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他人事ではない? 身近になった相続税とは

平成27年1月1日より増税された「相続税」。これまで申告の必要がなかった人でも、増税の影響で申告する必要がでてきました。今回は、より身近になった「相続税」に関して、相続財産再鑑定士で税理士の佐藤和基先生に聞いてみました。

他人事ではない? 身近になった相続税とは

■相続税は誰にかかるのか

相続税とは、亡くなった人の財産を相続により取得した人や遺言によって財産を取得した人に課税される税金です。

ただし、財産が一定額以下の場合には、相続税はかからずに申告も必要ありません。

そのため、「うちはお金持ちではないから関係ない」と思っている人も多いのではないでしょうか?しかし、平成27年1月以降の増税により、身近な税金となってきました。

増税前と増税後の課税状況、増税により変わった点など、以下、順を追って説明していきたいと思います。

■「増税前」平成26年12月以前の場合

平成26年中に亡くなられた方(被相続人)の数は127万3004人で、このうち相続税の課税対象となった数は5万6239人でした。

課税される方の割合は5万6239人/127万3004人の4.4%です。

そのため、95%以上の人にとっては無縁なものでした。

■「増税後」平成27年1月以降の場合

平成27年中に亡くなられた方(被相続人)の数は129万0444人で、このうち相続税の課税対象となった数は10万3043人でした。

課税される方の割合は10万3043人/129万0444人の8%です。

そのため、増税の影響で課税される方の割合が1.8倍に増えました。

「それでも9割以上の人には無縁ではないか」と思う方もいると思いますが、土地の評価額が高い都内などは、自宅だけでも基礎控除(相続人1人の場合3600万円:後述)上回ってしまい、申告が必要になるケースが増えてきています。

■増税による変更点

まず、いちばん影響の大きい変更点は「基礎控除(きそこうじょ)」の引き下げです。

増税前は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」でした。

そのため、仮に法定相続人が妻と子2人の計3人の場合には基礎控除が8000万円でしたので、不動産、現金預貯金、生命保険金、有価証券、車等の全ての財産を合算※して8000万円以下であれば、相続税はかかりませんでした。

※借入金、未払金、葬式費用などのマイナスの財産は逆に差し引くことができます。

しかし、増税後は基礎控除が「3000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。

法定相続人が3人の場合には、8000万円であった基礎控除が4800万円にまで下がってしまったのです。

都内であれば、不動産の評価も数千万円になりますので、仮に預貯金がほとんどないケースでも、相続税が課税されるケースが増えてきました。

他の変更点としては、税率区分の変更で最高税率が50%から55%に引き上げられました。

■増税による変更点

増税の影響

・相続人が配偶者と子供2人の場合、改正前は基礎控除額8000万円までは相続税の対象とはなりませんでした。
・改正により基礎控除額が4800万円に引き下げられたことにより、対象者は1.8倍ほどに増加しました。
・仮に相続人が3人の場合に、法定相続分により相続した場合の相続税の増税額は下表のようになります。

増税の変更点

■早期発見・早期対策が重要

病気ではよく「早期発見・早期治療」という言葉が使われますが、相続の問題点も「早期発見・早期対策」が大切です。

相続の対策は大きく分けると、下記の3つがあります。

〇節税対策
〇納税資金対策
〇争続対策


節税対策は、相続税の負担を下げるための対策となります。

わかりやすいものだと生前贈与、生命保険金(非課税枠)の活用、不動産の活用(評価の圧縮)などがあります。

詳細については、次回以降の記事で説明したいと思います。

■次回以降の予定記事

〇生前贈与で相続税の節税する方法
〇生前贈与が連年贈与にならない対策・注意点
〇税務署に否認されないための生前贈与の注意点
〇相続税の節税といえば「生命保険」
〇アパート建築がなぜ節税になるのか?


また、応用編としては、会社経営者の自社株対策、養子縁組の活用などが考えられますが、実行する場合には、相続税専門の税理士など専門家に相談した方が良いでしょう。

納税資金対策は、相続税が原則として現金一括払いとなりますので、納税資金を確保するための対策です。

地主などで不動産はあるけど、預貯金のない方などに必要な対策となります。争続対策は、相続人同士が争わないように財産を分けやすくしたり、遺言書を作成する対策です。

相続税がかかる人もかからない人も全ての人に必要な対策といえます。
よく相談者から「私はまだ遺言書を書くには早いかしら」と相談を受けますが、遺言書は15歳以上であれば作成できます。

私も29歳で遺言書を作成していますので、何歳で遺言書を書いても早すぎるということはありません。

気が変わったら遺言書の内容を書き換えることができますので、早く遺言書を書くデメリットはないといえるでしょう。相続税は身近な税金となってきています。

大きな問題となる前に、「早期発見・早期対策」をしてみてはいかがでしょうか?

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佐藤 和基

2007年1月に相続最大手の税理士法人レガシィに入社して相続税の業務に携わり、2010年に相続税以外の一般的な税務を学ぶため銀座にある税理士法人ワイズコンサルティングに転職。 2014年1月に独立開業した。 独立...

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