今、あなたが感じるのはどんな香りですか。自分の香り、それとも、空間に漂っている香りでしょうか。日頃から「香り」を意識して生活することで、ワンランク上の魅力的な女性を目指しましょう。
心身のメンテナンスに「精油」が向いている理由【三宅志穂】
多くのストレスに囲まれながらもアクティブに生きるDRESS読者の皆さんには、自然の香りでストレスを和らげたり、疲労回復に健康維持にと、香りを楽しむだけではない術を身につけていただきたいと思います。
今年もさまざまな切り口で、「香り」にまつわるお話を発信してまいりますので、ご愛読いただきますようよろしくお願いします!
2017年は人を惹きつける香りについてお伝えしてきました。2018年は自分自身のメンテナンスに自然の香りを活用することからお伝えします。
香りの歴史
香りの歴史を見てみると紀元前まで遡ることができます。古代エジプト時代には、ミイラの語源になったとも言われるミルラ(没薬)や、フランキンセンス(乳香)、サンダルウッド(白檀)、シナモン(肉桂)などの存在が記録に残っています。
サンダルウッドの香りなどは今も根強い人気があり、ご存知の方も多いのでは? 今でもお料理やお菓子作りによく使われているシナモンは、近年その香りがアンチエイジングに効果があるとして話題になりました。今も昔も変わらず人を惹きつける香りって魅力的ですよね。
宗教的な儀式と強く結びつき、貴重で高価なものとして取引されながら、香料は進化してきました。すでにギリシャ時代には、病気の治療効果があると言われ、医療にも取り入れられていたのです。
19世紀までは植物や動物原料から水蒸気蒸留したり、牛脂に漬け込んで香りを染み込ませたりして、天然の香り成分を抽出し、香料として扱っていました。19世紀に入ってからは、科学の進歩とともに、合成香料が製造できるようになってきます。
同時に天然香料の抽出方法も進化しました。これまで抽出できなかった成分が取り出せるようになったり、蒸留時の熱で壊れてしっていた成分を壊すことなく取り出す方法などが確立されました。より自然に近い、リラックスできる香りが得られるようになったのです。
天然香料(精油)のすばらしさ
精油は植物の花や葉、木部、果皮、樹皮、根、種子などに含まれる香り成分を抽出した天然のエッセンスです。香りを楽しむためだけではなく、ストレス緩和や抗菌作用など、さまざまな機能を持ち合わせています。
精油に含まれる成分数は少ないもので数百種類。この数百種類が混ざりあってひとつの自然の香りを創りあげています。調香師が香水を作るために混ぜる香料の数は、多くても100種類前後であることを考えると、まさに自然の恵みです。
さらに、自然の香りは、数百種類の成分が混ざり合って見事に調和しているのです。自然の良い香りを嗅いで、香りが鼻に纏わりつく感覚があったり、頭が痛くなったり、不調を感じたことのある人はほぼいないのではないでしょうか? これが調和であり、自然の香りの素晴らしさです。
自然の香りは再現できない!?
そんな素晴らしい自然の香りですから、もちろん香りの歴史の中で、人は精油を積極的に分析してきました。それに近い合成香料を作ったり、合成香料を混ぜ合わせて似た香りを作ったり、いろいろな試みが行われてきました。
しかし、人が作った香りは、どうしても「この香りは合わない」と感じる人が出てきてしまいますし、長年の経験と知識があっても調和した香りを創るのは本当に難しいのです。
どんなに科学が進歩しても、まだまだ天然の香り、自然の恵みから得られる精油を超えられる合成香料やブレンドは生まれていないといえます。
調香師など香り創りに携わる人の多くが最初に通る道のひとつに、香りの「鼻コピー」があります。自分の鼻だけを頼りに、何百もある香料素材から選び抜いた素材を混ぜて、目標とする香りを創っていくのです。
私も研修で合成香料を何種類も混ぜて、天然のバラの香りをコピーしたことがあります。それなりに近い香りにはなるのですが、天然の香料が持つ、複雑に広がる奥深い香りはどれだけ試行錯誤を重ねても出すことはできず、天然香料と合成香料の間に超えられない壁を感じたことをはっきりと覚えています。
自然の香りのパワーを生活に取り込む
植物から得られる天然香料(精油)には、香り成分はもちろん、有効成分が凝縮されています。人間の身体に本来備わった自然治癒力を高める穏やかな作用が魅力的です。特に、アロマテラピーはリラクゼーションや鎮静作用などのストレス軽減効果があると、広く知られてきています。
これまで連載してきたように、香水を活用して人を惹きつける生活をする一方で、自分自身のメンテナンスには、植物の持つ自然の力を上手く活用することをおすすめします。
「気持ちの問題だけでは?」と思われるかもしれませんが、効果についても研究が進んでいます。心拍数や唾液の成分、脳波や精神性発汗など、生理反応の計測方法も進歩して、効果が明らかになってきているのです。
多くのストレスに囲まれながらもアクティブに生きるDRESS読者の皆様には、自然の香りでストレスを和らげたり、疲労回復に健康維持にと、楽しむだけではない術を身に着けていただきたいと思います。
2018年も香りを上手に使いながら、自分らしく輝く1年にしてくださいね!
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