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「私」と「子育て」を引き替えにするのは、やめた【母でも妻でも、私#1】

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夫とのふたり暮らしも仕事も楽しくて、なかなか次のステップに踏み切れない。当時、結婚3年目、28歳、フリーランスのライター。子供を産んで、失うもののことばかり考えてしまう。それでも妊娠を決めたときのことを書きました。同じ部分がある人の励みになったら、うれしいです。

「私」と「子育て」を引き替えにするのは、やめた【母でも妻でも、私#1】

フリーランスのライターをしながら、1歳5カ月の男の子を育てている。

いまではもはや、普通の顔をして。でも、子供を産むまでには、さまざまな葛藤があった。

■心地よい“いま”と子育ては、引き替えなのか

ハタチのときからお付き合いしていた彼と結婚をして、丸2年。
私は28歳になっていて、いまの暮らしは最高に心地よいけれど、子供を産むなら30歳くらいには動き出さなきゃな、と、ぼんやり考えていた。それが2015年のこと。

体力がないから、早く産むに越したことはない。婦人系の病気にかかったことがあるから、妊娠するまでに時間がかかるかもしれない。そもそも子供を持たない人生も素敵だと思っているから、年齢的に妊娠しにくくなった体ではきっと、がんばりがきかない。

そんなふうに、そろそろGOするべき理由はいくらでも思いついた。
けれど、そのどれもが「子供を産みたい」という前提に立っている。私の前提は、それでいいんだっけ? わからないまま、時が過ぎていく。

いまの暮らしの楽しさは、私たち夫婦が何かしらの方向転換をしない限り、ずっと続く気がした。

つまり「自分たちのことはそろそろ気が済んだから、腹をくくって子供を持とう」と思う日は、きっと、一生こない。なのに、そんな日を待ち続けた結果、タイムアップで選択肢をなくすのだけは、いや。だからやっぱり、私はいつか子供が産みたかった。

でも、私にとって子供を産むことは、すばらしい人生経験と引き替えに、多くを諦めることにも見えていた。育児は自分を犠牲にすることだって、多かれ少なかれ、みんな言っているような気がする。
子供を産んだらできなくなると言われていること。手放さなくてはいけない、手放すべきだと言われていることが、山のようにあった。

そもそも妊娠・出産・子育てには、なんだかネガティブな情報が目立つ。待機児童やベビーカーのマナーみたいな社会的問題はもちろん、夜泣きでまったく眠れないとか、発熱した子供のお迎えばかりで同僚の視線が痛いとか、おもちゃがあふれて部屋が一気にダサくなるとか。

そして、フリーランスの私に、産休や育休はない。休めば休んだぶんだけ収入が減るし、ポジションを失う。「子供を産んだら、仕事の優先順位は自然に下がるから、悩まなくても大丈夫」みたいなことをよく言われたけれど、そんな言葉は求めてない。

子供と仕事は、本当に引き替えなのかな。

■アイデンティティを失わないための、決意

仕事が一番大きな懸念だったけれど、不安やためらいはほかにもあった。

子供を産んだら、これまで大切にしてきた“自分自身”のさまざまな要素が、どんどん失われていくんじゃないか。よく聞く「○○くんママ」といった呼ばれ方も、子供中心の生活も、想像のうえでは全然しっくりこない。いままで私は私として生きてきたのに、子供を産んだ瞬間から、”母親”というアイデンティティに塗り替えられてしまうんだろうか。

そんなことをぐるぐる考えていて、踏み切ることも、開き直ることもできずにいたある日。ふと、ひらめいた。

「腹をくくって子供を持つ」のではなくて、「子供を持っても諦めないと、腹をくくる」のは、どうだろう。

未知の不安を想像してばかりいてもしょうがない。
仕事も、自分自身も手放したくないのなら、腹をくくろう。子供ができても、なんとかして仕事を続ける。なんとかして、好きな服を着る。愛すべき時間をつくる。私は私のままでいることを、諦めない。

子供を産んだって、やりたいことは全部なんとかするって決めた。そうしたら、その時点ではなんにも解決していないのに、不思議と気が楽になった。いろんな先入観をとっぱらって、わたしと彼の子育てをつくっていけばいい。

そこまで考えて避妊をやめた2カ月後、妊娠がわかったのでした。

たくさん考えて、本当によかったと思う。納得して進んだから、いまも人生はとっても楽しいし、子供はとってもかわいい。

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菅原 さくら

1987年の早生まれ。ライター/編集者/雑誌「走るひと」副編集長。 パーソナルなインタビューや対談が得意です。ライフスタイル誌や女性誌、Webメディアいろいろ、 タイアップ記事、企業PR支援、キャッチコピーなど、さまざま...

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