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14歳のセーラームーンが性感染症予防PR……モヤモヤするのは私だけ?

厚生労働省が「美少女戦士セーラームーン」が女性へ向けて、性感染症予防をPRする目的で「検査しないとおしおきよ!!」と呼びかける啓発ポスターを作成。大事なことだけれど、モヤッとした気持ちが拭えないのはなぜ?

14歳のセーラームーンが性感染症予防PR……モヤモヤするのは私だけ?

「検査しないと おしおきよ!!」
なんとも衝撃的な広告が、目に入ってきた。
厚生労働省が発表した、性感染症に対する予防や早期発見、治療の必要性を啓発するため、「美少女戦士セーラームーン」が用いられているのである。
なんでも近年性感染症の中でも「梅毒」の感染者の報告数が増加傾向にあり、性感染症検査の徹底をと考えた結果、私たちの青春の象徴、月野うさぎちゃんが立ち上がったというわけだ。
もちろん性感染症予防は大切だし、不妊症の原因にもなりかねない。少しでも不安があるなら、絶対に検査には行った方がいいのだけど、なんだかモヤモヤが残ってしまうのはどうしてなのか。

■うさぎちゃんが性病について語るナマナマしさ

そもそも、月野うさぎちゃんは、14歳。中学2年生である。性感染症の前に、セックスに関連したことを語るのはどうなのか……と、2次元キャラに年齢トークを持ち込んでもキリがないのだけど、年齢よりも何よりも、うさぎちゃんというロマンスやミラクルの象徴が「性感染症」という生々しい現実を訴えることには、かなり違和感が残る。


なにより、セーラームーンにはすでにタキシード仮面さまというフィアンセと、ちびうさという未来のお子さんまでいるのである。


小学生時代は考えなかったけど、“することちゃんとしてる”という現実感が、今回のキャンペーンでグッとリアルに感じられて、「あ、そ、そうだよね。うさぎちゃんもするよね!」と勝手にひるんでしまった。


ちなみに今回啓発グッズとして、コンドームを6万個製造、配布が予定されています。セラムン版のコンドームはほしいと思うけど、もらったからといって、女子から「ほら見て! これセーラームーンなの! かわいいね。使ってみない?」とは言いにくいだろうなーとも思う。


コンドームの着用はどちらかが提案して行う話ではないものの、つけない男性に対して女性から「つけて!」と提案できず、悩む女性が多いのも現実だ。

彼を好きだからはっきり言えない女心は、セーラームーンでも解決できない問題な気もする(そもそも男が自発的につけないことはどうなのかという問題も大いにあるけど)。

■そもそも性感染症の原因は「男女どちらにあるのか」問題

セーラームーンが性感染症予防PRというインパクトに飲み込まれてしまった今回のキャンペーン。改めて考えると、女性だけが性感染症検査を啓発される気がして、少し残念な気もする。あくまでも“幅広い世代に認知されているキャラ”という位置づけなので、差別はしていないていだと思うが、 うさぎちゃんを好きなのは、やっぱり女性である。


「データ上、女性の方が感染率が高いから」という言い分もわかるけど(そもそもキャンペーンの冒頭は梅毒増加を理由にしているが、梅毒に限定した感染率は、厚生労働省の「性別にみた性感染症(STD)報告数の年次推移」(平成27年、概数)によると男性の感染率の方が2.5倍高い)、男性とセックスするから性感染症になるのである。性感染症の原因はどっちにあるかという話は、完全に“ニワトリたまご理論”なのに、予算の関係なのか、単純な数字を反映してなのか、女の子ばっかり言われる感じは、悲しいったらありゃしない。


そういえば昔「性病は抗生物質を飲んだら治る」と豪語していたダメ男と付き合っていたことがある。「そんなトンデモな話があるか!」と当時は驚いたけど、女性よりも男性の方が性感染症についての知識が乏しい現実はあるのではないだろうか。


※風邪で処方される一部抗生物質は、クラミジアの治療にも用いられるものと共通しているため、治る可能性がある。しかし、風邪薬での処方は通常3〜4日分しか処方されない。性感染症の場合1週間は抗生物質を飲み続ける必要があるので「風邪薬で性病が治る理論」は、間違っても信じないように。


こうして深く考え込んでしまった今回のキャンペーンだけど、しっかり記憶に残ったということは、キャンペーン自体は成功したといえるのだろうか。


でも次回はぜひ、男の青春「北●の拳」のキャラにも、一言物申してほしい。
「検査しないお前は、もう死んでいる」と。


そういえば性感染症は種類によっては、放っておくと死に至らしめるモノもある。これじゃあキャッチコピーではなく、脅し文句になってしまう。


ちなみに性の健康週間は12月1日まで。不安な方はこの機会にぜひ、性感染症検査に行きましょう!

Text=おおしまりえ
雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター
10代より水商売やプロ雀士など人気商売に身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、現在鋭い観察眼と、男女のコミュニケーションの違いを研究し、各種エッセイを執筆中。

おおしま りえ

10代より水商売やプロ雀士、素人モデルなど人気商売に身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験し、本音を見抜く鋭い観察眼と分析力を体得。現在、恋愛ジャーナリストとして芸能人の恋愛分析やマッチングアプリの攻略法...

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