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本が読めない、と悩んでいる方へ。「忘れて当たり前」と考えれば読書はもっと楽になる

本が読めない、読書が難しいと感じている、とお悩みの方もいるのでは。作家・書評家で、最新刊『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)を上梓した印南敦史さんに、読書習慣を身につけるためのアイデアを、数回の連載で教えていただきます。本が読めない=読書へのアプローチを変えれば、本を読めるようになることでもあるのです。

本が読めない、と悩んでいる方へ。「忘れて当たり前」と考えれば読書はもっと楽になる

■本が読めない=本を読めるようになる可能性がある、と考えて

「読書」と聞いただけで、「私には無理!」と距離を置きたくなる方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、「読みたくても、行動に移せなくて……」という方も少なくないでしょう。

たしかに読書って難しそうだし、そもそも小学生時代から「読まなくてはいけない」と読書を強制されてきた経験は、多かれ少なかれ誰にでもあるもの。だから否定的になってしまうのも無理はないのです。

でも、当たり前だからこそ可能性があるのだとも思います。「読めない」とは「読めるようになる可能性がある」ということであるはずだから。

僕は作家・書評家で、先ごろ『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)という新刊を出しました。タイトルの通り、上記のような「一歩が踏み出せない」方に対し、読書習慣を身につけるためのアイデアをご提案しているのです。今回はそのなかから、「読書をすると自分がどうなるのか」についてお話ししたいと思います。

■「サンプリング」と「エディット」

まずは、音楽の話から。おもにヒップホップなどのサウンドをつくる際に、「サンプリング」という手法が用いられることがあります。文字どおり、sample(抽出する)ということ。具体的にいえば、レコードなどの音源から好みのパートだけを抜き出すわけです。

そして、次に重要なプロセスが「エディット」(edit)。いうまでもなく「編集する」ということですが、つまりは既存の音楽を「サンプリング」し、「エディット」する(好みの音につくり変える)ことによって、新しいサウンドにつくり変えてしまうのです。

それがヒップホップの創造性ですが、実は読書についても同じことがいえます。

■かけらを集めてオリジナルをつくる

読書をする際、僕たちはつい「すべてを吸収し、理解しなければならない」と考えてしまいがちです。けれど本来、理解できなくても忘れて当たり前。そのことを意識しておくと、読書のハードルは一気に下がります。

言い換えれば、「理解しなくちゃ」「記憶しなくちゃ」と自分を追い込むから読書がつらくなるのです。でも、「忘れて当たり前」なら、気持ちが楽になりませんか?

それに、「覚えよう」と意識するまでもなく、自分の感覚や考え方にフィットすることは自然と記憶に貼りつくものです。

ファッション誌を眺めているとき、着こなしの工夫や新商品の情報を見て、「あ、これ素敵だな」と感じることがありますよね。そんなときは、感覚に引っかかる、つまり「ピンときた」ものを無意識のうちにピックアップしながら読み進めているわけです。

そして、それらは自分のなかに蓄積され、どんどん積み重なっていきます。たとえばA、B、Cというアイテムがすごく気に入って、頭から離れなくなったとします。さらにファッション誌で見たコーデDに、とても新鮮さを感じたと考えてみてください。

つまりその時点で、心のなかでは「エディット」の作業を行なっているということ。無意識のうちにAとBとCとDをミックスさせ、エディットし、結果的にそれがEという自分だけのオリジナリティになるわけです。

読書も同じです。全体を記憶していなかったとしても、印象的ないくつかの「言葉のかけら」は必ず脳裏に残ります。そして、それら複数の断片がミックスされ、自分だけの考え方や感性ができあがるということ。それが読書なのです。

何も気負う必要はないし、忘れてしまっても理解できなくてもOK。ただ、「断片」を「サンプリング」しておくだけでいいのです。その蓄積が、やがて必ず自分のオリジナリティになるのですから。

そう考えると、読書って簡単だと思えませんか? そのことを忘れないでください。こうした考え方を軸に、次回は「かけら」を拾い集めるコツについてお話ししたいと思います。

『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』書籍情報

著者 印南敦史さんプロフィール

作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。Web媒体「ライフハッカー(日本版)」で書評欄を担当することになって以来、大量の本をすばやく読む方法を発見。以後、驚異的な読書量を実現する。

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DRESS編集部

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