「香りをまとわない女性に未来はない」【三宅志穂】
今、あなたが感じるのはどんな香りですか。自分の香り、それとも、空間に漂っている香りでしょうか。日頃から「香り」を意識して生活することで、ワンランク上の魅力的な女性を目指しましょう。
今、あなたが感じるのはどんな香りですか。自分の香り、それとも、その空間に漂う香りでしょうか。
はじめまして。三宅志穂です。香りを研究してきた化学者の視点で、皆様をワンランク上の魅力的な女性に導く、「香り」にまつわる連載を始めることになりました。どうぞよろしくお願いします。
ココ・シャネルの言葉が教えてくれたこと
第1回目の連載タイトル「香りをまとわない女性に未来はない。("Une femme sans parfum est une femme sans avenir.” )」というのは、ココ・シャネルの有名な言葉です。
「香水をつけないなんて、すっぴん以上に無防備で人前に出るのが恥ずかしい」「細かいところまで気を配ることが未来を切り開く鍵。香水をまとうこともそのひとつである」など、この言葉の真意についてはさまざまな解釈があります。
「ん、どういう意味?」という人も、「すごくよくわかる」という人も、何はともあれ、香りをまとって未来が少しでも良い方向に進むのなら、香りを活用しない手はありません。
香りがない=主張がない!?
これまで何人もの外国人の友人、知人から、同じ質問をされたことがあります。それは、「日本人はみんなニオイがなくてすごく不思議。みんな、主張はないのか?」というもの。
香りは、その人の印象や雰囲気を決定づける重要な役割を果たします。私たちは日頃、「この人はこういう人なんだろうな」と、その人の外見や立ち振る舞い、言葉、肩書などから判断します。
そこに実は、「香り」の要素も大きく関わっているんです。そこまで気を配らないと成功や幸せを掴むために必要な自己表現の強さに欠ける、と断言しているのが、あのシャネルの言葉なのだと思います。
この連載を通して、香りを使いこなす術をお伝えしていきますので、香りを自分の味方につけていただけたら嬉しいです。
香りひとつで、まるで別人
さらに具体的に想像してみましょう。
「自分はこうありたい」、「人にこんなことを伝えたい」というものも、適切な香りをもってすれば、より効果的に印象づけることができるんです。
バリバリ仕事をこなすカッコいい女性を想像してください。例えば、『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープ演じるミランダ。人を圧倒する強さを持った女性でカッコいいですよね。
彼女からふんわりした甘さたっぷりの香りがしたらどうでしょう。あるいは、メンズ香水のようなシャープで華やかな香りがしたら――。
シャープで華やかな香りをまとった彼女の方が、仕事への信頼感を持てますよね。香りをまとう本人自身も、香りの力を借りて自信たっぷりに行動できることでしょう。
私も、自分を奮い立たせて仕事に臨むときや「芯の強さ」を印象づけたいときには、メンズ香水を使うことがよくあります。
デートで選ぶ香りも考えてみましょう。先ほどと同じメンズ香水のようなシャープで華やかな香りは、黒のタイトドレスでクールビューティーを演出するにはぴったりです。
でも、パステル系や暖色系の女性らしいラインの服を着るときは、この香りだと、スタッズシューズを選ぶようなもの。
意図的にギャップを演出したいなら良いのですが、デート相手には「無意識」に違和感を与えてしまうかも。ここは、ふんわりした甘い香りを選んで、愛らしさを演出してみましょう。そして、自分自身の香りを感じて、かわいい自分に酔う時間も大切にしてみてください。
このように、相手に与えたい印象、感じたい気持ち、その場の雰囲気などに合わせて効果的に香りを使えると、自分の手でより明るい未来を切り拓けるようになります。
香りが効果的なワケ
記事を読みながら香りを意識してみて、どんな思いが生まれましたか。
情景が浮かんだり、感情が動かされたり......実際に香りを嗅いでいないのに、香りの効果について容易に想像がついたと思います。
香りを活用するのが効果的な理由は、人の五感、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚のうち、香りを感じる嗅覚だけが、感情や本能を司る大脳辺縁系に直接到達するから。感情や本能を支配する脳に作用して、記憶に深く刻みこんだり、強く「好き」と思ってもらったりすることができます。
この香りの効果を知らずにいるのは、もったいない!
次回は、香りが脳に働きかけるという特性を生かして、香りを選ぶことについてお話しします。