尽くす女はダメですか?
尽くす女性は良くない、尽くすのはやめたほうがいい、とはよく言われる。でも、純粋な愛情から相手に尽くす女性は、器が大きい人で、男性も手放そうとはしないのでは? 経沢香保子さんが「尽くす女」について考える。
■尽くす女性は良くないのか?
「経沢さん、尽くす女って、やっぱり良くないんでしょうか……」。ある日、突然、相談を受けた。
彼女はこう語る。
「私はどうしても、彼氏に尽くしすぎてしまうようなんです。 彼氏のことが大好きで、私と付き合っているなら幸せになってほしくて。そして、私は、相手が何がしてほしいかわかってしまうので、身の回りのことから、旅行や食事の手配まで、気づいたら全部やっているかもしれません。とにかく、彼が楽しそうにしてるのを見るのが大好きなんです」
さらに、こう続ける。
「でも、そんな話をすると、周りの女の子たちからは、『やりすぎ、やりすぎ。結局、女性はどれだけ男性に尽くさせるかだよ。ほしいものを買ってもらったり、優しくされたり、男性は女性に投資すればするほど回収したくなる生き物だから、してもらってなんぼだよ』と言われてしまいました。
私のなかでは、どうもモヤモヤしています。尽くしてしまう私は、ダメな女でしょうか?」
■無償の愛で尽くす女性を、男性は手放さない
尽くす女は、ダメな女なのだろうか?
いろいろな考え方があるとは思うけれど、私の中で答えは「NO」だ。 むしろ、いいじゃない、カッコいいよ! と思う。
確かに世間では、「尽くす女は都合よく利用されて終わるだけ」という解釈が一般的だ。
でも私は、「相手に対して、純粋に何かをやってあげたい」という気持ちが心から溢れるのは、素敵なことだと思う。それだけ愛情に溢れ、相手に何かをしてあげるだけの器があるということだから。
その気持ちがある限りは、好きなだけ、尽くせばいい。純粋に愛情の気持ちから尽くしてくれる相手を、いい男は手放さない。いや、手放せないと思う。
ただ、その「尽くし」が、純粋な愛からではなく、見返りを求める行為であれば、それはお互い疲れるから、今すぐやめた方がいい。
男女関係ではないが、たとえば、親の子どもに対する愛というのは無償の愛だ。私は、そんな無償の愛こそが、一番美しいと思っている。
だから、それが自然にできるということは、 ダメな女どころか、むしろ人間的にも深く、愛情に溢れる女性で、人として大きな器を持っているとすら思う。
■尽くしてもらった記憶は、相手の心に温かく残り続ける
尽くせば尽くすほど、相手の心には、「してもらった優しさ」が蓄積されていくものだ。
そうして、心に優しさが蓄積されればされるほど、お互い自然に思いやれるようになるから、良好な関係が長きに渡って続くだろう。
普通の男性なら徐々に、優しさには優しさで応えてくれるようになる。そしていずれは、こちらにも尽くしてくれるようになるものだ。
だから、短期的な視点だけで、尽くす女をダメだと決めつけるのはもったいない。長期的に見ると、心から支え合える素晴らしいパートナー関係を築ける、大いなる可能性を秘めているのだから。
それに、周りの男性に聞いてみると、「尽くし型の女性は手放せない」とみんな口を揃えて言う。「居心地がいい」「癒される」、だからずっと一緒にいたくなる、と。
たとえ尽くした結果、何らかの理由でパートナー関係を解消することになってしまったとしても、あなたが心から尽くしてくれた思い出は、相手の心に「愛された温かな記憶」として確実に残るものだ。
きちんとした男性なら、たとえパートナーでなくなっても、尽くしてもらったことの大きさはきちんとわかっているし、その後も良い友人関係を築けたり、何かのタイミングで助けてくれたりすることもある。
一方で、尽くしてもらったことに対して当然だと思う男性、感謝もしなければ、下に見たりするような男性はどうせダメな男だ。それがわかっただけでも良かったとしよう。
そして、そういう男性は大抵その後、成功しないどころか、運気が徐々に下がっていく。 相手の優しい気持ちを受けとれない人というのは、単に器が小さいからそれも当然なのだが。
■尽くす女性の心は美しい
男女の関係だけではなく、会社の経営も同じだと私は思う。短期的な利益や見返りばかりを求める会社で、社会に根づいた会社を見たことがない。
尽くし型の会社は、お客さまに愛されたり信頼されたり、提携先とも長くお付き合いが続くというパターンが多い。
マネジメントも同様だ。部下を「きちんと育てよう」とか「活躍を支援しよう」と考えるマネージャーの方が人を育てるのが上手で、組織に人がついてきて、そして、会社は繁栄していく。
しかし、悲しいことに、最近は自分の権利ばかり主張する人や、自社や自国の利益ばかりを主張するリーダーが増えてきたように見える。
そのせいか、みんなが「自分が損しないためにはどうしよう」とか、「自分が得するにはどうすればいいか」ということばかり考え、社会に愛が足りなくなっている気がする。
本当にそんな社会でいいのだろうか? もっと私たちは、尽くす女性たちのように、周りに対して尽くす心を持つ方がいいのではないか?
私は、尽くす女性たちに伝えたい。
あなたが相手のことを思い、尽くす心は美しい。卑下する必要なんてない。
むしろ今の社会において、尽くすことは美徳なのだ。これからもどんどんできることを増やし、相手に喜ばれる工夫をし、そして人間としての器を広げ、もっといい女になろう。
もしかしたら、傷つくこともあるかもしれない。でも、最終的には優しさと愛情に人は抗えない。
そして、それに応えてくれる素晴らしい男性に出会えれば、相手はあなたを手放さない。そうやって、長く長く続く、素晴らしいパートナーシップを構築しよう。
経沢香保子(つねざわ かほこ)さんのプロフィール
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。
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