンドを捉えてアウトプットする」という経験は、広報になってからとても生かされていると感じます。
――片山さんがやりたかった「広報」という仕事に就くために工夫したことはありますか。
「いつも自分の気持ちに正直に行動していくこと」だと思います。
その方法として工夫していることはふたつ。
ひとつは「スケジュール帳に今月 やりたいこと・やるべきことを箇条書きにして、毎月クリアすること」。
目標設定を他人にゆだねないで、自分でしていることもあり、たとえ周囲の環境に変化があったとしても、ブレることなく安定して自分のすべき仕事に集中することができていますね。
もうひとつは、「想いをできるだけ声に出すこと」。
そうしているうちに、自分の発言に対して責任が出てきますし、環境も変わってきます。
3ミニッツは、やる気と責任感があればチャレンジできる社風なのですが、こういった会社に入り、ゼロから広報経験を積めたのも、自分の目標を声に出していたおかげかもしれません。
■そのとき気づくことができなくても、キャリアに無駄なことなんてない
――大手企業からベンチャー企業に飛び込んでみて、辛かったことや悩んだことはありますか?
設立から間もないベンチャー企業にはつきものですが、方向性が必ずしもひとつではないことにより、フェーズによって求められるアウトプットや環境が大きく変わることです。
「昨日はAだと言われていたったことが、今日はBになっている」というような変化の大きい環境フェーズだったので、こだわりが強すぎてしまうと、周りの変化を消化できずにしんどくなるな、と痛感しました。
――ベンチャー企業のように大きくはありませんが、私たちの暮らしの中にも、日々変化が起こっています。片山さんは、そういった環境をどのように克服していったのでしょうか。
視野を広げ、自分が一番大切にしたい本質の部分を求めるよう、シンプルな考え方にリセットしましたね。3ミニッツに入社して間もなく、メディア事業に注力していた頃、やらなければならないことが盛りだくさんで四六時中仕事のことを考えていたのですが、ある時、「物事を俯瞰して見た方が良いよ」と上司にアドバイスいただけたことがきっかけです。いまも大切にしています。
それからは、環境の変化を受け入れつつも、自分の目標やゴールは忘れずに、毎月クリアにしていくことを大切にしました。
もちろん変化に対応していくうちに身についた忍耐力もありますが、とにかく本質的なものが明確であれば、環境の変化があっても自分らしく仕事ができると思います。
■同世代で生き残るには、自分の軸を持ちながら環境に柔軟に対応できる力が必要
――今後生き残る人材、同世代で活躍することができる人材はどのような人だと思いますか?
難しい質問ですが、「自分の軸をもちつつも、変化へ柔軟に対応できる」人だと思います。
どうして自分がそこで必要とされているのか? 会社やチームはどんなゴールを描いているのか? と、一歩引いて物事の本質を捉えることが大切かなと思います。
編集部の経験から学んだことは、多くの場合、仕事はチームプレイであって、自己発信や自己表現のためだけの場所ではないということです。
例えば作り手側が「仕事=自分の作品作り」だと捉えて表現してしまうと、メディアとして必要な軸が失われます。個人のスキルで活躍できる時代だからこそ、自分の世界観をどうメディアにあわせて変容させていくか? ということをきちんと把握することで、長く活躍できるのではないかと思います。
もちろん自分の軸を持ち続けなければいけないと思うので、そのバランスを保ち続けることは難しいなと感じているところです。
■3年後、5年後の目標を立てながらオリジナリティのある人材に
――片山さんの未来への展望を教えてください。
まずは、目の前の一つひとつの仕事で結果を残すことが第一歩なので、「編集出身の広報」という強みを生かして、さらに世の中の役に立てることに挑戦していきたいです。
3ミニッツという会社は、出版・映像・アパレル・IT……などさまざまな業界から参画したメンバーの中で新しい文化が創られています。
今までのキャリアを繋ぎ、さらに輝いているメンバーは会社の財産であり強みだと思います。その魅力を広報取材という形でもっと伝えていきたいですね。
また、個人としては「広報=物事を社会に伝える力」という根本的なスキルを伸ばすために、アウトプットの形に拘らず需要があれば様々なアウトプットに挑戦していきたいです。
また、広報と一概にいってもそこから枝分かれしたスキルがあるので、大手企業傘下だからこそ学べるIRや決算に関する知識も身につけてよりオリジナリティのある人材になりたいと考えています。
――具体的な目標をもって現在の仕事に就かれていますが、好きなことで未来をつくることをどのように考えていますか?
「何歳までに○○をしたい、○○になりたい」となんとなくでも意識するようにしています。
最近はついつい仕事のことばかりになってしまうのですが、いまは30歳を迎えるまでに「自分の軸を見つけ決めて、邁進するのみ」ですね。
細かく決めすぎる必要はないと思いますが、私の場合、3年後・5年後の姿を考えていると、今しかチャンスがないから挑戦してみよう! と思えて、新しい一歩を踏み出しやすくなります。やはり、自分の気持ちに素直に人生の選択をしていけば、何事にも責任を持てるし、好きなことで未来をつくることができるのではないかと思います。
編集後記
未経験ながらスタートアップで活躍するには、中長期でざっくりとした理想の状況を描きながらも、短期間の自分だけの目標設定を確立させることが必要なことは想像にたやすい。だが、仕事に限らず変化の激しい現代の時代を生きる私たちに必要なことは、自分がなぜ今の場所に必要とされているのか? と存在意義を把握できる強かさなのかもしれない。
取材協力:株式会社3ミニッツ
http://www.3minute-inc.com/
Text/Mediajo(取材:ZENKUMI/ライター:MIDORI)
http://mesher.jp/mediajo/
ミーハーと私(ME)彼女(SHE・HER)を掛け合わせた造語で
ミーハーな女子ゴコロ=“女性の情報源”という意味を込めています