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【海外で、産む】産後ママの最優先タスクは「体力回復」

海外で出産する著者は、産後ケア専門のプロ「産褥アマ」を雇い、産後28日間は体力回復に努めることにしました。日中は授乳とおむつ交換のみ、夜は寝るだけ、日中の家事と夜中のミルクやおむつ対応は一切しない予定です。なぜそこまでする必要があるのでしょうか。そして「産褥アマ」とはどういうお仕事なのでしょうか。詳しくご紹介します。

【海外で、産む】産後ママの最優先タスクは「体力回復」

■海外での産後の過ごし方を考える

海外で働いている私に産休は2カ月しかなく、育休という制度はもちろん存在しません。夫の会社は、産休という扱いの休みは1日のみ。

隣の芝生は青く見えると言いますか、日本で育児休業中の友人の「休んでいても育児休業給付金がもらえる生活」が羨ましくもあります。男性による育休取得も、まだ取得実績は少ないようですが、そういう制度があること自体が眩しく輝いて見えます。

夫婦ふたり、海外で働き続けると決めたのは自分たちなので後悔はないものの、高齢出産の私が産後に体調がすんなり戻るのか、フルタイムで8時間働けるのか不安で仕方がありません。

そんな中、産後のお母さんの体力回復と赤ちゃんのケアに務めてくれる専門職の存在を知りました。産褥アマ(さんじょくあま)、英語だとConfinement nannyといいます。女性限定の職業のようです。

マレーシアやシンガポールでは出産予定の女性が産褥アマを雇うのは珍しくなく、2カ月しか産休のない女性は産褥アマを頼って体力回復に務め、産休明けにはパリッと社会復帰するんだとか。

(共働きが当たり前で、妻が社会復帰しないと生活が成り立たないという事情もあるかもしれませんが、ここではそれについてはふれません)

産褥アマの業務範囲は、日本だと「それって手抜きしすぎじゃない?」と思われかねないボリュームですが、調べれば調べるほどありがたい存在で、彼女なしには復職できない気がしてきました。とはいえ、詳しくは後述しますがなかなかのお値段です。

夫と相談して「産休中に体力を回復させ、産休が明けたら復職するための投資」と判断し、産褥アマを雇うことにしました。

ほかにも、マレーシアには産後院(Confinement center)という、母子が産後を過ごすための施設もあるのですが、それだと産後の1カ月は夫と子どもが離れ離れになってしまうので、選択肢から外しました。

では、産褥アマが具体的にどういう仕事をしてくれるのか、そして実際に予約するまでのプロセスについてご紹介します。

■「産褥アマ」とは

産褥期(分娩後、女性の体が妊娠前の状態に戻っていくための時期。6〜8週間かかるといわれます)のお母さんの体力回復と、赤ちゃんのケアに務める専門職です。

専門職といっても資格制度があるものではなく、「産褥アマさんの人材派遣会社」に所属するか、フリーランスで「産褥アマ」と名乗って働いています。

マレーシアでこの仕事に就いているのは中華系の女性がほとんどですが、ムスリムの家庭向けにムスリムの女性を派遣する会社も存在します。

シンガポールにも「産褥アマ」がいます。シンガポール人もいますし、マレーシアから出稼ぎで行く人も多いようです。

■「産褥アマ」の仕事内容と相場

お母さんと赤ちゃんの退院日から28日間、泊まり込みで以下の仕事をこなします。

・お母さん用の食事と飲み物の用意
(中国漢方に基づいた、栄養バランスの整ったものだそうです)
・赤ちゃんの沐浴
・夜間のおむつ交換
・夜間の授乳
(母乳を搾乳して凍らせておくか粉ミルクで対応)
・掃除
・洗濯
・食事や日用品の買い出し

産褥アマは、夫妻の寝室とは別の部屋で赤ちゃんと一緒に眠り、赤ちゃんが夜中に起きるとおむつ交換や授乳をします。産褥アマ本人が夜に眠れなかった場合、日中の空き時間で昼寝して睡眠時間を確保するとのこと。

つまり、退院した日から28日間、お母さんは日中の授乳とおむつ交換以外は何もしなくてよく、夜はお父さんもお母さんも赤ちゃんの夜泣きを気にすることなく眠れるんです。

日本ではなかなか浸透しなさそうですし、理解を得るのも難しい文化かもしれませんね。

なお、気になる料金ですが、数社からいただいた見積りを平均するとだいたい4500RM〜5500RM(日本円で約12万円〜15万円)が相場です(※)。

お隣シンガポールではお国の経済水準が反映されるのかもう少し高いようで、それを目当てにシンガポールの人材派遣会社に登録し、マレーシアから出稼ぎに行く産褥アマも多いそうです。

※チャイニーズニューイヤー(旧正月)と期間が重なる場合は特別料金が別途かかります。

■産褥アマの探し方

探し方は「口コミ」か「人材派遣会社に依頼」のいずれかです。地域やコミュニティによって人気の産褥アマがいるようで、妊娠が発覚した女性が真っ先にやるのは「人気の産褥アマに問い合わせる」ことだそうです。

口コミでアテがない場合は、人材派遣会社にお願いすることになります。私はまず、人材派遣会社に問い合わせてみました。

「Confinement nanny service Kuala Lumpur」という単語でネットで検索し、見つけたサイトから見積り依頼を投げ、そのあとのやりとりや質疑応答はワッツアップ(Whats App)というメッセージングアプリで行いました。

いずれの会社も「前金を支払ったあとに産褥アマのプロフィールを提供、気に入ったプロフィールの女性を派遣」というシステムで、候補女性と事前面談ができない仕組みでした。

28日間も生活を共にし、生まれてくる子どもの面倒を見てもらう女性と、初めての顔合わせが産後……というのはおおいに不安です。

なんとかツテで産褥アマを探せないかと思い、仕事が終わった後や休日はひたすら産褥アマについて日本語で書いているブログを探しました。英語の情報はたくさん見つかるものの、生活・文化の違う外国人よりも「日本人視点」の情報がほしかったんです。

不思議と、シンガポール在住日本人女性による産褥アマ経験談はたくさん見つかるのに、マレーシア在住の日本人女性によるブログはなかなか見つからず難儀しました。

最終的に1件、マレーシア在住日本人女性のブログを見つけ、ブログ経由で連絡を取り、その方が雇っていた産褥アマを紹介してもらいました。

私と夫とで、産褥アマと面談した後、スケジュール(※)、フィーリング、言葉(英語)の面も問題なかったので、前金を支払ってスケジュールを押さえました。

※出産予定日がずれる可能性が多いにありますが、産褥アマはそういうズレを見越して、各クライアント対応の間は2〜4週間ほど空白期間を作るそうです。

■最後に

必死にあれこれ調整したものの、高齢出産です。なかなか体調が戻らないかもしれません。たった2カ月の産休で復職を目指すこと自体に、違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。

また、産褥アマとの契約が終わったあとに子どもをどこかに預けるのか、メイドを雇うのか、決めなければならないことはほかにもたくさんあります。

原稿執筆時点で妊娠6カ月、産後のことはまったく想像がつきませんが、いったんは2ヶ月の産休明けの復職を目指し、無理そうだったらそれはそのときに会社と相談しようと思います。

suni

海外で働いています。1979年生まれ、千葉県出身。自称バリキャリからの33歳で無職→語学留学→34歳でフィリピン就職→35歳でインドネシアで働く日本人と交際開始→36歳で結婚し夫がインドネシアからフィリピンに移住→37歳で夫...

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