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アートを表参道で。「光」のアーティスト『ダン・フレイヴィン展』、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催中。

1960年代米国でドナルド・ジャッド、ロバート・モリスらとともに、ミニマリズムの主唱者と評価され、蛍光灯を使った「光」のインスタレーション作品で人気を博したダン・フレイヴィンの作品が展示。会期は2017年9月3日まで。

アートを表参道で。「光」のアーティスト『ダン・フレイヴィン展』、エスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催中。

表参道にあるルイ・ヴィトン表参道店。2002年に誕生したビルは、日本を代表する建築家・青木淳氏がデザインしたことで知られています。トランクを積み上げたように作られたビルの7階には、3層分を費やしたという天井の高いガラス張りの空間が広がり、コンテンポラリーアートが展示されています。

今回は、蛍光灯を使ったインスタレーションで知られる『ダン・フレイヴィン展』が開催、昼夜で表情を変える空間と作品を楽しめると評判となっています。

ダン・フレイヴィン(1933-1996)

ダン・フレイヴィンは、アメリカ人アーティストで蛍光灯をつかったインスタレーション作品で知られ、同世代のドナルド・ジャッド、ロバート・モリスらとともに、1960年代半ばからムーブメントとなったミニマリズムの主唱者といわれています。

マルセル・デュシャンのレディ・メイド*などに影響も受け、初期には、ドローイングとジェスチュラル・ペインティング、ファウンド・オブジェなどを制作。最初の個展は1961年ニューヨークのジャドソン・ギャラリーでした。

1963年からはチューブ型の蛍光灯に取り組み、流通している既製品を利用。64年のグリーンギャラリーで初めて蛍光灯を使った作品を披露したという。1964年からは数多くの蛍光灯のインスタレーション作品を特定空間に作成を開始。作品と鑑賞者の展示空間の関係性を追求する一方、一般に流通している蛍光灯を使うことにこだわりました。

フレイヴィンのブレークスルーとなった「The Diagonal of May 25,1963」(1963年5月23日の斜め線)以降は、4種類のサイズと10種類の色の既製品の蛍光灯を素材として、限られた材料をさまざまに配置する作品を生み出しました。

70年代以降は作品の構成や場所が大規模となり、特定の場所に設置することを前提とするサイトスペシフィック・インスタレーションを多く試み、常設展示となったインスタレーションを欧米にのこしています。 今回展示されている「V・タトリンのための”モニュメント”」のシリーズは代表作のひとつで、1964年から1990年までに50点制作、そのうちの4点が今回展示されています。

本展示では、初期の作品「無題」(1963年)、「3月2日のもう1つの斜め線(ドンジャッドへ)」と1987年制作の「無題(アレックスとニッキーへ)をあわせて、7点を見ることができます。

ダン・フレイヴィン展

ダン・フレイヴィン展
会期:2017年2月1日(水)〜9月3日(日)
会場: エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所: 東京都渋谷区神宮前 5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
開館時間: 12:00‐20:00
入場料: 無料

今回の展示で注目のウラジミール・タトリンに捧げられたシリーズ

フレイヴィンは、ロシアのウラジミール・タトリンへのオマージュとして“モニュメント”のシリーズを1964年から90年までという長期にわたって制作しました。タトリンはロシアの芸術家・建築家で、エッフェル塔を凌駕する高さのらせん状のタトリン・タワー(第三インターナショナル記念塔)を構想したことで知られています。

タトリン・タワーは、設計上実現不可能だったのですが、フレイヴィンは、タトリンの芸術とテクノロジーを融合させようとする頑固さに惹かれたのです。フレイヴィンは、これらを“疑似モニュメント”と呼び、作品の刹那的特徴とはかなさも浮き彫りにしています。

私は、“モニュメント”という言葉を使う際には、かならず引用符に入れて使っています。これは一時的なモニュメントというものに内在する皮肉を強調するためです。“モニュメント”の寿命は照明が機能している2100時間に限られるのです”

「V・タトリンのための”モニュメント”」(1964-65)

8本の白色直管蛍光灯
244 x 80 x 12 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「V.タトリンのための"モニュメン卜”」(1967年)

7本の白色直管蛍光灯
244 x 72 x 7 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「V・タトリンのための“モニュメン卜”」(1969年)

8本の白色直管蛍光灯
244 x 82 x 7 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「V・タ卜リンのための”モニュメン卜”」(1970年)

8本の白色直管蛍光灯
244 x 82 x 12 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「無題(アレックスとニッキーへ)」( 1987年)

青、緑、黄、赤の蛍光灯の組合せによって構成し、長い斜めの線を描いて、両側の壁が薄く色づき、あらたな色調のオレンジと白が生まれています。

8本の直管蛍光灯
長さ360 cm / Diagonal length 360 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「無題」(1963年)


初期の実験的試みの作品ですが、緑という色が、フレイヴィンの作品で特別な色であることが、のちの作品群でも明らかになっています。

緑の直管蛍光灯
244 x 10 x 7 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

「3月2日のもう1つの斜め線 (ドンジャッドへ)」(1964年)

初期の作品で、短い蛍光灯4本と長い蛍光灯1本、合計5本の白い直管蛍光灯を45度の角度で壁に並べて取り付けた構成。長さ3.66メートルの作品は、96年にドミニク・ド・メニルの依頼でリッチモンドホールのために制作したインスタレーションに次ぐ規模。


直管蛍光灯(昼光色)
長さ369.6cm / Diagonal length 369.6 cm
Courtesy Fondation Louis Vuitton
(c)ADAGP, Paris 2017

フォンダシオン ルイ・ヴィトンとエスパス ルイ・ヴィトン東京

パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンは、現代アートとアーティストに特化し、同様にそれらのインスピレーションを辿ることができる 20 世紀の作品を扱う芸術機関です。フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広く多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。建築家フランク・ゲーリーが手掛けた建物は、フォンダシオンのその独創的で将来の発展に目を向けた芸術への取り組みを体現し、すでに21 世紀を象徴する建築物として認められています。2014年10月の開館以来、100 万人を超える来館者が訪れました。

パリにオープンして以来、フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、当館にて実施される企画のみならず、他の財団や博物館を含む、民間および公共の施設や機関との連携においても、国際的な取り組みを積極的に展開していくことを掲げています。所蔵するコレクションの展示を目的に東京をはじめ、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京に設けられた文化スペースにて開催する『Hors-les-murs.(壁を越えて)』プロジェクトのアーティスティック・ディレクションを担っていて、今回の『ダン・フレイヴィン展』も同プロジェクトの一環として開催されました。

*マルセル・デュシャンとレディ・メイド

マルセル・デュシャンは1917年に「泉(Fountain)」というタイトルの作品を発表し、男性用小便器に”R. Mutt"という署名と年号を書いたもので、大きなインパクトを与えた。レディ・メイドは、マルセル・デュシャンによって示された作品概念で、大量生産の既製品からその機能を外し「オブジェ」として陳列したものをいう。

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