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選択の思考停止が、結婚を”人生の墓場”にする

なんとなく、結婚は恋愛のゴールと思ってしまうところがあるけれど、結婚のゴールはどこだろうか? 死だろうか。そう考えてしまうと元も子もないが、ゴールに向かうまでに私たちはいくつかの選択肢が用意されている。

選択の思考停止が、結婚を”人生の墓場”にする

「あとは墓に入るだけかぁ」

これは夫が結婚式の日の夜に発した言葉だ。

子どもが欲しいという願望が最初からなかったので、「結婚」というライフイベントが終れば、彼の次のイベントはお葬式になるのだ。
発言を聞いた友人は分かりやすく不快そうな表情を浮かべた。たしかに「もう少し言い方ってものがあるでしょうが」と私も思ったが、夫としてはごく正直な感想だったのだろう。

■恋愛のゴールは結婚。では結婚のゴールは?

お年頃になってくると、みんな付き合っている恋人との結婚のタイミングを伺い始める。「まだプロポーズされていない」「結婚の話題を出すと不機嫌になる」という話はよく聞いた。


でも、考えてみたら、結婚するつもりで交際を始めたのなら、わざわざそんな期間を置かなくてもいいのではないだろうか。
よく「2年は付き合ってそれから結婚して、1年ぐらいは新婚気分を味わって……」なんて話をするけれど、最近は「その時間は無駄だったのでは?」という気がしてきている。


私自身は3年付き合ってから結婚したが、正直3年間ではなにも性格の擦りあわせはできなかったし、「結婚してみたらなんか違う……」と思ったことは数えきれないぐらいある。

そもそも結婚自体に向き不向きがあるが、これに関してはしてみなきゃわからない。

とりあえず、恋愛のゴールとして結婚が設定されている感があるので、そこに至るまでの山あり谷ありのコースは存在していないとなんとなく物足りないのかもしれない。

■結婚後に選ぶあなたの選択ルートは?

恋人関係のときは、意外と選択肢はシンプルな気がする。

「結婚する」、「別れる」のふたつ。

しかし、結婚してからの選択肢は複数存在する。私自身は「家族になる」「恋人になる」「友だちになる」「夫婦になる」の4つだと考えている。

「家族になる」は子どもが生まれて、父と母になること。

「恋人になる」は結婚してからも、恋人らしい関係を保つこと。互いの好きが最優先される関係。ただ、「好き」が冷めてから、「友だちになる」か「別れる」という選択肢が発生する。

「友だちになる」。結婚して、夫婦という関係にはなっているけど、優先されるのは自宅でいかに快適に過ごすかということ。セックスレス、互いに干渉しない。

「夫婦になる」とはなんぞや、という感じだが、個人的には友だちと恋人の間(というと甘酸っぱいが)、ほどほどに相手に執着心もあり「もともとは他人であった」というのを忘れがちになる。


ちなみに、複数のルートをチョイスすることももちろんできるが、役割をふたつ持つことになり、個人的にはなかなかしんどいのでは? と思う。

私自身も、ちゃんと夫婦で、妻のポジションをがんばってみようとしたときもあったけれど、疲れてしまい、今は友だちポジションに落ち着いている気がする。そうなることで、だいぶ気持ちはラクにはなった。


どのルートを選ぶかによって、人生のどこに重きを置くかがガラッと変わる。最終地点で別れ(離婚 or 死別)があるにせよ、結婚してからももちろん自分たちの形は選べる。

結婚はゴールであり、スタートである。言い方は悪いが、たしかに自分のお墓に向かってリスタートを切った感はある。しかし、言ってみれば、恋愛を終えて自分の人生を相手とどう作っていくか、とじっくりと考えることができる。


「結婚は人生の墓場」という人がたまにいるが、それは思考停止だ。
墓場にしているのは自分だし、パートナーをけなす最低の言葉である。ただ気持ちよく墓場へ向かうための長い長いウォーミングアップ場所ではあるかもしれない。

ちなみに、俗説ではあるが「結婚は人生の墓場」というのは最初は今あるような意味ではなかったという話もある。フランスのある詩人が梅毒が流行った際に「自由な恋愛はやめて身体を清め、墓のある教会で結婚しなさい」と言ったのだとか。つまり、自由恋愛をすると性病にかかってしまう可能性があるので身を清めてひとりの人と婚姻関係を結べ、ということか。

だとしたら、人生の墓場……という言葉も、また少し印象が変わってくるかもしれない。

ふくだ りょうこ

シナリオライター。1982生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2006年よりライターとして活動を始める。現在は胃が虚弱な痩せ型男性と暮らしながらラブストーリーについて考える日々。焼き鳥とハイボールと小説、好きなアイドルのライブに...

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