フランスに行ったら試したいパリの朝食「パリジェンヌ流おうち朝ごはん」
フランスの旅行を予定している方におすすめしたいのが、パリジェンヌと同じような「おうち朝ごはん」。そこにはフランスらしさがぎゅっと凝縮されています。マネしてみると、「この空気感、お土産に持って帰りたい」と思うくらいの体験価値がありそうです。パリジャン、パリジェンヌ3人とルームシェアして発見した朝食シーンをご紹介します。
■パリジェンヌはクロワッサンよりバゲットやカンパーニュがお好き!?
パリジェンヌの朝食といえば「カフェでクロワッサンとコーヒー」のイメージ。
確かに彼らはカフェにもいますが、家にもいます。
食べているパンはバゲット、カンパーニュ(田舎パン)やセーグル(ライ麦パン)など、大ぶりの素朴なパン。
なのに、カフェでの佇まいの粋さに負けず劣らず、とっても無造作で抜け感があります。
並べるだけのお気に入り。やっぱりぜんぶフランス産。
準備はテーブルにパンを乗せたカッティングボード、バター、コンフィチュールや蜂蜜のポットをポンポンっと置いて、淹れたてのコーヒーとともに。
まるで小さなピクニック。
調理いらず。食器いらず。とってもざっくり。
なのに「華やかさ」と「きちんと感」があるのは、こだわりが盛り込まれているから。
・パンは近所のお気に入りブーランジェリーで買って
・バターは愛着のあるいつものメーカーのもの
・コンフィチュールやハチミツは好みの花
・植物のものを数種
(時におばあちゃんの手作りだったり、旅先で見つけたものだったり)
冷蔵庫を開けて「今日のコンフィチュールはどれにしようかな」と選ぶ姿は、まるでクローゼットから洋服をチョイスしているようで、とってもキュート。天然フルーツカラーのコンフィチュールもカラフルでキュート。
はたと気づく、日本でもよくある風景。なのになぜか憧れてしまうのは「フランス産」がとってもおいしい食材でマリアージュできているから。農業・酪農王国のなせる業です。
■パンのお皿はテーブル。のびのびとエレガントに
パンくずは、その軽さゆえから舞い散ります。フランスでは大人も子どものように広いテーブルを受け皿にしてのびのびとパンを味わっています。
やや気をつけなければいけないのはパンにのせるもの。
大胆にカットしたバター、ぽってりとろ〜りのコンフィチュールやハチミツは、「塗る」というより「のせる」がふさわしいたっぷり感。
これらは落ちないように、かつ手際よく口に運びます。
すっかり身についたその流れる動作は、無造作なのにエレガントだなぁ、と感じるひとコマ。
そっと口に運ぶだけでも色気があるので、わたしも時々真似していますが、胸元のシミが絶えません(涙)。
■パンは淹れたてのコーヒーとともに
日本では、朝はもっぱら手抜きで「インスタントコーヒー」派だったわたし。
フランスでも同じ派でいいのですが、同居人たちの「挽いた豆(レギュラーコーヒー)から抽出」派に押されて改派しました。
彼らは時間と手間はかかるけれど、コーヒー豆の味と香りをナチュラルに楽しむことを愛しています。
淹れた後に器具を洗う手間やゴミが出るデメリットなんかは考えたことがないようです。
料理が(ものすごく)苦手な我が家のパリジェンヌですら、朝一番にキッチンに立ってコーヒーを淹れます。
家庭用エスプレッソマシーンや直火式エスプレッソ器具を置いている家庭も多く、わが家は後者。
確かにこちらのコーヒーは目が覚める濃さですが、淹れたてはすっきりしていておいしい。
パンによく合う。
豆の苦味が小麦の甘みを引き出すというか、引き締めるというか。
背筋もピンと伸びる洗練されたマッチング(ちなみにわたしの場合は、2杯目はカフェ・オ・レにして背筋をゆるめるわけですが……)。
なにはともあれ、朝のパンにはコーヒーが欠かせないのです。
わが家でも友達の家でも、のんびりできる朝はだいたいこんな風景。
バターやコンフィチュールなどパンのお供は街の専門店やどのスーパーでも、「さあ、迷いなさい」と言わんばかりの種類で売られていますので、気分次第ですぐに実行可能です。
パリ滞在の午前は、これら食材を現地調達して、窓際でフランスの空(※)を見上げながらパリっ子流に朝食をとってみるのはいかがでしょうか。
記憶に残る旅のワンシーンになるはずです。
次回は、パリの朝ごはんのブーランジェリー選びのポイントや、おすすめのパンのお供食材をご紹介します。
(※)フランスの空
晴れた空 > 美術館の絵画のままに、それはそれは美しいです。
曇りの空 > 微かなブルーやピンクがそっと差し込むグレー。お肌も心も潤います。
雨の空 > パノラマの空を覆う雨のカーテンは舞台装置のようにダイナミック。
毎朝目覚めるのが楽しみになる「パンのお供食材」を探すため、2014年、老若男女が毎日パンを食べる国フランスに単身渡る。