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男が払うのは当たり前?

若いほど親の価値観に影響されている。窮屈な思い込みを刷り込まないように・・・。

男が払うのは当たり前?

先日、学生新聞のインタビューを受けた。
18歳の男子と、21歳の女子。

就職に関する質問が一巡したあとで、
「あの……割り勘について聞いてもいいですか」
と背の高い小学生のような男子学生。どうぞどうぞ。
「僕は男が払うべきだと思うんですけど」
「私は、払ってもらって当たり前は気持ち悪くて」と女子学生。

時は90年代初頭。
大学1年になってすぐに4年生とつきあい始めた私は、その相手が首尾よく大手都市銀行に内定したと知るや「やった!銀行マンの妻の座を手に入れた」とほくほくであった。これで、ずっと欲しかった未来が手に入る。お姉ちゃんと同じ幸せを手にできるんだと。

9歳年上の姉は、バブル女子の王道を突っ走り、華やかな女子大生生活から余裕の就活を経て、24歳で高学歴・高収入・高ステータスの男性と結婚した。

「私、お姉ちゃんと同じか、それ以上に幸せになれるのかしら?」

その日から、私には「完璧な結婚をする」という至上命題ができた。
しかしまだほんの子ども。完璧な結婚とは、みんなが羨ましがるような好条件を備えた相手を手に入れることなのだと早合点したのだった。

そして大学生になってすぐ、私は一流銀行に内定していた初めての彼氏に振られた。大泣きしながら、考えた。「どうしよう、次は商社かな、電通を狙おうか、それとも御曹司?」せっかくの銀行員の妻の座だったのに。

で、ある日気がついた。こんな浅ましい打算が私の青春か?恋愛って、肩書きでするものなのか?

かくして、自分で稼げば男は選び放題という結論に至ったのである。私が男と同等に稼げば、誰だって好きな男と一緒になれる。たとえ運命の人が文無しでも、一緒に生きて行けるじゃないか。これまた学生だから発想が単純。
玉の輿志向だった私は、最初の失恋を機にキャリア志向に転向した。

そして幸いなことに共稼ぎの現在に至るわけだが、共稼ぎとはいいものだ。私が会社を辞められたのは夫に収入があったからだし、もしも夫が仕事を辞めて勉強したいと言い出したら私が頑張ろうと思える。どちらかが体調を崩すこともあるかもしれないし、子育てに手がかかる時期もある。

正社員も終身雇用ではなくなりそうな時代。起業したり転職したりしていろんなチャレンジをするときには、一家に二人の稼ぎ手がいる方がいい。

だからね若者よ、男か女かなんてことでお互いを縛らない方がいいよ。
自分のご飯は自分で面倒見られるぐらい働こう。そういう二人が一緒になれば、どっちかが困ったときには助け合えるでしょ。

若者の感覚が新しいなんて嘘だ。若いほど、親の価値観に影響される。状況が変わったのに、彼らは親から窮屈な思い込みを刷り込まれているのかもしれないなと、ちょっと気の毒に思ったのだった。

 

 


 

小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

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