ボルドーで出会った醸造家に聞く、ワイン造りへの覚悟と情熱【オトナの美旅スタイル#13】

ボルドーで出会った醸造家に聞く、ワイン造りへの覚悟と情熱【オトナの美旅スタイル#13】

ボルドーで出会ったワイン醸造家のご夫婦と姉妹。素敵な4人にワイン造りに対する情熱や生きがいを伺いました。


旅するジャーナリスト、小野アムスデン道子です。ワインは、ほぼ毎日という私。“おいしいワインを自らの手で造る”のにはちょっと憧れます。ボルドー取材で出会ったDRESS世代のワイン醸造家のご夫婦と姉妹に、そのワイン造りに対する情熱や生きがいについてお聞きしました。

「シャトー・カストゥネChateau Castenet」を運営するのは、サンテミリオンの醸造学校で出会ったというミレーヌ&ギョーム・ゲネック夫妻。2010年にこのワイナリーを前オーナーから購入、2012年に収穫を開始。

80%が輸出でアメリカとドイツは2013年から、日本にも今年から輸出をしているそうです。40歳前の若い農家にはEUの資金援助の制度があります。使用済みの水の処理などを環境に配慮して行うことで、施設費の40%までの補助金を得て、地下に貯蔵タンクを設置。先週、完成したところだそう。

ふたりとも親も兄弟もワイン農家というものの、親世代とは考えが違うと言います。「親は、量販店向けにスタンダードのワインを多量に造るけれど、私たちは輸出中心で個性のある自分たちがよいと思うワインを造りたい。あと、亜硫酸を使わないというポリシーも両親の時代とは違うわね」とミレーヌさん。

なんと2歳と8歳のふたりの息子さんがいるとは思えない若々しい感じですが、ワイン造りに親とは異なるポリシーをきちんと持っている点、年齢で有利な制度はきちんと利用して設備投資する点、そして夢いっぱいな点がとても印象的。

子育てもあるので、収穫はギョームさんが朝5時からひとりでがんばったそう。「本当は、テイスティングルームとセラーがもう完成しているはずだったんだけど、ちょっと工事が遅れて……今日の試飲は醸造タンクの横だけど。でも完成はとっても楽しみ」と、ワイン造りはふたりの夢をますます広げています。

■にこやかな笑顔の中に8代目当主姉妹としての自覚

もう一組は、ディアヌ(左)&ユジェニ(右)・ジュラウキー姉妹。彼女らは「ビニョーブル・ドガVignobles Degas」の8代目。ブドウやワインを買い付けて、他のワイナリーに売るネゴシアンと呼ばれる仕事の他に、自社もいろいろなオリジナルブランドのワインを造っていて畑もそれぞれ違うという大規模なワイン農家です。

ワイン造りは妹のユジェニ、販売などのビジネスは姉のディアヌと役割をきちんと分けています。たとえば、温度調整など設備や醸造過程についてはユジェュニが答えてくれますが、価格の話になると「それはディアヌに聞いてね」というふうに。

「家の庭の方もご案内するわね」と言って連れて行かれたのは、いきなり大きな池や温室のある8ヘクタールの大庭園で、庭というよりまるで公園。紹介のある人しか入れておらず、さらに10ユーロの入場料を取っているとか!

そんな庭園をカートで回って管理しているのは81歳の祖母。「おばあさまのマリジョゼという名前の付いた薔薇もあるのよ。レオンという名前のクジャクを飼っていて、おばあさまが名前を呼ぶと来るの」と無邪気に笑う、そのお嬢さまぶりに驚き。

ランチのおもてなしは、姉のディアヌの手料理で「日本にも5万本を輸出しているからどうぞよろしくね!」と宣伝は忘れません。「女性姉妹が継いだワイナリーということで、目立って得をしているという面はあるわね。引き継いだワイナリーをさらに引き継いで発展させていくのは私達の役目」と語るふたり。とても気さくな雰囲気の中に、家業を継ぐこと、仕事に対する自覚の強さが伺えます。

ゲネック夫妻は理想のワイン造り、ジュラウキー姉妹は事業を引き継ぐことという目標がすごく明確に見えているのが、彼らの造るワインの味のようにとても爽やかに思えたのでした。

取材協力/ボルドー&ボルドー・シュペリユール醸造家組合、ボルドー・スウィートワイン連盟、在日フランス大使館貿易投資庁−ビジネスフランス

文/小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。


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