女たちが覚悟を決めて10年守ってきたプロレスを観て思うこと - プロレスリングWAVE大会観戦レポート

女たちが覚悟を決めて10年守ってきたプロレスを観て思うこと - プロレスリングWAVE大会観戦レポート

DRESSプロレス部の活動記録です。8月12日に開催されたプロレスリングWAVE旗揚げ10周年記念大会『CARNIVAL WAVE~NEVER ENDING 大田区STORY~』の観戦レポートをお届けします。


DRESS編集長、兼DRESSプロレス部 部長補佐の池田です。

お盆の時期、8月12日に開催されたプロレスリングWAVE旗揚げ10周年記念大会『CARNIVAL WAVE~NEVER ENDING 大田区STORY~』に行ってきました。

同大会には、7月にDRESSで公開した記事「バカにされ続けたプロレス人生。元祖アイドルレスラーが、トップに立つまで - 女子プロレスラー・桜花由美の生き様」の桜花由美選手も登場。

大田区総合体育館という巨大な会場で、10周年記念大会にふさわしく、たくさんの現役レスラー、レジェンドレスラーが参戦。全10試合という豪華な内容で魅せてくれました。その模様をダイジェストでレポートします。

■強さは美しさ。同志からの「お帰り」に感動

1試合目は、「DUAL SHOCK WAVE~WAVE認定タッグ選手権試合(30分1本勝負)〈王者組〉米山香織&チェリーvs長浜浩江&小林香萌〈挑戦者組〉※第18代王者組初防衛戦」。

WAVEの生え抜きレスラー、長浜浩江選手がはじめは対戦相手のキックをたくさん受けていたのですが、後半、技術力の高さを感じさせる動きで、見事勝利。

観ていて気持ちが晴れ晴れするような勝ちの瞬間でした。蹴られても蹴られても立ち上がり、相手に向かっていく姿は、芯の強さ、強靭な精神力を際立たせていました。

4試合目は「NEO Reunion CARNIVAL WAVE~野崎渚復帰戦~(20分1本勝負)飯田美花&宮崎有妃vs野崎渚&希月あおい」。長くリングを離れていた野崎渚選手がこの大舞台で復帰する、という点で注目された一戦のひとつ。

貫禄あふれるパワーファイトで魅せるベテラン宮崎有妃選手を、感情をむき出しにしながら打撃する野崎渚選手。その戦いは厳しいものがありましたが、同時に「ここに帰ってきたね。おかえり」という、宮崎選手からの歓迎の思いも込められているような印象を受けました。

試合終了後、宮崎選手と野崎選手がハグし合うシーンにはぐっとくるものが……。戻る場所、帰る場所がある、受け入れてくれる人がいる――それはとても幸せなことだな、と思わされたのでした。

■相手を引き立てた上で、最後は自分が勝ちを収める「潔さ」

7試合目は「ライバルCARNIVAL WAVE(30分1本勝負)水波綾&大畠美咲vs中島安里紗&藤本つかさ」。

水波綾選手は「よく受ける」と思わせるレスラーのひとりです。プロレスは自ら攻撃するだけでなく、相手の攻撃を受けることが前提の競技。

だからこそ、レスラーは皆、対戦相手の技を意図して受けるわけですが、そのなかでも水波選手は率先して、とにかく積極的に技を受けようとする印象があります。

その姿勢が相手の技を引き立てることにつながり、その上で水波選手が勝利を収めると、あれだけハードな攻撃を受け続けたのにさすがだ……という気持ちにさせられるのです。

相手を素敵に魅せて、かつ勝ちにいく――そんな生き様を自分も実生活で目指したい、と感じてなりません。

■尊くて厳かな女同士の殴り合いを観た

セミファイナルとなる9試合目は「Regina di WAVE~WAVE認定シングル選手権(30分1本勝負)山下りなvs世志琥※第6代Regina初防衛戦」。

OSAKA女子プロレスの看板選手のひとりとなりつつある山下りな選手。7月2日の大会で、観ている者が涙してしまう戦いを魅せてくれたのに続き、今回も命を削るような、見ていて魂を揺さぶられる試合を見せてくれました。

ふたりとも負けず嫌い、と言うと言葉として生やさしいかもしれませんが、「絶対に負けない」という思いを体中から発し続けているようで、最後まで「どちらが勝つんだろうか」とヒヤヒヤするばかり。

観る者としてはふたりに対し、「もう、体力の限界なのでは?」「そんなフラフラな状態で、なぜ立ち上がれるの?」と感じてしまいます。

それでも気力を振り絞って立ち上がり、殴り合うシーンは尊さや厳かさを感じてなりませんでした。若い才能ある選手ふたりのぶつかり合い――また、いつか対戦してほしいと思います。

■キャリアと経験、乗り越えた修羅場の数々で磨かれる美しさと逞しさ

メインイベントとなる10試合目は「CARNIVAL WAVE~WAVE OF WAVEs~(時間無制限1本勝負)桜花由美vs朱崇花」。

GAMI社長と共に、団体の立ち上げから10周年を迎えるこの日まで、プロレス及びWAVEという団体に人生のすべてを捧げ、引っ張ってきた桜花由美選手は誰もが認める団体の顔。

その桜花選手が団体内で一番キャリアが浅いけれど、抜群の身体能力で期待を集めるルーキー朱崇花選手と戦う、大注目の一戦。

リングに上がる前、リング下で数秒静止した桜花選手の背中から、並々ならぬ覚悟を感じました。会場内は声援が飛ぶけれども、これまでにない緊張感も漂っていて、なんとなく異様な感じがありました。

皆が認める実質的なエースと羽ばたきつつある新星との戦い――お客様も固唾を呑んでその様子を見つめるしかないのでしょう。

桜花選手の弱点ともいえる膝を徹底して攻撃する朱崇花選手は、本気で勝利をつかみにいっている様子でした。

一方の桜花選手はキャリアと経験数、場数の多さがさすがで、引き出しの多さを見せつけます。自分のペースに持っていくのが巧みで、経験をすべて糧にされているんだな、と同じ仕事人として尊敬の念を覚えました。

熱戦を繰り広げたふたりですが、最終的に勝ったのは朱崇花選手。試合終了後のマイクで「朱崇花の時代がやってきます!」と宣言します。

その後、桜花選手から「1回勝ったくらいでトップに立てるような甘い団体じゃねーんだよ。10年苦労して今日の大会を実現させたんだ(中略)でも、朱崇花には期待してる」と、10年懸命に団体を守ってきた者としての誇りとリーダーとしての格を感じさせる言葉を残しました。

■ひとつのものを10年守り抜く覚悟

全試合終了後は、登場した選手全員がリングに上がり、GAMI社長と桜花選手を中心にお客様に向かって挨拶。

2100人以上のお客様で埋まった会場で、すべての試合を無事に終えて感極まったのか、GAMI社長の涙声が響きました。

「……たまには泣きます。10年もちました……」「桜花さん、婚期遅れたけど10年続けてよかったね」。

大阪出身女性ならではの笑いをきっちり織り込んだスピーチに、こちらも笑わせられますが、同時にひとつの新団体を10年守り続け、成長させ、関わる人も集めて育てる――。

その大変さは並大抵のものではなく、GAMI社長と桜花選手もプロレスを愛し、団体を愛し、真摯に取り組んできたんだなと、敬意を感じてなりません。

彼女たちはまさに、好きなことを仕事にしている人たちです。そんな人は一握りかもしれない。でも、それに懸け続け、全力を注いだ人は、好きなことがいつの間にか仕事になっているものなのかもしれない。そんな風に考えさせられた大会でした。

自分と同じ女性たちが、リング上で本気で戦う女子プロレス、皆さんもDRESSプロレス部に入部して、一緒に観にいきませんか?

Text/池田園子(DRESS編集長/DRESSプロレス部 部長補佐)

写真提供/プロレスリングWAVE
http://pro-w-wave.com/

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