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クルーズを通して出会った メコンの若者たちに感銘を受ける

東南アジアで最長の河川・メコン川を巡るクルーズ舟「アクア・メコン」の旅。今回フィーチャーするのは、目標を高く持った若者たちとの出会い。全8回の連載の第6回目です。【人生が変わるクルーズ体験#6】

クルーズを通して出会った メコンの若者たちに感銘を受ける

旅の真髄は、“人”にこそある。といつも思う。
「アクア・メコン」もまた、それを確信させられる旅だった。
とくに、随所で若者たちの意識の高さに、襟元を正される思いがした。

まず、初日のバーにて。
バーテンダーの男性スタッフと話しをしている時、なぜ、この船に乗ることになったかを尋ねてみた。彼は、カンボジアの出身で、国の政治が不安定であることに不安を覚え、大学に行って、国の役に立つことをしたいという。そのために、入学資金を貯めるために、このクルーズ船に応募して、働くことになったという。

また、フード&ビバレッジのマネージャーであるチャントレアという女性ともまた目標を持つ26歳の若者であった。

控えめながら、とても細やかに気がつくところに感銘を受け、いろいろと話しかけているうちに打ち解け、最終日の小島でのパーティで30分ほど彼女の身の上を聞く機会に恵まれた。本当は料理人になりたかったが、調理学校で先生にサービスの適正を認められ、方向転換を図ったそうだ。

彼女の目標は、自分のお店を持って家族と一緒に経営すること。それが希望になっているという。立派ね、と褒めるとこんな答えが返ってきた。

「希望があるからこそ、今日よりも明日が頑張れる。希望がなければ、人間は成長できないし意味がないと思う」。

そして、4日目の小学校へのガイドをしてくれた男性の話。

彼は、自分が子どもの頃のエピソードを語ってくれた。
8歳の時、日本のビジネスマンが同じように小学校の見学に現れたそうだ。
その時、そのビジネスマンたちは、子供たちに1本ずつ鉛筆をプレゼントしてくれたという。

「その鉛筆をもらった時に、世界のどこかに自分たちのことを気にかけてくれる人がいる。そう思った時に、希望が湧いたのです。12年間、その鉛筆を大切に使い、短くなった後は、机に飾って希望の指針としました。そうして、アメリカの大学に留学することができたのです。あの鉛筆があったからこそ、成し遂げられたことだと思います」

 返す言葉が見つからなかった。1本の鉛筆に希望を見出せる感性の素晴らしさ、そして“希望”という言葉の持つ重みに、軽々しく返せる言葉が思い浮かばなかったのだ。

彼のエピソードの後に訪れた教室の中では、真剣に若い先生の授業を受ける子どもたちの姿があった。

彼らの希望は、どこにあるのだろうか。
全員に共通しているのは、未来は誰かが作るものや、待っていればいつかいいことがあるものではなく、自分たちが動いて、変えていけるものだと思っていることだ。

よく、先進国ではない国の子どもたちの目の輝きを無邪気や無垢の象徴のように表現する人がいるが、あれは未来への希望を自らの中に宿している人間が持つ魂の輝きだと思うのだ。

あなたが乗船する「アクア・メコン」でも、必ずや彼、彼女たちのような若者に遅かれ、早かれ出会うはずである。

そして、いつかその言葉が希望を与えてくれる。

みんなが頑張っているのだから、自分も負けてはいられない。そんな風に思えるのだ。

彼ら、彼女たちがいる限り、世界は捨てたものではない。未来は結構明るいのではないかと思えてくるのである。

●クルーズの問い合わせ先
アクア・エクスペディションズ日本地区販売総代理店
インターナショナル・クルーズ・マーケティング
Tel. 03-5405-9213

Photos : Kunihiro Fukumori
Text : Rica Ogura

DRESS編集部

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