ミラネーゼが愛するフラワーフェスティバル~ミラノ通信 #10
初夏を感じるイタリアの5月。ミラノでは恒例のフラワーフェステバルが開催されます。花々や植木、ガーデニング用品だけでなく、レストランや美容イベントまで開催されるこのイベントは今年もたくさんの人で賑わいを見せました。ミラノ在住の河見恵子さんがレポートします。
5月初めには、毎年恒例のフラワーフェステバル「Oritcola(オルティーコラ)」が開催されます。
今年は5〜7日に開催、ミラノの中心地にあるIndro Montanelli公園の一角、ショッピングストリートとして名高いモンテナポレオーネやスピーガ通りからも徒歩5分の、市民の憩いの場です。
入場料が一人10ユーロかかりますが、こちらはミラノの緑化に使われるとのこと、晴天の週末とあって、たくさんの人で賑わっていました。
バラの鉢植えで埋めつうされる、入り口からすぐの噴水広場
■美しく咲き誇る大輪のバラ
入り口からすぐの噴水広場は、バラの鉢植えで埋め尽くされています。イタリアの強い日差しをサンサンと浴びて育つバラは、心なしか日本のものより大ぶりな気がします。
品種や色もとりどり、なんとも言えない美しい色合いで咲き誇るバラを見ていると、華やいだ気分に。花のある暮らし、いいですね。
庭つきなんてミラノ中心では難しい、全ての階にバルコニーのついた比較的新しい建物の多い地域もありますが、ブレラ地区はパラッツォエポカと呼ばれる1920年代からの建物が多い地域です。小さなテラスでもいい、陽の当たる外のスペースがあったら嬉しいなぁ、とオルティーコラを覗くと願ってしまいます。
美しい色の薔薇に魅せられる
ラベンダー、鉢もラベンダーカラー
■季節の花々からインテリア、石鹸まで。幅広い品揃え
季節の花々、ハーブ類の鉢植え、レモンやオレンジの柑橘系の木、葡萄、サクランボ、イチゴなどの苗、サボテンや盆栽に至るまでさまざまな植物、ガーデンチェアやテーブル、量り売りに使われていたワイン用の大瓶やガラス製品などの小物、花やハーブのエキスを使ったクリーム、石鹸などのプロダクツも販売されています。各種ハーブの鉢は4〜6ユーロ、ラベンダー6〜7ユーロ、レモンの木の中鉢で25〜39ユーロくらい。
ミントだけで20種類以上の品種が勢ぞろい
とりどりの花
ワインの量り売りに使われていた大瓶いろいろ、インテリアやディスプレイに
■人気のフードは野菜のフライセット。シードルと一緒にいただきます
イタリアのイベントには必ずあるバールと食べ物のコーナーでは、ピエモンテ州のレストランが出店、その場で次々に揚げられる7種類のフリットが大人気! 今年も行列ができていました。
<畑の7種のフライ>の内容は、ズッキーニ、アスパラガス、ナス、りんご、アマレットというひと口サイズのアーモンドクッキー、セモリナ粉のお菓子、セージの葉で7ユーロ。セージの葉のフリットは、紫蘇の葉の天ぷら感覚に近いですね。
これをビールやリンゴのお酒シードルと一緒に、というのがオルティーコラでの正しい組み合わせなのだとか。
甘いもの、しっとりしたクッキーをフリットにするのは新鮮でしたが、これはさすがに食後のカフェが欲しくなりました。
7種類のフリットはオルティーコラの看板メニュー、7ユーロ
フリットとシードルでランチ、おやつがわりにも
中世の衣装に身を包み、優雅に談笑している人々もいて、さながら映画のワンシーンのようでした。花モチーフの帽子が素敵です。
まるで映画のワンシーン、華やかな衣装で優雅に談笑するグループ
■レモンの鉢植えはテラスでガーデンにングを楽しむのにぴったり
ミラノ市内で大きな植木屋はなかなかないので、これだけの種類を揃えたフェスティバルはガーデニングする人にとってはまたとない機会、家族連れで植木を品定めする様子は真剣そのものです。北イタリアでも、ガルダ湖畔などは温暖でレモンやオリーブが育つ最北端ゾーンなのです。
レモンの木は鉢植えでも立派に育ってたわわな実をつけるので、テラスでの栽培にも大人気、種類もこんなにあるようです。
レモン、柑橘類の実の紹介。手前の上にある珍しいカタチのものは、「ブッダの手」という品種だとか。千手観音像からイメージしたのでしょうか。
■広い園内を散策するだけでも楽しめる
ガーデニング講座も開設され、時間ごとにテーマが変わり、ラベンダーの育てかた、夏のハーブ、アロマテラピーなど、少人数制でどれも盛況の様子でした。
園内はそれぞれのコーナーごとに、バラの通り、紫陽花の小径、マグノリア広場、木陰の道、など命名されています。
会場の地図、それぞれのコーナーごとに、バラの通り、紫陽花の小径、マグノリア広場、太陽の通り、木陰の道など名前がついている
木陰の道
購入を決めたものは台車で車まで搬送サービス
■フレグランスや美容のイベントも。来年は5月4日〜6日の開催
このイベントは非営利団体ロンバルディア州オルティーコラ協会の主催ですが、ミラノ市を始めたくさんのところが協賛しています。 Diorからは、<Bellezza e Amore per i fiori~花への愛と美>をテーマに新しくリリースしたフレグランスの紹介と、スキンケア、メイクアップのトレーナーが来場してのイベントも3日に渡り数回行われていました。
美と、美しい花への愛情は、女性の永遠のテーマですね。そして、そんな女性を愛でるだけでなく褒めちぎることも忘れないイタリア男性、イタリア女性がずっと綺麗でいる秘訣のようです。
公園内にはキッズ用の遊び場もあるので、会場からいったん出て再入場することもできるシステム(手首にスタンプを押されます)、母親が講座を受けたり、買い物している間に、父親と子供は外で遊んで待っている姿も。
初夏を思わせる気候のなか、家族で楽しめるイベントとあって毎年大盛況、来年は5月4日〜6日の開催です。
この時期ミラノに立ち寄る機会があれば、ミラネーゼの愛するフラワーフェスティバルも、覗いてみてくださいね。