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気になる人を惹きつける香りの探し方【三宅志穂】

特定の香りを嗅いで、香りに結びついている記憶や感情が呼び起こされる現象「プルースト現象」。前回の連載でご紹介したプルースト現象を活用して、香りで気になる相手を惹きつけるアイデアを詳しく説明します。クリスマスシーズンにチャレンジしてみてください。

気になる人を惹きつける香りの探し方【三宅志穂】

連載第3回「恋にも仕事にも効く。人を惹きつける香り選びの秘訣」では、人を香りで惹きつけるためにプルースト現象を活用することをご紹介しました。

「プルースト現象」というのは、特定の香りが、過去の記憶や感情を呼び起こす現象です。フランスの文豪、マルセル・プルーストの長編小説『失われた時を求めて』に登場する主人公が、紅茶に浸ったマドレーヌの匂いをきっかけに、幼少時を鮮やかに思い出す描写から名づけられています。

「でも、どうやって活用するの?」と思った方も多かったかと思います。今回はプルースト現象の具体例をいくつかご紹介します。

すれ違ったときの香りで、誰かを思い出す

プルースト現象の代表例です。「経験がある!」という人も多いはず。

昔好きだった人や過去の恋人の香水の香りなど、強く印象に残っている香りはあるもの。それに似た香りを嗅ぐと、初対面でもどこか懐かしく、親しみを感じ、場合によっては「キュン」とまでします。

これは、第1回「香りをまとわない女性に未来はない」にも書いた通り、香りを感じる嗅覚が感情や本能を司る大脳辺縁系に直接働きかけるから。
香りが記憶に深く刻み込まれていて、そのときの感情にリンクしているのです。

初対面で親しみを感じてもらうには、昔流行った香水を上手に使う

ある年代に爆発的に流行った香水があります。代表的なメンズ・ユニセックス香水だと、カルバン・クラインのCK ONE、ジバンシーのインセンス・ウルトラマリンなどがあります。レディース香水だと、イヴ・サンローランのベビードール、ディオールのプワゾンなど。

多くの人に愛された香りは、現代でも懐かしさや親しみやすさなど、好ましい感情を引き起こすことが多く、特定の世代を狙った商品の香りづくりの現場では、こういった香水の香りを参考にすることが多々あります。

人を惹きつける香り選びでも、過去に流行った香水の雰囲気を持った香りを使うことは有効です。

こういった香りを使うときのコツとしては、「流行おくれで古臭い」印象にならないように注意を払うこと。服装など視覚効果も含めたトータルコーディネートで、現代風のアレンジをしてください。

香水売り場で「〇〇の香水に似た雰囲気の香水ありますか?」と聞いて探してみるのもおすすめです。

食べ物の香りでほっとする感じに

嗅覚は元来、生きるための捕食を効率的にする役割を担ってきました。そのため、食べ物の香りは人の記憶にアクセスするとても良い切り口です。

香水には食べ物の香り成分と同じものも多く含まれています。紅茶や緑茶などに近い香りのものは皆様もご存じなのでは。

お茶を飲むときの「ほっ」とする感覚を呼び覚まし、落ち着きと懐かしさを感じさせる効果があるかもしれません。

綿菓子の味と香りも、幼いころのお祭りを思い出して、ワクワクすることはありませんか? おいしそうなお菓子を目の前にしたときの幸福感には、甘い香りが大きく関わっています。

甘い香りの香水によく含まれているエチルマルトールやマルトールという香料原料は、砂糖やカラメルのような香りがします。おいしそうなワクワクする香りも上手に使いたいものです。

くせになる香りには無条件に反応してしまうことも

香りは中毒性を生み出すこともあります。香りが、良い思い出やリラックス感、高揚した気持ちと一緒に記憶され、いつの間にか無性に求めてしまうのです。似た香りがする人・場所・食べ物・商品に無条件に反応する、なんてことも。

特徴的な香りを、イメージの確立に使っているブランドがあります。どの店舗でも統一した香りを常に漂わせて、お客様に「帰ってきた」という感覚を印象づけます。

作り込まれた香りの演出をお店で行うと、店内での滞在時間が長くなったり、ひとり当たりの購入金額が上がるという調査結果も出ているほど。

米アパレルブランドのアバクロことAbercrombie&Fitch。2009年12月に日本に上陸し、1号店の銀座店に行かれたことがある方も多いのではないでしょうか。

オープン当初は、特徴的な香りが店の外まで漂っていて、銀座や有楽町エリアには店を訪れたであろう人からとてもわかりやすい香りがしていました。商品を購入してショッパーバッグを持っていなくても、香りが広告になるような状態だったのです。

私の友人にいたっては、Abercrombie&Fitchで洋服を買って洗濯を重ねると、店の香りが弱くなっていくことに寂しさを覚え、また店に戻って新しい服を買ってしまう、と話していたほど。恐るべし香りのパワーです。

香りを通してどんな相手を惹きつけたいのか?

香りを通して惹きつけたいターゲットが決まったら、その人をとにかく理解することが必要になります。

その人が経験した流行の香りは何だったのか? 好きな食べ物は何なのか? 好きな場所はどこなのか? それらの情報をヒントに、相手の印象に残る香りを選ぶことをお勧めします。

12月のクリスマスシーズン、今回ご紹介したことをヒントに、香りを使いこなしてみてくださいね。

三宅 志穂

株式会社フォルテ 代表取締役、化粧品研究者、香り専門家。 中学・高校をスペインで過ごし、帰国後、東京大学・大学院にて化学を専攻。修士課程修了後、花王株式会社の香料開発部門で研究者として基盤研究から100億円ブランドの立ち上...

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