役職や肩書きではなく、その人の名前で呼んでますか?【空から学んだおもてなし術#2】
「○○ちゃんのお母さん」ではなく、その人の名前で呼び合うママ友の方々。役職や肩書きではなく、その人の名前で呼び合う仕事仲間。些細なことかもしれませんが、相手を「その人の名前」で呼ぶことは、きっとその人を大切にするコミュニケーションなのだと思います。
みなさんはご自分のお名前が好きですか?
私は小さいころ、無い物ねだりで3文字の名前に憧れたこともあるのですが、今では「亜紀」という名前が大好きで大切に思っています。特に、海外に行くと ”aki” は覚えやすく、発音しやすいのですぐに覚えてもらえるという特典もあるのです。
■役職や肩書きで呼ばれることへの違和感
客室乗務員として大切にしていたことのひとつに「お客様の名前」があります。
残念ながら全乗客のお名前を覚えるという技は持ち合わせておりませんが、マイレージの上級会員のお客様やビジネスクラスのお客様に対してはご搭乗のお礼の挨拶に伺う際、お名前でお呼びすることを心掛けておりました。
もちろん国内線のフライトタイムの短い路線では難しいこともあります。
しかし、たとえ数時間であっても機内でご一緒させていただくお客様のお名前を覚え、「〇〇様、いつもご搭乗くださり誠にありがとうございます」とお伝えすることを大切にしておりました。
「お客様」と呼ばれるよりも特別扱いをしてもらっていると感じていただけますし、心の距離がぐんと近くなることで、その後のコミュニケーションが取りやすくなるからです。こうすることで、さらに快適な空間をご提供することができるのです。
先日読んでいた82歳にして現役の美容研究家の小林照子さんの新しい著書『これはしない、あれはする』の中でも書かれていたのですが、照子さんが大切にしていることのひとつに「フルネームで生きる」ということが挙げられていました。
照子さんは幼いころ、ご両親の離婚やその後養子になったこと、結婚などを通して何度か自分の名前が変わったことを経験されています。
そうした体験の中で照子さんは、幼いながらに自分の名前が変わるといういうことをとても不安に思われ、それまでその名前で生きてきた自分を切り離さなければいけないことに恐怖を感じたということを本の中で仰っていました。
そして、化粧品会社で役職を務められていた時も、役職だけで呼ばれることにとても違和感を感じていたのだそう。職場の肩書きは退職すれば忘れ去られてしまうもの……しかし「フルネームの自分」は誰とも代えることのできない唯一無二の存在だから。
■その人を、「その人の名前」で呼ぶことの大切さ
私も実は結婚した時に名字が変わることにすごく違和感を感じたのです。
女性の中には「愛するあの人と同じ名字になれるなんて嬉しいわ」という可愛らしい方も多いのかもしれませんが、残念ながら私はそのようなタイプではなく、名字が変わることでもう生まれ育ったその家の人でなくなるような気がしてとても寂しかったことを覚えています(その後、たった1年半で元の名字に戻ったのですが……)。
客室乗務員は海外に行くためにパスポートが必要なため、結婚したら仕事上の名字も必ず変えなければなりません。しかし、その後働いていた外資系企業では、ほとんどの女性が結婚しても旧姓のままお仕事をされていました。社長もマネージャーも、本国から時々いらっしゃるVIPの方も、みんな役職ではなく名前で〇〇さんと呼び合う文化、私はとても素敵だなと感じておりました。
そして私がもうひとつ名前の重要性を感じたのは、母になった時のこと。
周りのママ友さんがみんな名前で呼び合っていたのです。私の祖母や母の時代は違ったようですが、今は名前で呼び合うことが多いのでしょうか。
私も「〇〇ちゃんのママ」ではなく「亜紀さん」と呼ばれることで、母親としてだけではなく、私は私であることのアイデンティティを持ち続けることができたように思います。
そう考えると「名前」ってとても大切ですよね。両親からの最初にもらう贈り物です。
職場で役職で呼び合ったり、プライベートで「〇〇ちゃんのママ」「〇〇さんの奥さん」と呼び合ったりするのが当たり前になっている方もぜひ「相手の名前で呼ぶこと」を意識してみてはいかがでしょうか。
そのようなほんの少しの心掛けで、相手との心の距離もぐっと縮まるはずですよ。
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