秋旅にいかが?旅とアートの融合に感動する「大地の芸術祭」の里がすごかった
広大な自然と景色のなかでは、集落ごとに数々のアートが存在していた。3年に1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催される、新潟県の越後妻有を訪れた。開催年以外の年でも、1年中アート作品が楽しめるのだ。
東京から新幹線で約2時間ほどの場所にそれはある。「人間は自然に内包される」との理念にもとづき、過疎高齢化が進むなか、地域が持つ美しい里山を舞台に地域再生を築くことを目標とした芸術祭。
開催にあたっては、芸術家が地域の人に歩み寄るところから始まる。地域活性化とはいっても、見ず知らずの人々がいきなり「現代アート」という得体の知れないものを作ることについて、当初は住人の反対が強かったという。
それでも説明に説明を重ね、時間をじっくりかけ、共同作業を行いながらようやく2000年にスタートした大地の芸術祭。3年に一度のトリエンナーレでは国際的な芸術祭となる。そうした説明を聞きながら集落ごとの作品を楽しむ。
その間、嬉しそうに話しかけてくださる地元の方々との出会いもあった。笑顔がとても印象的。アートはもちろん、地元の方々との貴重な交流も楽しめる旅だった。
以下に、私の心に強く残った作品をいくつかご紹介しよう。
〇Kiss&Goodbye
両親を亡くした日から、ずいぶんたくさんの昔の思い出を忘れてしまった少年シュウ。田舎に向けて走り出した列車に乗って彼は何を思うのか。大地いっぱいにある美しい景色や夢を見ながら強く生きていく勇気や奇跡。台湾絵本作家ジミー・リャオが醸し出す世界。
色の美しさに惹かれ、お土産にとこの絵本を買ったのだが、自宅で読み直すとうっかり涙が出てしまった。
〇絵本と木の実の美術館
自分の母校ではないはずなのに、どこか懐かしく、小学生に戻って同級生に会えるような気すらしてしまう高揚感! 「廊下は走らない!」と先生に怒られそうだけど、つい足取りが軽やかに、いくつもの教室を覗く。「絵本と木の実の美術館」は現在閉校している小学校をすべてアートにしたもの。「学校は空っぽにならない」をテーマに8年前の最後の卒業生3人がストーリーとなりアートを繰り広げる。明治時代から続いた学校には当時のまま年表も残っており、今でも元気な子どもたちの息遣いが聞こえるようだ。ヤギのユキも入学していたという。
〇三省ハウス
廃校になった木造校舎の宿に宿泊した。客室は以前教室だった空間に二段ベッド。
夕食は三省ハウスのグラウンドが秋限定でアート&キャンプ場に。ラーメンで初めてミシュランに輝いた森住康二シェフの豪華なディナーを楽しんだ。生ライブやキャンプファイヤーに寒さを忘れ、テンションが上がる。
〇ダウンヒル
せっかくなら体を使って自然を堪能するのも面白い。概ね下りメインのコースを爽快にダウンヒル。途中、美人林では自転車を止めてゆっくり散歩を楽しんだ。
他にも車移動の途中でも数々のアート作品が満載。11月以降もイベント盛りだくさんの「大地の芸術祭」の里へ出かけてみては。
越後妻有 大地の芸術祭の里
http://www.echigo-tsumari.jp/
東京出身。フリーライター。ワーク・ライフスタイル・恋愛・婚活を中心に執筆中。趣味は高校野球・アクリル画、銭湯。