人々の幸福度が高い国は、男女格差が少ない
「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の男女格差が改めて浮き彫りになった。この格差は女性の働き方、仕事への考え方へどう影響を与えているのか。社会はこれをどう捉え、変わっていくべきなのか。
先日、世界経済フォーラムが世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。
対象となる世界144ヶ国のうち日本は111位で、昨年よりも順位を下げ、主要7ヶ国では最下位。
<日本>
総合順位/111位
経済活動への参加と機会/118位
教育/76位
健康と生存率/40位
政治への参加/103位
これは、中東など宗教上の差別が実在する国と同等のランキングになっている。
日本では「男は外、妻は家庭」という文化が根強く、世界一夫が家事をしない国と言われ、また女性自身も専業主婦に憧れを抱く割合はまだまだ高い。
北欧では、専業主婦率は2%程度で、外で働いていない妻はほとんどいない。
納税額や生活費が高いからという理由もあるが、少なからず夫婦が働きながら子育てをできる環境が整っている。待機児童はほぼゼロだ。
■男女格差が少ない国は、幸福度が高い
一方、日本では、待機児童は4.5万人にのぼり、預けられないのがあたりまえ。
保育士の待遇改善や保育施設の増設など検討を進めているが、解決策は見出せないでいる。
アベノミクスが一億総活躍を謳い、女性の労働力の活用が今後の日本の成長において重要だと考えられている。現に、安倍首相は2013年に経済団体に対し、企業の意思決定層に女性の登用促進を要請し、2020年までにその割合を30%まで引き上げると発言している。
企業もそれを意識し始め、女性の活躍を広げる事業への取り組みを始めたが、まだまだ時間がかかるだろうと感じている。
毎年、国連が「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」を発表しているが、スウェーデンやノルウェーといった、ジェンダー・ギャップ指数上位国は、幸福度ランキングでも上位にランクインしている。
つまり、男女格差が少ない国は、幸福度が高い国と言える。
働き方自体も、日本と北欧では大きく異なっており、フレックス出勤を採用しており、16時を過ぎると社員がバラバラと帰宅していく。
週48時間を超える残業をする人は全体の10%程度で、1日6.6時間が平均労働時間とのことだ。無駄のない働き方だろう。
また、フラットな職場環境で、部署や役職に隔たりなく意見を交わし、プロセスよりも結果を重視し、上司への報告書など余計なプロセスを省いているため、意思決定も迅速だ。
日本よりも個人事業主のような感覚で責任感を強く仕事をしているため、上司や他部書からの横槍は毛嫌いする傾向にある。
日本と北欧諸国ではGDPの差は倍も違うのだから、どちらが効率的かは明確だ。
■フラットな組織づくりこそ、女性活用を推進する
日本では、毎日遅くまで残り、上司の誘いを断わらず、タバコを吸いながらゴマすりをするサラリーマンが評価されてきたし、今もその風習が残っているように思う。
そんな中で、のぼり詰める女性は稀だ。
その文化が、専業主婦への憧れを増大させるのではないとも思う。
責任がない仕事で、給与は最低限でいいんです……。
採用面接でそんな女性とお会いすることも少なくない。
本来、責任感の強いはずの女性が責任のない、あまりクリエイティブではない仕事をするのは、もったいないと感じてならない。
フラットな組織づくりは、女性登用の重要なファクターとなり得ると考えているが、日本のこれまでの文化を根底から覆さなければ、真の意味での女性活用ができる社会には程遠いように思える。
日本女性の一定数が、専業主婦になりたいと願うのは、仕事をしながら幸福に生活できるイメージがわかないためだろう。
国家の経済活動の目的は、国民が幸せだと感じられる社会の仕組みづくりであるべきだ。
もう十分に豊かな日本で、幸福に生きるということはどういうことかを改めて考えれば、職場環境も待遇も、男女格差のない社会の仕組みは必要だ。
今までの習慣に沿っていくだけでは廃れていくだけだろう。
転がる石のように、苔の生えることのない企業を目指したい。