チェコにも冬が訪れました。フォークロア祭り「Hody(ホディ)」をレポート
大人から子どもまで町中の人が参加する、フォークロア祭り「Hody(ホディ)」をレポートしてきました。
こちらチェコは、寒さが増す一方。
11月11日は、キリスト教の聖人Martin(マーティン)の日でした。「聖マーティンが白い馬に乗ってやって来る」と言われています。これは、雪が降る合図なのです。
■チェコの名前の日とは
そもそも、「聖マーティンの日」とは何だろう? と思われるでしょうが、チェコには誕生日とは別に”名前の日”というものが存在します。
チェコのカレンダーには、キリスト教の聖人の名前が書いてあり、基本的にチェコの人たちはそこから子どもの名前を決めます。
例えば、Martinマーティン(マルティン:チェコ語読み)。
これは男の子の名前ですが、5月に生まれた男の子にマーティンという名前を付けると、この子は5月の誕生日と、11月11日の名前の日にもお祝いをしてもらえます。カレンダーに書かれた聖人の名前は不動なので、11月11日に生まれてしまうと、1年に一度しかお祝いしてもらえません。
そういうわけで、我が家の子どもたちにはカレンダーの中にあるキリスト教の聖人の中から命名しました。そのため、1年に二度もパーティーとプレゼントが。1年のほとんどが誰かのお祝いです(笑)。
■Hody(ホディ)とは
「Hody(ホディ)」とは、秋の収穫が無事終わり、冬の訪れを祝うお祭りです。特にこの町の人たちにとっては、一年の中でも待ちに待ったイベントになります。
大人から子どもまで民族衣装を身にまとい、朝から晩まで大騒ぎします。
お祭りの名前は、その町の教会に由来されるので、各地域名称が違います。
この町は「マーティンのお祭り」。そのため、毎年マーティンの日にちなんで11月11日前後の週末で開催されています。開催時期も地域により違います。
お祭りが開催される期間は3日間。金曜日の夜が前夜祭になります。
夜になると、たくさんの人たちが民族衣装を着て、ダンスパーティーへ繰り出します。チェコの人たちはダンスが大好きです。
■色鮮やかな民族衣装
2日目、3日目には民族衣装のパレードがあります。
色鮮やかな民族衣装を着て市役所前まで歩くと、市長さんがお出迎え。
広場で歌やダンスが繰り広げられます。パレードには音楽隊もいるので、常に生演奏。
そして下の写真に写るズボンの色が違う男性。
このふたりは、この年のお祭りのメインキャラクター。
メインキャラクターは、毎年男女2カップル選ばれます。1年を通して町のフォークロア行事のキャンペーンやお手伝いをします。これは、日本のお祭りと似ていますね。
今は立候補もできるようですが、昔はフォークロアグループから推薦のあった人たちに与えられる名誉ある役なのです。今でもよく、町でおじいちゃんやおばあちゃんに会うと、「彼は19○○年のメインキャラクターだったんだよ。」なんて紹介されます。
カップルは、本当のカップルというわけではなく、ダンスのパートナー。なかでは、長い時間を一緒に過ごすので、本当に結婚してしまうカップルもいます。
このままパレードは続き、ペアの女の子の家まで歩きます。女性は家の中で男性が来るのを待ち、男の子が、「扉を開けてください。」という趣旨の歌を歌いだすと、出てきます。一連のお芝居仕立てになっているので、見どころがあります。
その間、歌ったり飲んだり、なかなか次へ進みません。メインキャラクターに選ばれた女性の家では、お酒や焼き菓子が振る舞われ、大騒ぎです。
2カップルいるので、市役所前まで戻るころには相当な時間を要します。外は、すっかり暗くなっています。
この時期は、移動式遊園地もやってくるので、子どもたちには楽しみがたくさん。寒さも忘れて、お祭り騒ぎ。パレードが終わるとダンスパーティーへ向かいます。ダンスホールは、信じられないぐらいの人たちで朝まで賑わっていました。
最終日には、パレードの他に、教会での儀式やガチョウの取り合いという競技があります。ガチョウはお祭りのシンボルで、うんと昔にはお供え物でもあったとか。
男女でダンスをし、音楽が止まると生きたガチョウを男性陣で取り合います。勝者には、ワインがプレゼントされます。
■三日三晩楽しんで
お祭りは、これから迎える長いチェコの冬を前に、三日三晩めいっぱい楽しみます。
それにしても、この町の人たちは本当にお祭りが大好き。
おじいちゃんおばあちゃんから子どもまで、陽気に歌って踊って飲み続けます。みんなエネルギッシュです。伝統文化が根強く残っているのも特徴。
今では私も、3日3晩町のみんなと和気あいあいと過ごしています。きっと、伝統文化に交わらなければ、こんなに町の人たちと仲良くなることもなかったのかもしれないな、と思うほど。
そしていつしか、年に1回のこのお祭りを心から楽しみにしている自分に気づくのです。